風呂場の蚊と台所の……

本当にどうでもいい話が書きたくなった。
書きたくなったので書くけども、
読んでも何も得られるものは
ないかもしれないので、
《是非読んでください》とは
ひっくり返っても言わない。笑


前置きはしたからね…。笑


ある朝の話。
さてさて、出勤前にシャワーでも…
と威勢よく風呂場へ行き、シャワーを出した。

ふと、蚊がいることに気がついた。
もしかするとあれは蚊ではなかったのかも知れない。
身体も足も長いタイプの、純粋に悪い意味で存在感抜群なやつだった。

かれこれ20年近く慢性蕁麻疹という掴みどころのない病気とともに生きてきた私にとって、
蚊は脅威ではない。憎しみを込めて叩く対象でもない。
刺されたとて全く痒みを感じない身体を手に入れたからだ。これはとても便利。笑

細長い蚊のような虫を見ても
《でかっ……》としか思わないので
観察してみた。

シャワーノズルの方へ顔を向け水滴の束に触れないように一心不乱に飛んでいる。
しかし前へ飛ぶ気がないのかなんなのか、二度三度とシャワーに吸い込まれそうになっては体勢を立て直していた。

…と思った瞬間にヤツは見事に巻き込まれた。
水滴の束に。
《あ…。》
と思わず口にして足元を見ると
ヤツはちょうど排水口に流れていくところだった。

水の流れに巻き込まれてこの世を去るなど、
自然界では滝の側でしか起こらないだろうことがヤツの身に降り掛かったという事実に思いを馳せ、
《蚊(仮)の世界では、人間が作り出した人工の滝のせいで、毎日一体どれほどの犠牲者が生み出されているのだろうか…》とか考えた。
無駄に考えた。

脱衣所に戻ると、今度は壁から気配を感じる。
蜘蛛だった。
家の中で割とよく見るタイプの小さな蜘蛛だった。
私的には、さっきの虫よりさらにこやつは
【セーフなやつ】。
なんならコバエとか食べてくれるらしいし、いい奴。超無罪。むしろお助けマン。
好きなように生きていってくれれば御の字である。
そんな心持ちで姿を見送る。

一寸の虫にも五分の魂…
そんな言葉が頭をよぎる。

さっきのヤツも目の前のスパイダーマンも、
生きるために必死である。
同じく地球上で必死に生きている、私。
そんな私も、認識すらできないほどのとてつもなく大きな存在に
ときに見送られ ときに許される事で
命をつないでいたりするんだろうか…。
そんなことまで考えた。


そんなこんなで思考の彼方から台所へ到着すると、
さすがの私でも《っっっ!!!》となるものが視界に入った。
電気をつけていない台所の足元。
薄暗い中で禍々しい雰囲気を漂わせている塊があった。
私の目には、《人差し指と親指の先端で輪を作った時のサイズほどの……毛むくじゃらの蜘蛛っ!!》
に映った。
メガネ装着前の私にはそうとしか見えなかった。
黒ぐろと光を放つソレは、まるで踏み潰されているようで……

もはや《一寸の……》などとは言えない。
恐る恐る2歩下がり、電気をつけてよく見てみると……

昆布だった。
昆布の佃煮だった。
そこそこの量の昆布の佃煮が塊で落ちていただけだった。

犯人は早朝に早々と食事を済ませた母だろう。
母は片目の視野のど真ん中が欠損しており、
その上ふんわりほんわか天然マミーである。
気づかなくても仕方がない。

ティッシュで片付けながら思う。
それにしても前フリが効きすぎている。
なんの因果だろうか。いや、陰謀か。

もしかすると、私は、
やはりとてつもなく大きな存在にからかわれたのだろうか…。
お陰様でまんまと引っかからせていただきましたよ…
心ゆくまで楽しんでいただけましたかね…
と悪態をつきながら
憎くも美味しい天下のふじっ子のごま昆布を早めに滅するべく
白ご飯の上に大量投下する私でありましたとさ。。

むすこーーー!
朝ご飯、昆布のせとくでーーーーー!!

楽しい1日の始まり始まり。

いいなと思ったら応援しよう!