アナ・ヴァーベックさん(第63回優勝)インタビュー Vol.7-2
前回に引き続き、ミュージカルオーディションショー・第63回スマッシュキャバレーで優勝したドイツ出身のアナ・ヴァーベックさんのインタビューをお届けする。
★前編はこちら(スマッシュキャバレー編Vol.7−1)
2:優勝だけでなく、関わっている方々に出会えたことも嬉しかったです
「助け合うことはとても大切ですよね!」
ー スマッシュキャバレーに初参加された感想をお聞かせいただけますか?
「このショーはコンペディションではありますが、皆を楽しませるためのショーだと聞いていました。何より、関わっている方々がとても優しくて、優勝という結果だけでなく、そういう方々に出会えたことも本当に嬉しかったです」
スマッシュキャバレーについて、「みんなで一緒にやることを大切にしている」点に特に感銘を受けたとおっしゃるアナさん。ステージ上や終演後には、初対面の他の出演者の方々と、実にフレンドリーに、愛を持って接していた様子も印象に残っている。
「助け合うことはとても大切ですよね!普段、仕事などでは、自分にしかフォーカスしていない人や、圧力をかけたりする人もいますが、もっと支え合えるといいなと思います」
オーディションショーである以上、出演者たちは決勝進出や優勝を視野に入れている部分もあることだろう。しかし、それと同時に、本番に向ける情熱や緊張感といった、参加者だからこそ体験できる思いをパフォーマー同士が分かち合い、称え合えることもまた、コンペディション形式のイベントの醍醐味といえるのかもしれない。
3:作品を書くことには興味がありますし、大好きです
「色々なものを学んで、それらのバランスを身につけていきたい」
パフォーマーとしても非常に魅力的なアナさんだが、その一方で、実は戯曲の執筆や作曲家としての顔も持つ。代表作『I'M SINGING FOR CRAZY ONES』は、1人の役者が12役を演じるもので、世の中から見捨てられた人たち(out cast)の観点から描かれた作品だという。
― パフォーマー、そして作品をつくる側と、沢山の顔をお持ちのアナさんですが、今後の活動の展望がありましたらお聞かせください。
「作品を書くことにはとても興味がありますし、大好きです。挑戦したいことは沢山あるのですが、今は一つにコミットすることはできないので、とにかく色々なものを学んで、それらのバランスを身につけていきたいと思っています」
― 今後のご活躍を楽しみにしています。
「ありがとうございます。夏(※)に帰ってきます!」
国を超えてさまざまなバックボーンを持ったアーティストがステージを共有できること。そして、日本にも多くのミュージカルを愛する個性的なパフォーマーと、熱い観客がいることを外国の方にも体感していただけること。今回、スマッシュキャバレーに出演するため、ドイツからはるばるやってきてくださったアナさんにお話を伺い、ミュージカルを通じ、国境を超えて繋がる喜びをリアルに実感できたように思う。
年内に開催予定のスマッシュキャバレーグランプリでの再来日を約束してくださったアナさん。「その時はもっと日本に滞在できるように計画したいと思います!」と笑顔で仰っていた。グランプリでは、ミュージカルに情熱を傾ける人々が集うスマッシュキャバレーを通じた更なる文化交流の実現に期待したいところである。
※註:アナさんは、今夏に開催予定のスマッシュキャバレーグランプリ(各月の優勝者が集結する頂上決戦)への出演が決定しているため。
(Tateko)
■プロフィール: Anna Overbeck(アナ・ヴァーベック)
ドイツ出身の26歳の歌手/女優。幼い頃から舞台への情熱があったので、クラシックの声楽を学び、いくつかの合唱団でクラシックミュージカルからシャンソン、ロック/ポップス、オペレッタ、ブルースまで経験。この経験から、「I'M SINGING FOR THE CRAZY ONES」というショーを書いた。2016-2020年ウィーン私立音楽芸術大学でミュージカルを学び、卒業後はドレスデンのゼンパーオーパー、レハール音楽祭、バーデン劇場で勤務した。
文章・企画構成:Tateko
写真:中山駿
通訳:西岡舞
協力:SMASH CABARET https://smashcabaret.com/
中目黒TRY
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