顔を憶えられない人から見た世界。

ちょっと面白い話。

皆さんの周りに、人の顔を憶えられない人っていませんか?

本人にとってはそれが当たり前だから、よほどでない限りあまり表面化することがないので気づかない方も多いかもしれませんが、実は世の中にけっこういると聞きます。

人によって症状は大小それぞれで、あまりに大きい場合は家族の顔も認識ができないんだとか。

実は僕も、家族はさすがに分かるにしろ、そのケがわりと強いのですが、今回の記事では彼らから世界がどのように見えているのか、その鱗片をちょっとだけご紹介したいと思います。

似たような人種の方は「わかる~!!!」と頷きながら見ていただけるのではないかと思います。

基本的に顔に対する記憶に自信がない

まず、これは本質的な部分なのですが、顔を憶えられない人というのは自分の頭の中にある像と実物が嚙み合ってないケースが多いです。

前に一度会った、ギリギリ思い描いていたあの人の顔が、また会ってみたら「全然違うやんけ」ということが一日に何度も起こります。

性格もあるのかもしれませんが、結果として、だんだん自分の中の記憶が当てにならなくなっていき、自信がなくなっていくんですよね。

なので、別の日に再会した人に対しては相手のしぐさ、声、服装などの「初動」「初期情報」をもとにして動くことが多いです。

(これは接客をするうえでのテクニックとしてよく用いられます。)

……という大前提のもと、以下のできごとが次々と起こっていきます。

仲がいい人とそうでない人が極端

人の顔が覚えられない人というのは、基本的に人のことを身に着けているものやしぐさで見分ける癖が自然とついてしまっているので、ハナから顔をそこまで注意深く見ません。というか見れません。

特に初対面だったり、あまり親密でない間柄の人が相手であれば、なおさらそのような傾向が強く出ます。

逆に、何度も対面して話していたり、会っていたりすれば

「あ、この人、前もこの服着てた! 前もこの靴だった!」

という風に、相手を判断する手がかりが多くなるという感じです。

そして実際に対面したり話したりしてみて、声やしぐさで最終的な答え合わせみたいなことをするわけです。

美人(イケメン)がみんな同じに見える

人の顔を憶えられないと、良く言えば顔が整っている、悪く言えば特徴が薄い、いわゆる美人(イケメン)と言われる人種が一目見た感じで、みんなほぼ同じに見えます。

かくいう僕も、何度テレビの中の北川K子を指さして

「わぁ、石原Sとみだー!」

と何度言ったことか……。(笑)

なんで俳優さんってドラマが変わるごとに衣装が変わるんでしょうね?

あ、別人になりきっているからか……。無理もない。(笑)

野球選手の区別がつかない

美人(イケメン)の理屈とほぼ同じですが、たとえば高校野球の選手たちのような、同じユニフォームを着用している人たちは、もうすべてが同じに見えます。

たとえば、野球中継をテレビで見ていて、誰かが「〇〇選手かっくいいー!!!」とか言っている横で、我々のような人種は野球盤の上で人型のコマが野球をしているような感覚でしか見れていないので、あまり面白く感じません。(笑)

実生活で言うと、高校生の集団や、お店の中でも同じことが言えるかもしれませんね。

「高校生」は「高校生」「店員」は「店員」というくくりで人を判断せざるを得ないときがあるように思います。

憶えていた特徴がなくなると困る

これは実際に自分にあった事例なんですが……。

僕には、そこまで親密でないにしろそれなりに話していた友達がいました。

顔は覚えれないにしろ、趣味が合い、話がとても弾んだので好印象は残っていました。

その人は、会うたびに服装や髪型は変われど、「赤い靴」をずっと履いていたのです。

当然、僕からするとひときわ目立つ「赤い靴」がその人を見分ける唯一の判断材料となりました。

ーーーある日、靴を変えてきたのです。

本人は何気なく変えたのでしょう。

いや、しかし、さぁ大変だ。

もともと、しぐさに特徴が少ないその友達に、僕はもう話しかけることができませんでした。

なんせ自分の記憶に自信がないのです。

その人からするとかなり不自然に見えたことでしょう。

「あれほど楽しく話していたのに話しかけてこない……。」

この経験をして以来、僕は反省して、人には顔を憶えれないことを率先して教えるようにしていますね。

面白い話ではあるのですが、実は人間関係を築くうえでは誤解を生む大きな種になってしまう可能性があるのです。

一目惚れしない

恋愛編です。

一目惚れしません! というか、できません!!!(笑)

たとえば、ものすごい美人(イケメン)が目の前に現れたとします。

「顔が整っていてキレイ」という情報が頭の中に入ってきても、こっちからすると、初めから顔よりも他の要素でその人を憶えようとかかっているので、その人の「個性」「プロフィール」が頭の中に入ってこないんですよね。

家に帰ってから正確に顔を思い出して幸せな気分になるとか、あまりないのです。

むしろ顔が思い出せないぶん、めちゃめちゃ美形だったと一人で勝手に拡大解釈して、再会したときに一人で勝手に冷めるということすらありました。

世の女性「(なんてヤツだ……。)」

特に女性の方なんかだと、誰か芸能人を意識してメイクしている方も多いかと思うのですが、芸能人の顔もろくに出てこないのに誰に似せているのか似てるのかなんてこっちからすると分からない!!!

先ほどの例でも話しましたが、話してみたら波長が合っただとか、居心地がよかっただとか、顔面が関わらないところでの感じ方が、そのまま相手に対する感想になるので、顔面からの情報はもはや頼りにならないのかもしれないですね……。とほほ。

最大の壁

……と、まぁ散々書いてきたんですが……。

本質として一番しんどいのは「周囲との感覚のズレ」ですね。

赤い靴の人との話にもありましたが、これでは「急にどうした」という事態を引き起こしかねません。

とにかくこのことは相手に一番に伝えておかねば……。

なんて思いつつも、いきなりこんな話すれば引かれるのは目に見えてるような気もして非常に切り出しどころが悩ましい!!!

結局、我々はいつでも無難に無難に、トラブルが起こらないような道を選択して行動を重ねていくしかないのです。


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