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私のワンオペ育児は美容院など行けない

幼稚園のママ友さんズとのランチ会に参加しました。
大人と会話をするのはとても久しぶりです。
息子のたるすけが3歳半を迎えたにも関わらず、お恥ずかしい話ではありますが、我々夫婦は産後クライシスの真っただ中にあるため、日常会話はほぼゼロ。同じ部屋にいても各々がワイヤレスイヤホンをぶっさしている次第です。

というわけで、日々の話し相手といったら、たるすけしかいません。毎日幼稚園で立派に社会生活を送っているたるすけは、すっかりお喋りも巧みになって、先日なんてクレーンゲームをやりたがるたるすけに、これは取れんて無理やわ止めとこと説得を試みたところ、「むりじゃないかのうせいもゼロではないよ」と言い放ったほどです(ほんでほんとにゲットしてたのメイクミラクルすぎる。ミスター3歳児、舐めたらあかん)。
しかし、3歳の男の話題といったらもっぱらトミカ、昆虫、お弁当(絶賛とクレーム半々)です。そんな会話ももちろん楽しくて可愛くて尊いことこの上ないのですが、私が話したい、聞いてほしいと願うのはまったく別のこと。正直言えば、育児しんどっっっっ!が大半を占めているので、まさか当の本人に言えるわけもなく、夫にも言えず、配偶者・子供の有無やその年齢など様々に違う友人らと時間を合わせるような余裕もなく、どこにも吐き出せぬまま、五臓六腑で腐りそうなところを救ってくれるのがママ友会です。

話題はやっぱり子供の話。登園渋り、偏食、イヤイヤ期、𠮟り方などなど育児の悩みに共感しあったり情報を交換したり、こんなに実のある会話は久しぶり!!見る人が見れば暇そうな主婦がつまんなそうな話してるなーってところでしょうが、コミュニケーションに飢えきっている私にとっては脳汁出すぎて溺れそうなほどの快感なのです。高まりすぎて、「みなさん!好きな食べ物ってなんですか?」と、突拍子もなく、いまひとつ盛り上がってない合コンでするような話題をぶち上げてしまったほどです(結局いちばん美味いもんってカロリーじゃない?ってことで一致団結してくれた素敵なママ友さんズでした)。

そんななか、全ママさんが全力で共感したのが、「ワンオペつらい」でした。もちろん私も、だよねだよねとヘドバンのごとく頷きまくったのですが、やがてひとつの疑問というか、疑惑の念が浮かんできたのです。

みなさんのワンオペ、私のワンオペとちゃうくない?

私のワンオペ育児というのは、平日の場合、おはようからおやすみまで全育児をひとりで担う、ザ・ワンオペレーション。ついでに家事も当然のごとくワンオペです。土日などの場合は、夫が息子を連れて散歩に出てくれたり、ときには家族でお出かけすることもあるので、ツーオペ状態が発生します。休日の時間を割いてもらっている以上、感謝しなければならないのでしょうが、彼が不機嫌にならないようお膳立てしたり、適宜アシストが必要なので、夫と息子二人分の世話をしているような心地がしなくもありません。夫が息子の相手に疲れたら、休息を促し、息子が邪魔をしないよう目を光らせておかなくてはなりません。

これが私の知ってるワンオペですが、あれ?寝かしつけってパパもできるんですか?子供のご飯も作れる??送迎も???休日はパパと子供だけで遠出????あらオマケに実家も近いんですか?????どうやら各々の言う「ワンオペ」の度合いが大きく違うようで、私がしんどいしんどいと嘆いていたワンオペは、ワンオペのなかでもワンオペ度の高いドドドドドドワンオペなのではと気付いたのでした。

どんなワンオペだって本人がしんどいと感じればそれは過酷なワンオペ。私と誰かのしんどさを大小で比較してどうこう言おうなんて行為が何の意味もないことは承知です。

しかしそれにしても、夫の貢献度、低すぎない?

私がまだ夫に少しの希望を抱いていたころ、「ワンオペすぎてつらい」と吐露したことがありました。それに対して夫は、「俺だってしんどい」「俺だって十分やってる」と主張し、「〇〇さんちだってワンオペなのに機嫌よくしてる」とよそのご家庭を引き合いに出し、私の能力が足りていないせいだと糾弾したのでした。
確かに私は泣く子も黙るしパリピも憐れむくらいには無能な人間です。私にできることと言えば、お米3合の水加減を一度でドンピシャきめられるくらいです。1合2合はできません。3合だけです。でも私がしんどいのは、本当に私だけのせいだったのでしょうか。〇〇さんちの奥さん、髪の毛ツヤッツヤですね?昼から友だちと飲みに行ったって話もしてましたけど?体調悪い日の送迎、パパさんが来てましたよ?「俺だってやってる」ってオムツ替えと数十分の散歩くらいの「やってる」を、それこそよそのパパさんと比べても大丈夫?

きっと大半の夫婦が、育児への貢献度や役割分担といった問題で揉めてきたのだと思います。何度も何度も揉めながら、話し合いを重ね、お互いの納得いく妥結点を見つけていったのでしょう。
私たち夫婦は、そのプロセスを上手く構築することができませんでした。私がつらいと訴えると、夫が怒る。だから私は怖くなって諦めるというのが、お決まりのパターンでした。
本来の私なら、夫がちょっと機嫌を悪くしたところでしょげたりせず、むしろ図々しく言い返すくらいの元気がありました。無能なうえにクソなので口喧嘩が強いのです。
しかし産後、たびたび発症する乳腺炎や、長時間の抱っこによる腱鞘炎、膝の損傷、コロナ禍の孤独感、そして壮絶な夜泣きを経て、私の元気は底を尽きてしまったのでした。不機嫌全開で「〇〇さんちは~」とか「じゃあ俺と同じくらい稼げんの?」などと浴びせられると、ああもう怖い死にたいとパニックになるほかありませんでした。

コロナ騒動が鎮まり、夜泣きが終わり、今の私は幾分か余裕を取り戻しつつあります。夫に言い返そうと思えば言い返せるだけの元気もたぶんあるし、いったん不平不満を口に出せば、マシンガンどころかガトリング砲の勢いで喋り散らかせるくらいの溜まったものもあります。
でももう話す気にはなれません。話したところで、「俺だって~」「〇〇さんちは~」「仕事が~」と返って来るのかと思うと、なんだかドッと疲れてしまうのです。
私がもう少し、上手に感謝を表現できて、上手に労ってあげられる妻だったら、心無い言葉が返って来ることはなかったのかもしれません。今からでも心を入れ替えてそんな振る舞いを心がければ、何かが好転するのかもしれません。それはとても好ましいことに思えます。
でもやっぱり疲れた。私がまず労わられたい。元気だった心身に戻りたい。なにもかも夫のせいだと嘆いていたい気持ちが消えないのです。このあたり、ちょっとカウンセリングにかかってみるのもいいかもしれないと考えていますが、ドドドドドワンオペ育児の真っ最中、いかんせん時間がありません。そんな時間があったらどこかでひとりで一杯やりたい。いやいや映画もいいな。そんなことを夢想してちょっと泣きたくなる夜、耳にぶっさしたワイヤレスイヤホンからずっと何の音も流れていなかったことに気付いてワンワン泣いちゃう始末です。


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