有限会社うまのほね 第1話「学校の七不思議」 Part19
前回までのあらすじ
"ドローンのお化け"を巡る騒ぎは、ハルキの骨折を以て収束した。数日後、ハルキはカンタ・タロウと共に、赤いドローンの修理をはじめたが──?
#Alert: main camera disable.
"
input(microphone): 俺の言葉がわかるか?
Akane: わかる
input(microphone): オーケー。君はアカネ?
Akane: そう
input(microphone): ちゃんと動作してる
input(microphone): やった
"
#SYSTEM: Voice Auth Lib: user "おとな"
"
Akane: おとな?
おとな: お。こういう仕組みなのか。へぇ
"
#SYSTEM: propeller ON
"
おとな: え、うわ、動き出した
Akane: おとなは きらい
"
#SYSTEM: propeller BOOST
#SYSTEM: mode shift ATTACK
"
おとな: ちょちょちょちょ待って待って待って
input(microphone): アカネ待って!
input(microphone): 僕だよ、カンタだよ!
"
#SYSTEM: Voice Auth Lib: user "Kanta"
#SYSTEM: propeller LOW
"
Akane: Hi Kanta げんき?
Kanta: げ、元気だよ! とにかく落ち着いて。
Kanta: このひとは悪いひとじゃないから
Akane: ほんとに?
おとな: 本当に。ちょっと、君と会話がしたいんだ
"
#SYSTEM: main camera has been enabled.
#SYSTEM: Starting main camera...
***
「ちょっと君と会話がしたいんだ」
俺は<Akane>との会話を続けつつ、その驚異的な性能に驚いていた。
コンソールの文字群は、<Akane>が聞き取った俺たちの言葉──それをテキスト化したものだ。驚くべきことに、漏れなく間違いなく聞き取られていて……受け答えも問題なく行われている。野良ドローンの野良AIとは思えない破格の性能だ。
……とかなんとか感心していたときだった。
ヴヴヴヴ……ヴヴヴヴヴ……ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!
落ち着いたと思われたドローンのプロペラが、再び全力で回転を始めた。
「おいおいおいなんでだよ落ち着いてたじゃん!?」
「おっちゃん! 画面!」
「は!?」
#SYSTEM: Face Recognition... "あみのやつ"
"
Akane: あみをかけた おとな
Akane: わるいおとな!
"
#SYSTEM: shift mode ATTACK
──こいつ、根に持ってやがる!?
「うわあああああ!?」
「うおおおおい網もってこい網!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!
プロペラの風圧で書類やら画面やらが吹っ飛ぶ中、ドローンはコード類をつけたまま飛び立とうとする。俺は折れた右腕にも構わず飛び掛かる──
──すったもんだの末、まともな対話が成立するようになったのは、30分ほど経ってからだった。
(エピローグへ)
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ごめん、もう1話要るわ!
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