ワンス・オン・ディス・タウン
「最低限のコストで高性能なものを」
その男は、小さいながらも真っ当な会社の社長だった。彼は都内の一等地に置かれたシェアオフィスを活用している。掃除などしなくて良いし、育成コストを払うことなく高度人材と共に仕事ができる。
「最低限のコストで高性能のものを」
それが彼の口癖だった。
同じ理由で、彼はシェアサイクルやライドシェア、ワーキングシェアなども活用し、目覚ましい成果を上げていた。
彼はミニマリストだ。家も借家だし、最低限の家具と肌着以外は洋服すらも借り物だ。破損してもすぐに直してもらえるし、新しいものが出れば取り替えてもらえる。引っ越しが必要になっても、最低限の荷物で出て行ける。
そんなある日、この街である条例が可決された。名だたる大企業のお偉い方が賛成・協賛するという。
「物事はウィン・ウィンであるべきだ」と市長は言った。
その男は、小さいながらも真っ当な会社の社長だった。
少なくとも、その時までは。
逆噴射小説大賞に出そうか迷ったけど、続きを書く気はないので、やめた作品。
ショートショートとしてここで供養。
仕事柄、シェアリングエコノミーについてよく調べるんですけど、あれマジで便利ですね。カーシェア、ライドシェア、人材シェア…そのうちPCの余ったリソースをシェアするとか、飲みかけのボトルのシェアとかも出てくるんじゃなかろうか。
でもそれって"シェア"である限りはどこかに"提供者"や"持ち主"がいるわけで…という話。
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