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ミステリとファンタジーの超融合

折れた竜骨 上・下 米澤穂信 創元推理文庫
魔術や呪術が実在する架空の中世ヨーロッパを舞台にした、推理小説である。
魔術や呪術と聞くと、犯人がなんでもできる状態で読者がついていけないように感じるが、魔法は制限的にしか使用されておらず、また読者と本書の大事な共通認識は余すことなく説明されているのでロジックを駆使すれば読者も謎解きができるようになっている。
謎解き要素のクオリティの高さも素晴らしいが、剣と魔法の熱い展開もあるのでページをめくるのがやめられないことを保証する。

あらすじ
ヨーロッパの北海に浮かぶソロン諸島。そこの領主ローレントは、暗殺騎士の魔術で殺されてしまう。暗殺騎士は走狗(ミニオン)という魔術を使い他人を操り凶行に及んだ。領主の娘、アミーナは暗殺騎士を追いかける騎士ファルクと従士二コラと行動を共にする。走狗の候補は8人で、操られていた時の記憶はない。さらに、呪われたデーン人の襲来の足音も近づいていた。

特殊設定もの特有の難しさ(なんでも有りな世界観)を克服し、さらにファンタジーでしかできない世界観・舞台設定を大いに利用した傑作である。
ミステリ好きじゃない人にも、文句なしでおすすめできる作品である。

あわせて読みたい本
儚い羊たちの祝宴 米澤穂信 新潮文庫
こちらはファンタジーではないが、短編の名手・米澤穂信の良さが全面に出ている作品である。

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