ショートショート【短所を教えてください】

「あなたの短所を教えてください。」

就職の面接で必ずといっていいほどこれを聞かれてきた。

僕はとても自分に誇りを持っている。
長所は？と聞かれればたくさん言うことはできる。
でも短所を聞かれると本当に思いつかない。自分に短所なんか1つもない！本当にそう思っている。

これは決してナルシストとかではない。
他人から見たら短所と思えることももしかしたらあるのかもしれない。
ただ自分の中では短所なんかない！
そう思うことで自信もついてきて上手くいくことも多い！って考えてた。

だから就職の面接で
「あなたの短所を教えてください」
って聞かれたら

「僕に短所は1つも存在しません！」

そう答えてきた。

どの会社でもそう答えてきた。
だって本当にそう思ってるからね。

ただそう答えるたびにどの面接官も呆れた顔をしていた。
一緒に面接を受けていた他の人が
「自分の短所はマイペースなところです。他の人の言動が気にならなくなってしまうほど作業に集中してしまうことがあるからです。」
と答えたときは面接官はなるほどといった顔をしていた。

どの会社の面接も落ちた。
短所なんかないほうがいいはずなのに。
どうやら短所がないと面接ではダメみたいだ。
どうしよう…
次面接受ける会社が最後だ。
ここで採用されないと…
でも短所なんて本当にないのに。

あっ！そうだ！
短所は作ればいいんだ！
そうと決まれば用意するものがあるな！
よし！これで面接は採用されるぞ！

ある会社の面接
面接官は恐怖に満ちた顔をして目の前の男を見ていた。
その男は入室するやいなや一緒に面接を受ける他の人をナイフで刺し殺したのだ。
男は言った。

「僕の短所はご覧の通り人殺しです！」