
畳の可能性
畳の構造は簡単に説明すると、畳の中身である「床」そして表面の「畳表」畳表と床を覆う「縁」で構成されています。
床は、昔は藁床であり重さが40キロくらいありました。もちろん今でも作られていまして、藁床じゃなきゃ畳ではないと言われる方もいらっしゃいます。
他には藁床の中に断熱材を入れたものや、建材を使ったものがあります。
次に畳表なのですが、い草のものから七島藺という丈夫な品種、ビーグ表、和紙、樹脂、と様々な種類があります。畳という「侘び寂び」を味わうものだったのが、色の変わらない和紙や樹脂などの表が好んで使われるようになったのは、効率化された現代の姿のように思えますが、様々な色を使えるというメリットがあります。
そして縁。こちらも実に様々な種類があります。
古来よりありましたのは、麻・綿・絹といった畳縁。
少し前には革縁という革を使った縁がありました、唯一見たのは京都のお店でした。そして、縁にも現代の材料のテグスのような丈夫な糸を使用したものが今は多いです。種類で言うと何千種類くらいあるのではないでしょうか。
上記の材料の組み合わせによって、様々な形態の畳が出来上がります。薄さや質感、柔らかさ、匂い、などなど何億通りの畳があることでしょう。
そして、使う人にとってのメリット・デメリットがありますので、藁床が良い人もいれば、ケナフ床や茶殻床が良いと言われる人もいらっしゃいます。
私は、クリエイティブな方ではないので申し訳ないのですが、日本にいらっしゃる様々な畳職人の方は、いろんな可能性を模索し、活用されていると思います。
畳という、程よい弾力を持った「何か」は、使いようによっては様々な「表現」ができる「アート」になり得ると感じます。
若冲の言う「具眼の士を千年待つ」ではないですが、ストンと落ち着く時が、いつか畳にも訪れることを願います。