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アベプラ アイヌ差別特集を見て思ったこと

ネットテレビABEMAのニュース番組「ABEMA Prime(通称:アベプラ)」を好きでよく見ています。
昨日(12/7)の特集では杉田水脈議員の発言をきっかけにした「アイヌ差別を考える」という特集。

コメント欄は差別感情が凝縮されていて気分が悪くなります。見るなら、Abemaの本編動画を見ましょう。

アイヌの血を引くゲスト2人を呼んでの議論が展開されましたが、アイヌ側からの視点が中心だったので和人(あえて”和人”といいます)側の視点もほしかったです。

生まれも育ちも北海道の私にとってアイヌの話題や存在は昔から身近なもので、今回の特集では思うことがたくさんありました。
私は編集者・ライターですが、仕事でもアイヌの方々を取材する機会もありましたし、アイヌに関する記事も書いたことがありす。
その上でいろいろと思うことがあるのです。

私は一切の差別感情がありません(それはそれで”差別である”という論調もあるにはありますが)。
そして、(色々な意見はありますが)アイヌは先住民だと思っている立場の人間です。

当たり前だが、差別感情は人による

差別感情は世代ごとにまったく違うのが印象です。
個人的には70代以上のアイヌ嫌いは凄まじいものがあります。80代なんかは喫茶店で普通に「臭い」「ずるい」とか話したりしています。ネット上でよく見かける罵詈雑言をリアルに見る感じです。

私は祖父母(現在80代後半)に育てられました。
樺太出身の祖母はアイヌや中国人、韓国人の子供をいじめていた武勇伝をよく語っていたし、ロシア人への感情もかなり激しいものがありました。
思い出しただけで気分が悪くなります。

世代が若くなるごとに差別感情は薄まっていきますが、親から強く影響を受けているタイプの子供ほど差別感情は強いです。小学生でも差別感情を持っている人もいるにはいます。

もちろん地域にもよります。

下の世代ほどアイヌは”かっこいい”?

私が小学生の時、学年に1〜2人はアイヌの血を引いている(と思われる)生徒はいました。
中には親から「あの子とは遊ぶな」と言われていた生徒もいましたが、ほとんどの生徒が普通に接していた印象です。

アベプラで兼近さんが言っていましたが、僕らの世代(20後半〜30代)はジャンプで「シャーマンキング」を見ていたこともあり、アイヌってかっこいい!と思っていたことは確かにあったと思います。
今だと「ゴールデンカムイ」の良いイメージもあるでしょう。

一方で思うこと”嫉妬心”

北海道民は郷土愛が強いというか、北海道民であることにアイデンティティを持っている人は多いです。
だからこそ、”アイヌ”という北海道民としての絶対的なアイデンティティを持っていることが羨ましい。そういう意味で、アイヌの友人には嫉妬心を持っていたこともあります。
血は変えようがないですから。

アイヌだって当たり前に嫌なやつはいる

アイヌは人です。そりゃ嫌なやつだって当たり前にいます。金にがめつく、酒をのんだら暴れる。年下に対する当たりが強いおっさんだって普通にいるんです。
ただ、一人嫌な人がいるからって、全員が嫌な奴だとはならないでしょ。
「これだから韓国人は…」「これだから中国人は…」ってのもよく見かけますが、バカッター投稿を見たフランス人に「これだから日本人は…」って思われたら不快に思う人は多いでしょう。
だからこそ、同じことをしてはいけないと思います。

アイヌの差別問題がセンシティブすぎて何が差別か分からない

言い方が悪いけど、これで困った経験があります。ライターですから、当然記事を書きます。が、校正が真っ赤かで返ってきた経験は少なくありません。
ちょっとした書き方一つで、「アイヌ団体、反アイヌ感情を持っている人含め、どこから苦情がくるか分からない」と編集者がバンバン赤入れをするんです(編集者がアイヌ知識に乏しいという理由もあるかもしれません)。
こんなビビらざるをえない状況になっているのは和人にとってもアイヌにとっても健全な環境とは思えません。
(表現の自由についても書きたいですが、話がそれるので割愛)

会話をするときに「もしかしたら地雷ワードがあるかも…」とビビって、当たり障りのない会話しか出来ないことが私だってあります。差別感情はないです!とか、カッコいいと思ってます!とか、怖くて言えません。

今回の投稿で、普段あまり使わない()を多用しているのもそういうことなんです。

センシティブすぎて話題にすることすら怖い。そこが大きな問題。

正直高齢者世代の差別感情はどうしようもできませんし、あと数年しか生きない人の意識を変えた所で…
ただ、世代が下がるにつれて差別感情が薄くなっているのは確か。
それなのに負の感情を焚き付けるような杉田水脈議員の発言は大問題だと思う。
(実際に悪いことをしているアイヌがいるんでしょうが)

ただそんな団体だとか議員だとか、活動家だとか、そういう別世界で起こっている話に心を奪われるのではなく、
和人、アイヌを含めた市井の人々が、気兼ねなく仲良くやっていける社会は作っていくべきです。

そのためにも、ビビって普通に会話できない、書きたいことを書けない。そんな意識があってはならないんだと思います。少なくとも私達庶民の世界で。
「え、大阪出身なの!!」ぐらいのテンションで「え、アイヌなの!」って言えるほうが良いです。

ニュースで杉田議員が話題になって、SNSやヤフコメが悪い意味で大盛りあがりする様子は心が痛みます。あんなの私達一般の和人やアイヌにとっては関係ない(といったら言い過ぎだけど)話なんです。

まず私たち和人は、アイヌとはなんなのかをフラットな目線でよく考える必要があるでしょう。
そして知り合ったアイヌが嫌な奴だったら、無理に仲良くなる必要はありません。それがいわゆる普通の人間関係というわけです。

余談

ところで、ゴールデンカムイのアシリパさんのコスプレをしている人に「文化の盗用だ!」と難癖つけている人はいるんですかね?

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