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#私を構成する42枚 (1~7)

2023年 5月。Twitterではこんなハッシュタグが流行っていた。

#私を構成する42枚

この‘42枚’が指す意味は、例えば


お皿



チラシ



花びら



硬貨





などなんでもいい訳で、さらに言えば



面の皮



なんかでもいいはずだ。
しかし、このハッシュタグを眺めてみるとどうやらトレンドは“CD”らしく、音楽が大好きな人たちが思い思いに大切なCDを紹介している。


カツヲは、仮にも音楽好きの一端であり、これまでに公開した記事のうち半分は音楽に関するものであるnoterとして、このハッシュドタグに触れずに逃げることなんて出来ない。

井カツヲ


ということで、

#私を構成する42枚

スタートです。




1 .『andymori』 andymori

andymori

こういう記事って、どういうふうに紹介したらいいんだ?
1位から順に紹介していくべきなのか、それとも逆か。
なんかわかんねぇので適当に思いついた順に並べていきます。


トップバッターはこれ。もう影響受けまくって人生観まで変えた小山田壮平の歌。
そんな小山田壮平の最初のフルアルバムがこれ。
もちろん、前身バンドBGMSやマリファナショップで、ミニアルバム或いはフルアルバムを出しているとは思うが、なんせ持ってないので分かりません。
そんで聴く手段がほんとに無いし。

どのレベルまでアルバム単位で作ることを意識していたのかは分からないが、恐らくandymori以前からある曲はこのアルバムには収録されておらず、全編を通して明確なテーマを持ったまとまり方はしてないように思う。
もちろん一貫した‘andymori’としてのテーマ、さらに言えば‘初期andymori’としてのテーマは純度100%で存在している。
andymoriといえばこのアルバムで、このアルバムといえばandymoriで。

彼らを知ってから初めて買ったCDで、約2ヶ月に渡って聴き倒した。その2ヶ月、もうそれ以外のアルバムは聞いてなかったと思う。

andymoriの音楽に触れてから、あっという間に自身を流れる血はandymoriの色に変わっていったし、滾る熱はandymoriに包まれていた。

もう、1つ目からこんな熱意で紹介してたら一生終わらんし、このアルバムについてはいずれ記事にしようと思うため、さっさといきます。



このアルバムから感じるのは「衝動」である。
ギターとベースとドラム。
たった3つの楽器を基本とし、時折リードギターの音色が混ざれど、シンプルな音の構成は終始変わらない。
爆発するような演奏だったり落ち着いた演奏だったり。
それらが、独特の憂鬱、諦観、反骨心にのせられれば、いつの間にかandymoriの形が完成している。

そんで、最後の曲は“すごい速さ”。

意味がわからないうちに心を突き刺していったようで、イマイチ理解できないまますり抜けていった曲たちの最後に、

きっと世界の終わりもこんな風に味気ない感じなんだろうな

すごい速さ” 

と歌う。
もうそう歌われてしまえば、‘味気ない感じ’がしてきた私たちは、もう一度『andymori』を最初から再生し、気づけば彼らについていっている。

もう、完璧だろ。このアルバム。





2.『タオルケットは穏やかな』 カネコアヤノ


タオルケットは穏やかな


今年の1月に発売した、カネコアヤノの最新アルバム。
2021年にカネコアヤノにハマってから急ピッチで楽曲を聴き始めたものの、音楽を聴くのがとてつもなく遅いカツヲがやっと落ち着いて聴くことのできたアルバムだった。

それまでは『燦々』が1番好きなアルバムで、もうこれを超えることは無いだろう、とさえ思って『タオルケットは穏やかな』を聴けば、、、

名盤じゃん。


遊び心溢れる楽器の音色に、カネコアヤノの紡ぐ繊細で大切な言葉が溶け合う。
かねてより、カネコアヤノは私小説のような歌詞が魅力の1つだが、直近の3つのアルバムの中で特にこのアルバムは、より深く‘カネコアヤノの暮らし’に潜っていると思う。
時おり包み隠さずに届けられるカネコアヤノの情動は、アルバムを通して明確なストーリーで以て届けられる。

限りなく、最初から通して聴くことを想定されたアルバムだと思う。

名盤だな。





3.『THE BLUE HEARTS』 THE BLUE HEARTS 


THE BLUE HEARTS

出会いは中学生の頃。
家のCD棚から引っ張り出してきたこのアルバムは、伝説的なパンクロックバンドのものだった。

シンプルすぎるジャケット写真に、シンプルすぎる曲たち。
そんな中届けられる歌詞は鋭く優しい。
反骨精神の中に共存する、‘生’へのエネルギーと‘君’への愛。

‘パンクロック’ってそういうことなんだよな、きっと。

“街”が大好きなんだな。

いつか会えるよ
同じ気持ちで爆発しそうな仲間と
きっと会えるよ

 ブルーハーツにハマった時、だだっ広い街の中、裏道ばかり進んでいても良いことを知った。
爆発しそうな気持ちを抱えていればそれだけで十分であることを知った。

そんなアルバムだ。





4.『ファンファーレと熱狂』andymori


ファンファーレと熱狂

このアルバムを挙げずとしてandymoriを語ることは出来ないし、カツヲを語ることも出来ない。
大名盤中の大名盤で、前作の『andymori』とは打って変わって多彩なアレンジがされ、めくるめく流れる歌詞からはどことなく気だるさを感じる。

陽気に見える、十人十色の人間がコラージュされたジャケット写真からは想像がつかないかもしれないが、このアルバムのコンセプトには ‘ディストピア’ があると思う。

歌詞だけを見ると小山田壮平発のアルバム史上、1番暗いと思うし、救いようもない世界を歌っている。
そんな世界の中で活路を見出そうとはせず、生まれ続ける苦しみ、葛藤、やるせない思いを、時に極主観的に、時にわざとらしいまでに客観的に綴る。


自分のような逆張り人間は、

「いくら評価されてるからって、そんなん、、別に」

と思いながら、丁度1年前にじっくり聴き直したのだが、最後まで聴いた感想はこうだった。


なにこれ。トンデモ激ヤバえげつな名盤じゃん。



考えてみればこのアルバムは、ベースで始まり、ベースで終わるし、それぞれの曲の関連が強いし、全ての曲が明確なストーリーを持ってるのに、アルバム全体として大きなひとつのストーリーを作り上げてるし。


なにこれ。トンデモ激ヤバえげつな名盤じゃん。





5.『平成』 折坂悠太


平成


平成元年に生まれた鳥取のシンガーによるアルバム。

なんかもう‘唯一無二’ってこういうことなんだな、と思う。
公式のキャッチコピー(?)が、折坂悠太を完璧に表現しているため拝借する。

独特の歌唱法にして、ブルーズ、民族音楽、ジャズなどにも通じたセンスを持ち合わせながら、それをポップスとして消化した稀有なシンガー。

折坂悠太 「平成」


日本語の持つリズムと響きを大切にした歌声が、様々な音楽にルーツを感じる曲たちと共に響く。
ただのJ-POPとして消費してしまうことは決して不可能で、流行りに逆行しているようにみえて‘古さ’を微塵も感じない。

「平成」と共に生きた折坂悠太は、そんな時代を

平成、疲れてた それはとても
どこにも行けず 止まれずに

平成

と歌う。

『心理』も聴きたいんだけど、音楽を聴くのがとてつもなく遅いカツヲはまだ聴けてません。





6.『心の中の色紙』 AL


心の中の色紙


このアルバム、マジで大好きです。
初期andymoriの3人と長澤知之からなるユニット‘AL’のファーストアルバム。

小山田壮平のつくる、情緒的に揺らめく詩世界と、長澤知之のつくる、思慮深く卑屈な詩世界。


ツインボーカルの魅力が凝縮されたアレンジや掛け合いに、‘わざとらしいほどの「生」への恥’と‘伸び縮みする時間の中で生まれる「生」の尊さ’という、混ざり合うことのないように思える詩世界が、明確な輪郭を持って混ざっていく。

多角的な「生」への思いが混在したこのアルバムは、その末に複雑に輝く一瞬の命の輝きが煌めいていると思う。
受け入れた“アタラクシア”の先にある断片的な命の爆発を、13曲を通して様々な時間スケールで触れていく。


そんで、カラフルな曲の構成。
ツインギターおもしろい!
長澤知之はピックではなく指でギターを弾いているらしいし。

andymoriとは全くの別物です。
なんだかよく分からない御託を並べ立ててしまったが、とりあえず聴け。
andymori以外受け入れられないあなたたちも、うだうだ御託を並べ立ててないで聴いてください。




7.『名前をつけてやる』スピッツ


名前をつけてやる


カツヲの親友Kはスピッツが大好きだ。

いつか聴かなければ、と思っていたときにやっと聴いたアルバム。

兼ねてより名盤であることは重々承知の上ではあったが、改めて通して聴けば、もう感動した。
速攻Kにその感動を伝えた。

これまでに衝撃を受けたアルバムのトップ3に入る。
疾走感や揺らめきを漂わせながら、パンクともバラードとも言える曲たちがはしゃぎ合う。
純粋なように見えて、不純な感情が混ざる妖しげな歌詞は聴いてて楽しい。

なんだか、もうメジャーすぎるアーティストを一から追うのはかなりに体力を使うし、どんな感想を喋っても‘にわか’になってしまうのが苦しいため、できる限り薄い感想で留めます。
音楽を聴く体力が壊滅的に無いカツヲにとって、スピッツの曲を全て聴き終わるのはあと10年後ぐらいになると思うが、もっと彼らのことを語れるようになったらまた会いましょう。



ほんとはもっとサクサクいきたかったのですが、このまま42枚紹介してると広辞苑ぐらい分厚い記事になってしまうので、一旦終わりです。

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