2024/08/13の日記

ブルーピリオドの映画を観てきた。

僕は原作の漫画が大好き。


ここから内容の話。


映画では原作1~6巻の大学受験までをやっている。
2時間ちょっとの映画でこの容量をやろうとすると当然削れる部分はかなり多くて、その取捨選択が相当難しいんだろうなと思う。


そのうえで、僕は原作を知っているから脳内で補完できるから楽しめる部分・逆に原作を知っているがゆえに物足りない部分だと思ったものを書いていく。


・美術の技術・技法に関する部分
これは、まあ捨てないといけない部分だよなと思う。
ここが濃くて他が薄いと「何が伝えたかったんだろう」になると思うし、ただこれによって八虎が努力を積み重ねている感が薄くなってしまったかなとは思う。


・世田介くん周りの全般
これは描かれていなさすぎだと思った。
世田介くんがただ感じ悪いやつというイメージになってしまっているような感じがあった。
短くするにしても最初の絵を見たときの「無音の絶叫」というところくらいは入れてもよかったんじゃないか??
年越しのシーンがないのも関係性がイメージしにくくなってしまうところだと思った。「この天才にとって俺は特別なんだ」というのが僕にはかなり好きな部分だから。
試験のときの「ちょっと見ない間に上手くなりやがって」で(この天才には俺の絵が伝わった…!)という喜びが、作品を作っていて一番嬉しいポイントだと僕は思うんだよな。その喜びが映画ではあんまり描かれていなかった。


・「俺の絵で全員殺す」の部分
ここはセリフとしてはあった。逆に言うと、強いセリフだから入れたかったんだろうなというのはあるんだけど、その前後が描かれていないから印象がずいぶん違った。ここ丁寧にやってほしかったな。


・恋ちゃんと話すシーン
どうしてこのシーンはあるのに「絵を描くのが怖いんだ」「俺たちはみんなお前の話を聞くのが好きなんだぜ」「本音を技術で武装する」ってセリフがないんだよ!!
すげー良いセリフなのに。


・「合格なんてどうでもいいからこの絵を描かせてください」
これ絶対になくしちゃいけないところじゃない!?!?
八虎が絵じゃなきゃダメな理由ってここなんじゃないかと思っているので、これをなくして藝大に合格したいという気持ちだけが描かれているのはめちゃめちゃ違和感があった。
受かりたい、全員殺したい、合格なんてどうでもいいが同時に存在するっていうのが受験シーンの要だと思ってたんだけどな。


・ラストカット
6巻の終わり方、森先輩の「素敵ですね この絵」で終わった方が絶対カッコよかったと思う。


全体を通して、いわゆるダニングクルーガー効果がちゃんと描かれなかったせいで、藝大受験の難しさ・続けることの難しさが伝わりにくかったなと思う。



ただ脚本以外の部分、キャスティング・演技・演出は良かった。
森先輩とか世田介くんとかそのまますぎた。


映画を入口に原作を読んでくれる人が増えたらいいなと思う。
その役割であればキャッチーかなと思う。


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