龍の住処へ至る道 第1話
東の山の向こうに”翠の龍”がいるという言い伝えは、じーちゃんのそのまたじーちゃんよりも昔からこの村に伝わっていた。俺もその美しい姿を見たことがある。3歳の頃、霧のない朝のことだ。
俺は"翠の龍"に猛烈に憧れた。
だから俺はあの日、魔物が棲む山を超えて、会いに行ったんだ。
*
「…ん」
随分昔の夢を見た。もう10年も経つか。
「起きたか、カムロ」
じーちゃんの声。俺は軽く頭を降り、眠気を払う。
「なにやらうなされとったが」
俺は愛用の大斧を手に、起き上がった。
「龍の夢を、ね。見張り、変わるよ」
「…そうか」
じーちゃんはそれだけ言うと横になった。
パチパチと焚き火が爆ぜる。
手にした斧…"翠の龍"の骨で作られた刃に映る俺の顔は、憎悪に歪んでいた。
「…オオムカデの、リン」
その男は、10年前の"翠の龍"に向かう旅の用心棒だった。そして。
──やっぱ蒲焼きがいいよね、龍ってさ。
奴はあの日龍を殺し、食ってしまったのだ。
【つづく】
タイトルが先に出てきて、次に「龍の蒲焼き」って単語が出てきて、あとは思いつくままに書いた。大斧はロマン。神龍もロマン。大男と爺のふたり旅もロマン。胡乱な偏食家もロマン。ロマンの塊。
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