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「モンキーピーク the rock」の清水がかっこよすぎる話

 今回は、モンキーピークという作品の紹介でもなければ、ストーリーの考察などでもなく、ただ完結している漫画の一部のキャラを持ち上げる話である。
 したがって、冒頭から盛大にネタバレしているので、ネタバレを読みたくない方は回避していただきたい。



 モンキーピークは三部作になっていて、時系列では「モンキーサークル」「モンキーピーク」「モンキーピーク the rock」の順になっている。

 モンキーピークではある製薬会社の社員が登山中、魔猿や彼らに恨みを持つ団体に襲われ、ほとんどが命を落とす。the rockでは、前作の生き残りと、魔猿を研究する大学や政府関係者(偽物)、その護衛として自衛隊(偽物)が洞窟に潜入する。

 (偽物)と書いたのは、読了済みの方は知っての通り、今回の部隊は、魔猿で一儲けしようとする連中が、政府を語って、早乙女たちや大学関係者を利用したからである。そして自衛隊(偽物)であるAチームははじめからそのことを知っていたと思われる。しかしなんらかの報酬があったから参加したのだろう。

 さて、ようやく本題。
 このAチームで最後まで生き残るのが、清水千葉である。
 この2人、最初から手榴弾を隠し持っていることを共有していたりと、物語のキーパーソンになることは示唆されていたが、特に千葉に関しては、いかにも当て馬的な小物感が終始漂っており、まさか生き残るとは思っていなかった。
 そして、その千葉も含めて、周囲の人間を当たり障りなく利用しながら立ち回っていたのが清水である。
 後半になるにつれ、千葉と一緒になって腹黒い役回りをすることが増えていくが、とにかくみっともない場面がほとんどない。

・最初に洞窟に閉じ込められた時点で、抜け道を掘り進め、貫通させた。
・高橋や赤崎にくってかかる場面はあるが、言ってることが至極真っ当。
千葉が謎のタイミングで手榴弾をぶっ放すと言いはじめた時、あっさり止めた。
・突然出てきたアトラトルで無双
・最後の魔猿との戦い、トオル母との戦いでは、トドメを刺すのは早乙女だが、完全に清水が功労者。

 ざっとあげただけでもこの活躍。
 余計なことをしていない上に、猿との戦いにおいては多大な貢献している。
 本作でいい人の役回りのキャラは、大抵が「いらんことしてる」か「いらんやつをかばう」のやらかしをしている。
 清水にはそれがない。

 そもそもビジュアルがかっこいい。
 早乙女や宮田よりもイケメンではないか。

 何より、清水が1番かっこいいのは、千葉のことを利用しているように見せかけて、なんだかんだ千葉がピンチになると心配したり、助かるととても喜んでいるところである。

 終盤では早乙女に「千葉さんを助けてあげてください」とまで言っている。
 命をかけて戦っている清水と早乙女を尻目にトンズラをこいた千葉を、である(さすがのこの時は「千葉、あいつ…!」呼ばわりしていたが)。

 その理由が、自分以上に壮絶な過去を持っているから、というのは少々理由として弱い気もするが、作中では描かれなかった千葉の良さのようなものを、清水は知っているのだろう。
 ある意味、千葉はAチームの中で1番、清水の強さや賢さを知っていたから、手榴弾の秘密を明かしたり、信頼してつるんでいたのかもしれない。

 葉山の「今となっては憎めない人たちでした」という言葉は、読者としても納得できる。
 千葉や清水の言動は最初から最後まで一貫していたし、筋は通っていた。
 2人の立場はかなり悪役っぽく描かれていたけど、そもそも猿は殺すなと言い張る民間人やら、その派閥をむやみに擁護する早乙女たちの方が、ある意味問題を引っ掻き回している。
 そして最後のあの活躍。
 清水に対しては憎めないどころか感謝してほしいくらいである。

 もう続編はないだろうが、もしもあるなら、どうか千葉清水を特攻させてあっさり死ぬような展開だけはやめてほしいと願うばかりである。

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