土曜日。やっと休日だ。休日だといって安心しているわけではないが、仕事よりは気が楽だ。私は今の仕事は好きだ。やれと言われればどれだけでもやりたいし残業だってしても良いぐらいだ。こんな状況でなければ。

しかし私にはやらなければならない仕事がまた別にあった。「区費の集金」という業務だった。区費…そんなものが緊急事態宣言が出ている状態で必要なものなのか?区費が集まらないと死ぬ人がいるのか?絶対そんな人はいない。私は組長で、組長数人をまとめる会長さんがいる。こんな時期に会長さんになったおうちが気の毒すぎる。区から渡されたものを数人いる組長の家に届けなくてはならないのだ。彼女とはショートメールでやり取りをしていたのだが、ちゃんと危機感を持ってくださっている方で安心した。受け渡しは直接行わずマンションのエントランスのところに置いておくという形式を取ることに賛成してくれた。ありがたい。「接触を避けるため集金にはポストの利用などをお願いします」と書かれていた。価値観が同じで良かった。
もちろん最初からそのつもりだった。本当は町内会に入っていない人もいるようだが、前任の人の連絡先を聞くのも忘れていたし会いに行くのもリスクが高いのでやめた。すべてのポストに集金のお願いの紙を入れた封筒を入れた。そして広報などもいれた。
驚いたのがこの時点でもまだ「回覧板」としてバインダーをグルグル回す方式が当たり前だと思っている上層部だ。そんな危険なことはできない。緊急事態宣言の紙が入っていたがたったの3枚のみだったので私は自宅の複合機で全戸分のコピーをした。他にも「回覧用」と書かれた三枚しかない書類がたくさんあり、全戸分コピーをした。
クリップで留めてすべてのお家のポストに投函した。思いの外、回覧板用に数枚しか入っていない紙は多く、印刷にも分別にも骨が折れた。

正直、緊急事態宣言の紙以外はどうでも良いものだった。こんなものが一年間も続くのか。私はもう今年は「回覧板」を回さない方式で行こうと思う。コロナがいつ収まるかもわからない。今後も全戸にポスティングすることに決めた。
集金のために封筒を入れ、うちのポストに投函してくださいねという紙を封入したが、いったいどれだけのお家が投函してくれるだろうか。集まらなくても文句は言わせない。この非常事態に区費の集金など不要不急だ。
他のマンションやアパートは管理費と共に引き落とされるシステムを採用しているようだ。絶対に、来年までに引き落としにすることを管理会社に掛け合いたいと思った。

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