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真っしろで真っさかさま

tatacuuc
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歌詞は無い。物語はある。

「終わりがないなーと思ったら草原だった。
草花を踏み潰して歩くわけだけど、太ももに乳酸が溜まって、どんどん傷口をこじ開けるわけだ。
鼻歌を歌いながら、汗ばみながらスカートの裾がほつれながら帽子が飛ばされそうになりながら進む。

夏は真っ盛りか。
夏は真っ逆さまだ。

変な人がいて、ガムテープで縛られて、真っ逆さまになった。

髪を裁ちバサミで切られるような家庭なのになーなんて思いながら、慈愛と混乱に満ちた真っ逆さまだった。

神様お願いします。最初からそんなものは欲しくなかったんです。神様お願いします。最初からそんなまものは欲しくなかったんです。

どんな状況でも唐突にフラッシュバックが起きるものだから、もう随分慣れてきた。
昔からある汚いラーメン屋さんで、コップに水を注ぎすぎてる時に、なんとなく、あーと思った。

ところで、本当にあったことなのかな。空想じゃないのかな。記憶なのかな。本当は勝手に作り上げた空想じゃないのかな。
記憶なのかな。空想なのかな。

中学3年生の時に友達に言った事がある。
トラウマを作りたいと。

そうか。
誰の記憶だろう。
誰の物語だろう。
あの変な人のもの?自分のもの?

ところで、なんでこんなに痩せてるの?なんでこんなに背が低いの?なんでこんなに滑舌が悪いの?なんでこんなに引っ掻き傷が多いの?なんでこんなに目の色素が薄いの?なんでこんなに汗ばんでいるの?なんでこんなに雑音がするの?なんでこんなに味がわからないの?なんでこんなにすぐ怪我をするの?なんでこんなに目が痛いの?なんでこんなに知らない人がいるの?なんでこんなに人が嫌いなの?なんでこんなにみんなのことがきらいなの?
なんでこんなところにいるの?

え?誰なの?」

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