『交換日記』 あとがき
初めての方は初めまして、いつもの方はご機嫌麗しゅう。桃之字です🍑
本noteでは超・妄想コンテスト94"発覚"応募作『交換日記』のあとがきと、製作中の検討や物語構成の思考などのメモを公開しています。
あとがき部分はネタバレなしですが、そのあとはめっちゃんこネタバレが含まれますので、先に本編を読んでいただくのが良いと思います。
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あとがき
今回のテーマは"発覚"でした
今回の"発覚"というテーマ、物語の導入としてはよくあるものなんですが、だからこそどう展開させたもんかと悩みがちで、結構基礎体力みたいなものが問われるテーマだったように思います。
僕自身、執筆の中で心の便秘とかショック療法的短編とかを挟んでようやくひとつ、「これだ!」と思ったものが浮かんだくらいで。
いろんな案が浮かんでは消え浮かんでは消え……。例えば「親父に隠し子がいた!」とか「妾の子は俺の方だった!」とか「フロッピーディスクの中に軍の機密が入っていた!」とか。発覚自体は色々と浮かぶんですが、どれも結末まで物語が進まなそうだったのと、僕自身のテンションが上がらなくてお流れになりました。
そういうわけで、物語冒頭の"気のせいじゃない。私の部屋に、誰か住んでる"という言葉は、ようやく腑に落ちた奇跡の文言でした。
この言葉は物語をドライブさせて読者を引き付けるのに十分なパワーがあると思えたし、その言葉からさらに物語が、キャラクターが、世界が出来上がっていく様子はかなり壮観でした。いやぁ、その瞬間のために創作をしていると言っても過言ではない。
もうひとつ裏話をすると、本作は元々「座敷わらしと交換日記」というタイトルで書いていました。最終的に友人に読んでもらった時に「それじゃタイトルのサプライズ感ないだろ。交換にきだけにしとけ」と言われて納得して変更。「あーー交換日記ってそういうことか」ってなってもらえたら嬉しいです。
裏話やらを話し始めるとかなりネタバレになってしまうので、ノンネタバレあとがきとしてはここまでです。
結構気合い入れて書いた作品なので、ぜひよろしくお願いします!
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ここからはネタバレありの記事です。
まだ本編読んでない方はこちらからどうぞ。
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振り返り:本作の目標
今回の目標は、①二段階の「発覚」を描くこと、②既存ストックでなく新しい世界を作ること、の大きく二つありました。どちらも無事達成できて満足です。
①二段階の「発覚」を描く
冒頭でひとつ「発覚」して、それにまつわるドタバタの後、物語の最後にそれをひっくり返す「発覚」が発生するイメージ。
世にも奇妙な物語なんかだとよくある。あと、SFだと星新一氏の「おーい、でてこーい」とかが有名か。冒頭で「お??」ってなる新事実を持ってきてからの、最後の"発覚"でひぇってなるパターンのあれ。
②既存ストックからではなく新しい世界を作る
逆噴射トーバーで出し切ったような気がしなくもないけれど、そこは挑戦ということで。そもそもこの手の賞は未公開作品を出す方がベターだと思うし、そうしました。
振り返り:物語構成
これは逆噴射プラクティスでいうところのまず最初ににとり殺せってやつに則って、冒頭400文字で最初の発覚を描くのはますとだと思いました。さらにそのメソッドで言えば、人が死ぬことと同じくらいのインパクトのある「発覚」を持ってくる必要がある……と言うことでそこからが長かった。
ここから2週間くらい苦しみました。スッゲー悩んで、途中に心の便秘とかショック療法的短編とかを挟んで、ようやく出てきたアイデアが、今回のコメント部分にもある 「気のせいじゃない。私の部屋に、誰か住んでる」という言葉でした。
そのアイデアを元に出てきたのが「現代版座敷わらし」。まぁ、実際の座敷わらしは「家にいるだけ」なのでちょっとアレンジ版ではあるけれど、とにかくそういう発想からこの物語が形を成して行きました。
そこに今回の目標である”2段階の発覚”を組み合わせると、イメージとしては、座敷わらしとの心温まるお話にしたあとに「と思うじゃん?」みたいになるかなと。まぁ、そこで死んじゃうとか幽霊になるとか実は人外だったとかそういうのは気が乗らなかったので、結果としてミヤコという女性が実は……という風に持っていくことにした。
それはそれとして、最後の一言に関してはそれとは別枠で思いついたんだけど、思いついた瞬間マジでうひょーーーってなった。あれは気持ち良いわ……
振り返り:キャラクターについて
ユメノは鈍感すぎるのと平和ボケしまくってて、書いてる僕自身ですら大丈夫かこいつって思ってたのはここだけの秘密。ミヤコ、アキコはまぁ、割と都合よく動かせる人たちでした。
ちなみにミヤコのキャラクターイメージは砂塚あきらちゃんでした。僕はアイマスやってないんで性格は存じ上げないんですが、ビジュアルはこんな感じ。ユメノについてはビジュアルイメージ全くなかった。
振り返り:その他物語検討
コンテストに応募するにあたって、物語以外の部分で考えたことや調べたことの覚書とその感想です。あとがきと言うにはざっくばらんとしている気もするが、まぁ供養と思って掲載します。
レギュレーション確認
今回のレギュレーションは「100字〜8000字。8000字を超えたものは即選外になる」。文字数だけで言えば逆噴射小説大賞の20倍。
拙作の短編で言うと、「21XX年プロポーズの旅」が2万2千字くらいでした。「21XX〜」で8000字というと、火星でかっぱらった星間バスにガラハッドが乗り込んできたあたりまで。
また、「トレンチコートとモッズコート」がだいたい1万字くらいで、トレモズはPartの境目ごとにトラブルがあったことを踏まえると全部で3つ山がある。
……そう考えると、8000文字だと山はひとつかふたつが限界か。
対象マーケット確認
受賞作に対しては「5分で分るシリーズへの掲載の可能性」が示唆されています。これは「5分後に感動のラスト」とか「5分後に驚愕の真実」みたいなやつ。
つまり読者層もこういうのを読む人たちと想定されるわけなのだけど、そうなるとぶっちゃけ向いてない。作家としてじゃなく人として。
僕自身、「ラストに大どんでん返し!」だの「絶対泣ける!」だの言ってる映画のCMが苦手だし、僕の周りにもそれをありがたがる層はいない。身の回りにいないということは、そういう層は僕の身の回りから去っていったか、観測不可能なよう位相がずらされてたりする可能性が高いということになる。
一気にハードルが上がった気がする。どうしようこれ。
手記はここで途絶えている・・・▼
未来へ
Twitterでも書いたんですがエブリスタよりもnoteのほうが気楽なもんで、ベースはこっちでやりつつも、お題企画が結構面白げなので、気が向いたときにチャレンジしていきたいと思います。
ちなみに現在の募集企画と〆切はこんな感じです。どれもパルプみあるお題だと思うんですよね。ご興味ある方いればぜひ。
2/24〆『チョコかと思ったら・・・』
3/3〆『このイラストにセリフをつけよう!』
3/10〆『とける』
いじょうです
次は逆噴射小説大賞発の短編を書く予定。ガンバルゾー