【文学史】明治時代

明治時代の思潮をまとめました。



著者とその人の作品一覧です。

小説・評論

〈黎明期〉
・戯作文学
江戸末期文学の流れを受け継ぎ、新時代の表層を描いた。

仮名垣魯文 『西洋道中膝栗毛』

・翻訳文学
西洋の文化や政治、思想を紹介した。

織田純一郎 『花柳春話』

・政治小説
自由民権運動を背景に政治の理想を物語形式で述べた。

矢野龍渓 『経国美談』

東海散士 『佳人之奇遇』

〈写実主義〉
現実を空想によらず、ありのままに捉えようとした。

坪内逍遙 『当世書生気質』『小説神髄』

二葉亭四迷 『小説総論』『浮雲』

〈擬古典主義〉
・硯友社とその時代
江戸期の戯作風の強い趣味的なものであったが、心理描写主体のものへ変換していった。

尾崎紅葉 『多情多恨』『金色夜叉』

山田美妙 『蝴蝶』『夏木立』

幸田露伴 『風流仏』『五重塔』
幸田露伴は硯友社に参加していないが、尾崎紅葉と並んで紅露時代を画した。

〈浪漫主義とその周辺〉
感情・個性・自由などを尊重、自然との一体感、神秘的な体験や無限なものへのあこがれを表現した。

森鴎外 『舞姫』『即興詩人』

北村透谷 『人生に相渉るとは』『内部生命論』

樋口一葉 『たけくらべ』『にごりえ』

泉鏡花 『高野聖』

国木田独歩 『武蔵野』

〈自然主義〉
理想化を行わず、醜悪なものを避けず、現実をありのままに描写しようとした。

島崎藤村 『破戒』『春』『夜明け前』

田山花袋 『蒲団』『田舎教師』

徳田秋声 『新世帯』『黴』『あらくれ』

正宗白鳥 『何処へ』

岩野泡鳴 『耽溺』

〈反自然主義〉
・高踏派
実証主義の影響下に、客観的・絵画的な詩格と形式上の技巧を重んじた。

森鴎外 『雁』『渋江抽斎』『青年』

・余裕派
現実に対して一定の距離を置く心の余裕を唱えた。

夏目漱石 『吾輩は猫である』『三四郎』『それから』

・耽美派
生活および芸術のうえで,美を最高の価値として重んじた。

永井荷風 『あめりか物語』『すみだ川』『濹東綺譚』

谷崎潤一郎 『刺青』『痴人の愛』『春琴抄』『細雪』

・白樺派
自然主義文学の反理想性に対し、個我の伸長を温和にうたいあげた。

武者小路実篤 『お目出たき人』『友情』

志賀直哉 『網走まで』『城の崎にて』『暗夜行路』

有島武郎 『或る女』『カインの末裔』

〈新体詩〉
西洋詩の影響を受けて、それまでの日本の和歌・俳句などの定型詩や漢詩から新しい詩型を目指した。

外山正一/矢田部良吉/井上哲次郎 『新体詩抄』

〈浪漫詩〉
西欧のロマン主義文学の影響を受けた。

北村透谷 『蓬莱曲』

島崎藤村 『若菜集』


〈象徴詩〉
叙述的表現によって直接に主題内容をうたうことをせず、音楽的・暗示的な手法で情調を象徴化して表現した。

上田敏 『海潮音』

薄田泣菫 『白羊宮』

蒲原有明 『有明集』

〈口語自由詩〉
自由律・平明な口語によって生活の情感を表現した。

川路柳虹 『路傍の花』

〈耽美派〉
美を人生の最高の価値とし,美の享受と創造をめざした。

北原白秋 『邪宗門』『思ひ出』

木下杢太郎 『食後の唄』

短歌

〈短歌の革新〉
落合直文が浅香社を結成、多くの門人を育成して、和歌革新運動を推進した。

落合直文 『孝女白菊の歌』

佐佐木信綱 『心の花』

〈明星派〉
ロマン主義的で、高踏的・唯美的傾向が強いのが特徴だった。

与謝野鉄幹 『東西南北』

与謝野晶子 『みだれ髪』

〈自然主義〉
平凡な人生をあるがままに描写した。

前田夕暮 『収穫』

若山牧水 『別離』

〈生活派〉
現実の生活を重視し、実生活の体験に基づいた創作を行った。

石川啄木 『一握の砂』『悲しき玩具』


俳句

〈俳句の革新〉
自然や事物をありのままに表現する「写生」を基本理念とした。

正岡子規 『病床六尺』『仰臥漫録』『墨汁一滴』

〈新傾向俳句〉
自然主義の影響を受けて個性重視、接社会を説いた。

河東碧梧桐 『碧梧桐詩集』『三千里』

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