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外部から京大の大学院に合格しました

おはこんばんにちは、しまです。

大学院の入試が終わり、しばらくほげ~っとしたい気分なので、記憶が残っているうちに外部院進のあれこれについて書き残しておきたいと思います。

自分が受験するとき、同じ学科に合格した先輩のnoteやブログが参考になったので、来年度以降同じ学科を目指す人に情報が届いたら嬉しいなという気持ちと、複数の友人に「どんな感じで勉強したの?」とか、「発狂してるけど何科目あるの??」とか聞かれたので、記憶が新しいうちに振り返ることで以後わかりやすい返答をしたいな~というモチベで書きます。

ちなみに、このnote、7000文字以上あります。
TwitterX50ポスト分くらいですね。Twitterの単位くれ。

(2023年9月6日 開示結果と専門基礎Bの部分に手を加えました)


受験のきっかけ

明確に何かの出来事があったわけではなく、いくつかの出来事があって、徐々に外部院進を目指すようになりました。人生計画が絡む理由もあるんですが、めちゃくちゃ立派で、それはもう100億万ドルの夜景くらいの有料級なので(大嘘)、ここではきっかけを軽く紹介します。

1.B3のときに就活をかじって外に出てみたいと思った
憧れている先輩の影響と単純な興味から、B3の春から秋ごろまで就活をかじりました。座談会で社会人のお話を聞いたり、企業のインターンに参加したり。内容はどれも有意義なものでしたが、地元志向が強いと感じ、逆張り好きな私としては、県外に出て逆張りしたくなりました。県内の企業を中心に見ていたので地元志向が強いのは当たり前。

それってサァ、地元志向が強かったのって実は私だったてコト!? 泣いちゃった!!!!


2.いいな!と思った研究室をいくつか見つけた
外部の研究室をネットで調べる中で、興味がある技術に関わる研究室を見つけました。そこからコースのサイトに飛んで他の研究室を調べると、他にも魅力的な研究室が複数見つかりました。
正直B3,B4で専門的なことはよくわからなかったのですが、研究室のHPの更新で「~を発表しました」や「~さんが受賞しました」など、精力的に研究活動をしている様子を見て、憧れを抱くようになりました。

3.TOEICの点数が活かせると思った
私が受験した通信情報システムコースの配点は、当日の試験が800点で、外部の英語試験が200点の1000点満点でした。
他の情報学研究科のコースでは、TOEFLしか認められていなかったり、TOEICの点数換算式が他の試験よりも少し不利に感じられたりと、TOEFLやIELTSのスコアが必要そうな印象を受けました。

ただ、TOEICで915点を取得していたので、このスコアをできるだけ利用したい。(このままだとこのスコアは、ふと好きな人からTOEICの点数を聞かれ、正直に答えたところドン引きされてそれが理由で失恋したという悪しき思いでにしかならないので)利用させてくれ、と思っていました。

募集要項を確認すると、通信情報システムコースはTOEICでも不利に働かなさそうな書き方がされており、全体の5分の1を占める英語で9割得点できるのは有利では!?と考えました。(実際のところ、正確な換算は不明なので、開示が届いたら追記します。)9/6試験結果の点数開示が届きました。

英語は186.43点でした。TOEICだからといって不利になっているということはなさそう。ちなみに、失恋の話は真っ赤な嘘です。ごめんなさい。

4.京都の街が単純に好き
京都の街、めっちゃすき。住みたい!!!って思っていました。
見学会に赴いた際、初めて京大の構内や周辺を歩いたのですが、百万遍座標系の点に日常的になりたいなって思いました。
鴨川の風情、祇園のお団子も好きすぎる。

きっかけはこんな感じです。B3の夏頃~B4にかけて、徐々に外部受験への想いが強くなったという感じです。実った後の恋心と逆ですね。
物足りないと思った方は、ぜひ私と仲良くなって聞いていただけたら、幼児用プールくらい深い人生計画を語って差し上げましょう。

通信情報システム専攻の配点

順序が前後しますが、合格したコースの正式名称は、京都大学大学院情報学研究科の通信情報システムコースです。最新年度の情報は、公式のHPで確認していただければと思います。
合格発表から数日経ったある日、母が「そういえば、なんていうところに合格したの?」と聞いてきたので、長い正式名称を早口言葉のようにドヤ顔で3回唱えたら、嬉しそうに何回も口ずさんで覚えようとしてくれました。うれしい。

合格者の決定方法

2024年度の募集要項によると、合格者の決定方法は以下のように書いてあります。

筆記試験の成績(800 点満点)と TOEFL/TOEIC テストの成績 (200 点満点に換算) の合計により「有資格者」を定め、有資格者について成績順に希望に従い配属先の区分を決定する。願書に記入していない区分には配属しない。配属先が決定した有資格者を合格とする。TOEFL iBT から TOEIC への換算は、 (換算点) = min (990, 7.453 * (TOEFL iBT のスコア) + 237.0)で行う。

http://www.i.kyoto-u.ac.jp/admission/application.html
京都大学大学院情報学研究科HP募集要項より


筆記試験は、必須科目のAと選択科目のBに分かれています。
2024年度入試から科目が大きく変更となりました。

それ以前の入試科目については、リンク先の記事に記載されています。
https://note.com/inshicat/n/n6ceb974ed6c5

まず、専門基礎Aから。

専門基礎A

「数学(微分積分、線形代数)」、「論理回路」、「情報理論」、「計算機アーキテクチャ」の4つの分野から各1題ずつ、計4題が必修問題として出題される。

http://www.i.kyoto-u.ac.jp/admission/application.html
 京都大学大学院情報学研究科HP募集要項より

専門基礎B

以下に掲げる13の出題分野(カッコ内は出題範囲)の中から出題される。6題が選択問題として出題され、受験者は解答時に3題を選択して解答する。
出題分野及び出題範囲:「数学(複素関数論、フーリエ解析、微分方程式)」、「電磁気学(静電磁気)」、「電気電子回路」、「データ構造とアルゴリズム」、「プログラミング言語」、「グラフ理論」、「情報通信工学(情報伝送、通信ネットワーク)」、「通信基礎論」「電波工学(電磁波、アンテナ、伝搬)」、「計算機システム」、「オートマトンとア ルゴリズム論」、「プログラミング言語処理系とOS」、「計算と論理」

http://www.i.kyoto-u.ac.jp/admission/application.html
京都大学大学院情報学研究科HP募集要項より

え???????

13個科目が提示されてるのに、当日6個しか出題されなくて、
しかも解くのは3つなの??????????
そんなことってあるの???
どれを勉強すればいいのーーー????

いみわかんないジョー、あはは

合格するために作戦を立てたジョ~

スケジュール

今年度からの変更に伴い、必須科目である専門基礎Aでどれだけ確実に点数をとれるかが重要になると考えました。幸い専門基礎Aの科目は学部で履修していたため、まずは重要かつできそうな部分から始めようと思い、専門基礎Aの4科目の勉強を、B3の3月頃から始めました。
次に、専門基礎BをB4の5月の後半から始めました。過去問演習と教科書・ネットの解説サイトの往復をひたすら行いました。6月末には、対策科目の基礎は一通り終わっていたと思います。
7月は、過去問演習と復習をやりました。

ざっくりまとめるとこんな感じ。

(B3)3月~(B4)5月   専門基礎A、(見学説明会5月)
5月後半~6月末  専門基礎B(ここらへんが一番きつかった)
7月        過去問演習、全体の復習
8月        合格への機運を高めるための飲酒

8月は非常に暑かったので、毎晩少しだけビールを摂取していました。
酒!飲まずにはいられないッ!!!

内部生が使っている教科書で勉強する

勉強の方法として、まず内部生が使っている教科書で内容を理解するところから始めました。
外部受験では、似た系統の学科でも大学によりカリキュラムが異なるため、同じ名前の科目の授業を履修していたとしても、入試で出る内容は習ったことがない、ということがあり得ます。その前提知識のギャップを、内部生と同じ教科書を使って埋めることで、効率よく勉強できると考えました。

実際に、数学、情報理論、論理回路、計算機アーキテクチャはどれも履修したことがあったのですが、過去問を見たところ、全然わからない問題がありました。そこで、京大の電電のシラバスから内部生が使用している教科書を見つけ、購入しました。(教科書については、後の項目にまとめます)

シラバスやカリキュラムを調べて対策範囲を絞った

情報学研究科の通信情報システムコースは、京大の電電の人と情報の人が受けるので、専門科目Bで出題される6題は、電電の人も情報の人も解けるようにバランスよく選ばれるだろうと思いました。
そこで、電気電子工学科のシラバスやカリキュラムから、専門科目Bの中で電電の人が何の科目を履修しているのか調べました。

「数学(複素関数論、フーリエ解析、微分方程式)」、「電磁気学(静電磁気)」、「電気電子回路」、「プログラミング言語」、「情報通信工学(情報伝送、通信ネットワーク)」、「通信基礎論」「電波工学(電磁波、アンテナ、伝搬)」、「計算機システム」、「グラフ理論」(選択科目っぽい?)

 

だと思われたので、上記の中で「プログラミング言語」と「グラフ理論」以外の7科目を対策していきました。

当日出題された6題の内訳は、予想通り電電の人も情報の人も解けるになっていました。私が対策した科目の中では以下の4科目が出題され、「計算機システム」以外の3題を解きました。
「数学(複素関数論、フーリエ解析、微分方程式)」、「電気電子回路」、「情報通信工学(情報伝送、通信ネットワーク)」、「計算機システム」

TOEICについて

心の安寧と試験を有利にするために、余裕をもって複数回受験し、十分な点数を取っておくことを強くおすすめします。
特に外部受験生は、情報量の少なさや前提知識の違いから、内部生に比べ不利な点が多くあります。英語の勉強を頑張ることで、当日より前に少しでもアドバンテージが取れるならば、そのアドバンテージを享受するほかないと思います。
915点をとったときの対策としては、金のフレーズを最後までやって、3回チャレンジ法という勉強方法で公式問題集や精選模試を10個分くらいやりました。3回チャレンジ法はおすすめです。

専門基礎Aの勉強

以下の教科書を使用しました。(内)とあるものは、シラバスを調べ内部生が授業で使用していると思われるものです。

  • 数学 微積:演習 微分積分キャンパス・ゼミ

  • 数学 線形代数:入門線形代数 三宅 敏恒著

  • 論理回路:OHM大学テキスト 論理回路(内)

  • 情報理論:情報理論 改訂2版(内)

  • 計算機アーキテクチャ:コンピュータの構成と設計 第5版 上(内)

学部で習ったことがない知識もあったため、教科書で一度知識を入れてから過去問演習という流れで勉強をしました。ただ、アーキテクチャの教科書はかなり太いので、過去問を見てわからないところがあれば教科書を見るという流れで進めました。

専門基礎Bの勉強

7科目勉強していきました。科目数が多くて発狂していました。あっちの科目をやったらこっちの科目を忘れるというような毎日で、幼児退行したくなりましたが、なんとか踏みとどまりました。
さて、使用した教科書と各科目の対策方法は以下の通りです。

数学

  • 数学 微分方程式:常微分方程式キャンパス・ゼミ

  • 数学 微分方程式:微分方程式概説(新訂版)

  • 数学 複素解析:複素関数キャンパス・ゼミ 

  • 数学 フーリエ解析:OHM大学テキスト 通信方式(内)

フーリエ解析、常微分方程式、複素関数の3分野が出題されます。フーリエ変換は、後で出てくる「通信基礎論」の教科書で対策しました。出題される問題はほとんど基礎的な内容なので、マセマをやれば十分だと思います。

電磁気学

  • 電磁気学:電磁気学 島崎・松尾著(内)

  • 電磁気学:弱点克服 大学生の電磁気学 石川裕著

出題される問題がパターン化しているような気がしたので、内部生が使用している教材も使用しました。一般的な問題集にある基本的な解法はもちろん、鏡像法の球の問題や語句の説明などもしっかり対策しました。

ちなみに、院試科目の中だったら電磁気学が最推しで、院試勉強期
間中、「彼氏は?」と聞かれると「電磁気学です」と答えていました。推しポイントとしては、マクスウェル方程式が電磁理論全体の体系を成しており、高校物理では全く別の事象かのように扱われたテーマや現象が、元をたどるとたった4つのマクスウェル方程式に結び付いているという美しさ、定性的なイメージや一般的な事柄が計算結果から定量的に確認できる納得感といったところでしょうか。そこそこボリュームのある問題集を3日で終わらせ、同級生から引かれたのはいい思い出です。

それなのに!!!
こんなにも好きなのに!!!
試験当日
電磁気学は
出題されませんでしたーーーーーー!!!!
チクショー!!!!!!!!!!!!

そういうときもあるよね~(by コウぺンちゃん)

電気電子回路

  • 電気電子回路:電気回路理論 奥村浩士著(内)

  • 電気電子回路:大学課程 電気回路(1) 大野克郎,西哲生著

内部生が使用している教科書が個人的にやりにくかったので、手元にあった教科書をやりました。テブナンの定理・ノートンの定理、ブリッジ回路、四端子行列やオペアンプを用いた回路が頻出になっています。
電子回路については、節点方程式の立て方や仮想短絡・仮想接地を理解しておくとよいと思います!

情報通信工学(情報伝送、通信ネットワーク)

  • OHM大学テキスト 通信方式(内)

教科書は上記のものだとシラバスにあったのですが、教科書を終えて過去問を見ても何もわかりませんでした。M/M/1モデルやリトルの公式等、毎年繰り返し出題されるテーマが多かったので、ひたすら過去問とネットの検索で耐えました。

通信基礎論

  • OHM大学テキスト 通信方式(内)

専門基礎Bの中で一番最初に手を付けた科目です。5月後半くらいに、5日で教科書を1冊大体何を言っているのか理解して、過去問と並行して理解を深めていくという方法で勉強していました。
学部で同じような内容の授業をとっていたので楽勝だと思いきや、授業で習った範囲よりもこちらの教科書で扱っている内容が広く、最初は苦しかったです。ただ、この教科書に書いてあることがそのまま問題として出たり、毎年繰り返し出題されるテーマが多かったので、最後の方は比較的簡単に感じるようになりました。

電波工学(電磁波、アンテナ、伝搬)

  • 電波工学(改訂版) 長谷部望著(内)

過去問を見ると、頻出のテーマ(TE波・TM波の反射率、透過率、ブリュースター角、ダイポールアンテナのつくるベクトルポテンシャルから電界磁界を求める問題)がほとんどなので、3章の平面波と5章のアンテナについての部分を繰り返し読みました。

計算機システム

  • コンピュータの構成と設計 第5版 上下(内)

専門基礎Aの計算機アーキテクチャと同じ教科書です。この科目に関しては、全くの0から勉強をはじめました。どちらかといえば情報系の科目だと思っていましたが、電電の人が履修しているので、不安要素を無くすためにも勉強していこうと思いました。
はじめから教科書を読むと挫折しそうだったので、まずは過去問を解いて頻出の知識をインプットしました。そこから教科書等を利用したり、情報系に詳しい友人に教えてもらったりして理解を深め、とりあえず過去問は解ける状態までもっていきました。(焼肉を 奢るくらいの 大感謝!)
だけど当日は過去問で見たことがない問題がいくつかあったので潔く諦めて、他の解けそうなやつを解きました。

開示結果(9/6:追記しました)

9月に点数の開示が来るので、後日追記します。
→9/6:開示結果が来たので追記しました。

英語が186.43点(93%)、専門基礎Aが257点(64%)、専門基礎Bが296点(74%)で、全体では739.43点(74%)でした。

専門基礎AとBの配点についてですが、友人の開示結果を見せてもらったところ、専門基礎Bの点数が「XXX.33」のように端数になっていました。これを考えると、専門基礎Bは1科目を100点満点で採点した後、4/3倍している可能性が高いと考えられます。
希望の研究室に行くには7割程度という噂を聞いていたので、ギリギリだったと思います。

自己採点では、専門基礎Aが70%、専門基礎Bが60%で、520点/800点。(点数の配分がわからないけど、800点を単純に7で割るとした場合)
これに加えて英語の配点が200点分あり、915÷990×200≒184点で合計700点/1000点くらいだと思います。(9/6:開示前の予想なので線を入れました)

院試を終えて思ったこと

外部院進は孤独な戦いとは言いますが、幸い同じように外部院進を目指す友人がリアルで周りに3人いたという環境と、応援してくれる友人や先輩・後輩にたくさん支えられました。既に直接伝えている方も多いのですが、感謝の気持ちをネットの海にも置いておきます。ありがとうございました。

これまで、わからない部分はなるべく自己解決してきたのですが、対策科目が多く初めて学習する科目が複数あったため、今回はなるべく人を頼りました。質問する側、される側の両方を経験して、どこを疑問に思っているのかが分かりやすい質問をするように心掛けるようになりました。

また、見学会でLINEを交換した人と、情報交換や過去問の答え合わせができて助かったので、これから見学会に参加される方は積極的につながっておくといいかもしれません。(ライバルになるのでどれくらい情報交換するかは難しいところですが・・・)


最後になりますが、合格後の祝杯は最高でした。
ごちそうさまでした。
これからもいろいろ頑張ります。

愛すべき!電気ブランとビール

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