有限会社うまのほね 第1話「学校の七不思議」
カメラ、小型PC、ペンチ、空のSSD、各種工具、フレキシブルディスプレイ…仕事道具が詰まった工具箱を閉じると、ハルキは店のロゴ入りジャンパーを羽織り、外へ出た。
和歌山市内某所。町にはスマートグラスを掛けた人々が行き交い、配達用ドローンが飛び回り、四足歩行の警備ロボが闊歩する。それらが壊れたときに直すのが、機械修理工・飯島ハルキの仕事だ。
彼は愛用の電動アシスト付き自転車のカゴに工具箱を詰み、サドルに跨って振り返った。
「じゃ、いってくるわ。店番頼むぞ」
「うん!」
答えたのは、近所の小学生・カンタ。彼が今日の依頼人だ。
普段から遊びにくる子だが、今日はその手にお気に入りの玩具を握りしめ、泣きながら駆け込んできたのだった。
──おじちゃん、これあげるからさ、だからさ!
自転車を漕ぎながら、ハルキはカンタの言葉を思い返す。
彼は泣きながら、こう叫んだのだ。
──タロウを助けて! ドローンのおばけにさらわれた!
【つづく】
2019/2/13 本連載開始
本作をベースに加筆・修正し、本格連載開始しました。
Header Photo by Jack Douglass on Unsplash
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