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"化学調味料って体に悪いの?" 第五の味覚Umami・MSGの研究・化学調味料をバイオハック

◼︎SHOWノート

◼︎エピソードの要約

00:00:00 中華料理店症候群・第五の味覚・化学調味料を深ぼる
00:02:24 アナウンスメント「お花が綺麗」
00:03:09 干城のアナウンスメント「自然とテクノロジーの融合」
00:06:54 本日のテーマ「化学調味料ってどうなの?」
00:11:14 Umamiの背景と歴史「第五の味を発見したのは日本人」
00:13:55 生化学の視点「アミノ酸や核酸」
00:18:04 マリアージュってすごい「旨味のコラボは相乗効果」
00:20:20 タテキの見解「二元論はやめましょう」
00:25:23 MSGに関する研究「様々な実験を比較」
00:31:10 50年前に騒がれた話「CRS中華料理店症候群」
00:34:48 化学調味料をバイオハック「MSG摂取後のプロトコル」
00:36:42 受容体に悪影響?「神経伝達物質への影響」
00:41:02 俯瞰してみるMSG「”ちょっと”の頻度と量」
00:43:35 質問1: 酵母エキスはどうですか?
00:48:26 質問2: 最近プロテインが腎臓に悪いというニュースを見ました。摂取量が増えるにつれ、人工透析の数も増えているそうです。
00:54:40 本日のまとめ「愛弓さんの感想」

https://biohackercenter.jp/blogs/podcast/41

Co-host:生田目愛弓

◼︎対談中に話した話題

◼︎本エピソードで取り上げた記事や内容のリソース・文献・引用

MSG摂取と代謝障害に関するレビュー

概要
本論文は、MSG(モノナトリウムグルタミン酸)消費と代謝障害の進展との関係を探るものです。MSGは食品添加物として広く使用され、その消費量は過去30年間で大幅に増加しました。特に、肥満、糖尿病、高血圧などの代謝障害に関連するリスクが指摘されています。
主な内容

  1. MSGの定義と化学構造

    • MSGはグルタミン酸のナトリウム塩であり、食品の風味を強化するために使用されます。

    • 化学式はC5H8NNaO4で、水に溶けるとグルタミン酸とナトリウムイオンに分解されます。

  2. 使用と消費の歴史

    • MSGの消費は過去30年間で大幅に増加し、現在では年間300万トン以上が消費されています。

    • 主な消費国は中国、タイ、インドネシア、ベトナムなどです。

  3. 安全性と毒性

    • MSGの安全性については多くの議論があり、高濃度のMSG摂取が神経毒性を引き起こす可能性があるとされています。

    • WHOは個人の日常摂取量が120 mg/kg/日を超えないよう推奨しています。

  4. MSGと代謝障害

    • 肥満: MSGの摂取は、視床下部の病変、脂質異常、酸化ストレス、レプチン抵抗性などを通じて肥満を引き起こす可能性があります。

    • 糖尿病: MSGの摂取は、膵臓のβ細胞の質量を減少させ、インスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病のリスクを高めます。

    • 高血圧: MSGに含まれるナトリウムは高血圧のリスクを増加させることが知られています。

    • : MSGはタバコの風味を強化し、喫煙者のタバコ摂取を助長し、癌のリスクを増加させる可能性があります。

  5. 科学研究の結果

    • ヒューマンスタディー: MSG摂取がBMI増加や血圧上昇に関連していることが示されています。

    • アニマルスタディー: 動物実験では、MSGが肥満や糖尿病、神経毒性を引き起こすことが確認されています。

  6. 今後の研究の必要性

    • MSGの健康影響についてのさらなる研究が必要です。特に、長期的な摂取がどのような影響を与えるのかを明確にするための研究が求められます。

マウス実験の人間に例えると何グラムの摂取か

マウス実験の用量から人間への換算
例えば、マウスにおける用量が3 mg/gの場合:

  • マウスの用量: 3 mg/g

  • マウスの体重: 30 g

  • 人間の体重: 70 kg

この場合、マウスの用量を人間に換算すると:

  • マウスの体重に対する用量:3 mg/g × 30 g = 90 mg

  • 人間の体重に換算:90 mg × (70 kg / 0.03 kg) = 210000 mg = 210 g

以下に、文献から引用された主要な研究の一部を抜粋し、ヒューマンスタディーかマウススタディーか掲載します。

  1. 肥満と代謝異常に関する研究

    • 「MSG increased body weight, body mass index, cholesterol, triglyceride, VLDL & LDL.」(3-4 mg/g, subcutaneous, rats)

      • マウススタディー

    • 「MSG- induced obesity.」(3 mg/g, via the rear brain, rats)

      • マウススタディー

    • 「Increased Body Mass Index (BMI), Metabolic syndrome and Obesity.」(Oral, 5 years, Healthy human)

      • ヒューマンスタディー

  2. 糖尿病に関する研究

    • 「MSG consumption resulted in decreased pancreatic beta cell mass, increased oxidative stress and metabolic rates, reduced glucose and insulin transport to adipose tissue and skeletal muscles, insulin insensitivity, reduced insulin receptors and induced severe hyperinsulinemia.」(2-4 mg/kg bodyweight of MSG, rats)

      • マウススタディー

    • 「The impact of MSG on fasting blood sugar in adult rabbits showed that the glycemic index is significantly influenced by time and dosage and that MSG has the potential to induce diabetes mellitus.」(Oral, adult rabbits)

      • ラビットスタディー

  3. 高血圧に関する研究

    • 「MSG use was not associated with significant weight gain.」(Adults (>20 years), questionnaire, 5 years, Human)

      • ヒューマンスタディー

    • 「Increased both Systolic and Diastolic blood pressure.」(Oral, 5 years, Healthy women and Nonsmoker men)

      • ヒューマンスタディー

  4. 癌に関する研究

    • 「MSG may have a proliferation-promoting effect on CRC cells.」(Oral, 0.5,1.0,10,50,100 mM, 24 Hours, Colorectal Cancer Cell (CRC))

      • 細胞スタディー

まとめ

レビューで引用された研究には、ヒューマンスタディー、マウススタディー、ラビットスタディー、細胞スタディーが含まれています。特に、肥満や代謝異常、高血圧に関する研究は人間を対象としたものも多く含まれている一方で、神経毒性や糖尿病に関する多くの研究は動物を対象としています。マウススタディーで悪影響が示されている摂取量はWHOが推奨している量よりさらに多い量の摂取となります。

Q&A 質疑応答

質問1: 酵母エキスはどうですか?

酵母エキスは、酵母を原料として製造され、酵母細胞を加水分解することで得られるエキスです。このプロセスにより、アミノ酸やペプチド、ヌクレオチドなどの天然成分が豊富に含まれています。

MSGの生産過程

  1. 発酵: MSGの製造は通常、とうもろこしやサトウキビなどの植物から抽出された糖分を利用して行われます。微生物(通常は菌類や細菌)を使用して糖を発酵させ、グルタミン酸を生成します。この発酵プロセスは自然界でも見られる微生物の活動を利用したもので、自然なプロセスです​​。

  2. 精製と結晶化: 発酵によって生成されたグルタミン酸は、次に精製され、ナトリウム塩(グルタミン酸ナトリウム、つまりMSG)に変換されます。この過程には化学的な処理が含まれ、ここが人工的な部分となります。精製の過程では、発酵生成物から不純物を取り除き、高純度のグルタミン酸を得るための化学処理が行われます。

  3. 工業生産: さらに、大規模な工業生産では、プロセスの効率化やコスト削減のために人工的な手法が採用されることが多いです。これには、発酵条件の最適化、微生物株の改良、化学薬品の使用などが含まれます​​。

多くの食品メーカーが、化学調味料の代替として酵母エキスを使用しています。酵母エキスが怖い、何かわからないという方は、生産工程を少し勉強してみては?以下、BtoBで酵母エキスを販売している企業さんをリサーチしました。

オリエンタル酵母工業株式会社

オリエンタル酵母工業は、日本国内で酵母エキスの製造・販売を行っています。酵母エキスは主に工業用培地や細胞培養用に使用されるほか、さまざまな食品製造にも利用されています。顆粒や粉末タイプがあり、コーシャやハラル認証にも対応しています​ (オリエンタル酵母工業株式会社)​。

バイオスプリンガー(Biospringer)

バイオスプリンガーは、グローバルに酵母エキスを提供しており、日本国内でも食品や飲料向けに販売しています。彼らの製品ラインナップは、複雑な風味を提供する酵母エキスから、旨味を強化するためのものまで多岐にわたります。特に、「Springer Umami」シリーズは、強い旨味を持つ酵母エキスで、食品や飲料の味を向上させるのに適しています​ (Biospringer)​。

富士食品工業株式会社

富士食品工業は、業務用調味料や食品原料として酵母エキスを提供しています。酵母エキスはアミノ酸やペプチド、核酸などを豊富に含み、食品の味を引き立てる役割を果たします。また、栄養成分も豊富であるため、微生物培地としても使用されています​ (Fuji Foods)​。

質問2: 最近プロテインが腎臓に悪いというニュースを見ました。摂取量が増えるにつれ、人工透析の数も増えているそうです。

質問者さんの内容が明確でないため、タンパク質の摂取量ではなく、「プロテイン」とおっしゃっているので、いわゆるサプリメントのホウェイプロテインパウダーの摂取量が増えると透析患者数が増えるってどう思いますか?という質問内容でお答えします。

慢性的に高い血糖値が腎臓透析の必要性に関連しているのは、過剰なタンパク質摂取よりも一般的です。

  • 糖尿病患者における腎症の有病率とメカニズムについての議論と、慢性高血糖が腎機能に与える影響> 2型糖尿病患者の腎症

  1. 糖尿病性腎症:

    • 糖尿病性腎症は、慢性腎臓病 (CKD) および末期腎不全 (ESRD) の主要な原因であり、しばしば透析が必要になります。

    • 高血糖値は腎臓の血管を損傷し、時間とともに腎臓のろ過機能を低下させます。

    • この状態は、1 型および 2 型糖尿病の患者に特に多く見られます。

  2. タンパク質摂取:

  • 過剰なタンパク質摂取は、既存の腎臓の問題を悪化させる可能性がありますが、健康な個人では腎不全の主な原因となることは少ないです。

  • 研究によれば、高タンパク質食は腎臓の負担を増加させる可能性がありますが、直接的な腎不全の原因とはなりません。


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