欲求から音楽ライフを設計する
このnoteは2020年8月7日のオンラインサロン『Online Music Salon』への投稿をもとに作成しています。
こんにちは
YouTubeの撮影が無事、終了して徹夜を繰り返しながら編集しているtataです。これまでのYoutubeにはないめっちゃいい感じの吹き方解説動画が出来そうです。楽しみにしていてください。
さて、本日は「幸せな音楽ライフ」を人間の欲求という視点から考えてみました。
僕たちの欲求を因数分解する
先月はステップメールに苦しめられていたtataですが、同じくらい「幸福な音楽ライフ」とは何か?という問いに真正面から向き合った時間でもありました。その意味では、あながち無駄な時間ではなかったのかと思います。
オンラインサロンをはじめた僕の結論は、結局「人と人で繋がれる人間関係の構築」です。重要なのは「人と人で繋がる」で、楽器の「上手さ」ではないというところです。今日の話は、何も音楽ライフだけの話ではなく、人生すべてにおいて共通する話だと思っています。では、順序を追って説明していきますね。
サックスを始めたとき、また、レッスンを受講するときや教本を購入するとき、はたまたサックスを練習するときは、大なり小なり「サックスが上手になりたい」という想いがあると思います。この想いは、音楽をする人なら誰にでもある欲求だと思います。
ただ、この欲求をもうちょっと解像度を上げて考えていきたいと思います。人間の根源的な欲求を整理するにあたって、マズローの欲求5段階説というのがあります。心理学者のマズローが人間の欲求を5段階に理論化したものです。マズローによると人間には根源的な欲求は、次の5段階で整理しています。
第1段階:生理的欲求
生きていくために必要な、基本的・本能的な欲求
「食欲」「睡眠」「排泄」 など
第2段階:安全欲求
安心・安全な暮らしへの欲求。経済的安定なども含まれる
第3段階:社会的欲求
友達や家庭、社会から受け入れられたい欲求。
自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚を持つこと
第4段階:承認欲求
自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求。
名声とかちやほやされたいなどの欲求
第5段階:自己実現欲求
自分の世界観・人生観に基づいて「あるべき自分」になりたいと願う欲求。
では、僕たちサックス吹きが共通して持っている欲求である
「サックスが上手くなりたい」という想いは、マズローの論理でいうと第3欲求以降の「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」のどれにも当てはまりそうですね。その人の現在の状況によって、3~5の段階は異なると思いますが、マズローの論理を見ても人間の欲求というのは、「社会」というものがベースにあってその中でどうありたいか、が基本にあるのがわかると思います。
そう考えると僕たちは「サックスが上手くなりたい」という欲求は、ベースにある「社会」をしっかりと踏まえる必要があると思います。僕たちは「サックスが上手くなれば」漠然とこれらの欲求が順番に満たせると思ってますよね?
「サックスが上手くなれば」まずは自分が今いる社会(部活や楽団)から必要とされる人間になり、社会的役割があるという感覚を持ちます。さらに「サックスが上手くなれば」その集団の中で人気者になったり、ソロを任されるなど重宝される人間になる。さらに「サックスが上手くなれば」自由に音楽を表現できて、自分の音楽性を表現する音楽家として成し遂げたい理想を実現する。そんなサクセスストーリーが思い描くことができます。
僕も同じように思っていましたし、そういった側面が間違っているわけではないでしょう。ただ、これらの欲求を満たしていけば僕たちは「幸福」になる、と盲目的に思い込んでいないでしょうか?実は、このサクセスストーリーには落とし穴があって、それがまさに「サックスが上手くなれば」というところなんです。「社会」に対して「サックスが上手くなる」という事がどんな意味を持つかを考えると、それは「機能」に寄与するということです。
つまり、サックスが上手くなればなるほど、大きな影響力を持ち、周りの人間はあなたをもてはやすでしょう。しかし、それはあなたという人間に対してではなく、「サックスが上手」という「機能」に対して価値を見ているのです。サックスが上手くなっていくと「欲求」は満たされていくのですが、その「欲求」は常に「機能」の喪失を恐れ、「上手くなりたい」という「欲求」は乾くばかりで「機能」にフォーカスしている限り、幸せにはなれないのです。
「上手だから」ではなく「人」として
現代社会にいると仕事という側面ではどうしても「スキル」や「機能」で見られる側面が多く、僕たち自身も「資格」や「学歴」や「実績」といった「機能」を磨く傾向にありますよね。それ自体はこの世の中を生き抜くために必要ですが、ただそれだけだと「機能」として消費されるだけになります。
もし、「機能」の向上によって自己実現欲求を満たされても、この欲求は「機能」によって担保されているので、その「機能」を失えば一気に人は離れていきます。わかりやすくいうと、お金でぶいぶい言わしている社長は、お金があるうちはチヤホヤされ自分のやりたい事を好き勝手できるかもしれませんが、
事業に失敗してお金がなくなった途端にその社長に群がっていた取り巻き連中の姿は無くなります。ドラマや映画でよくある設定ですよね。
「機能」で人を判断するというのは、人を「モノ」として接している状態です。だからこそ、僕たちが極端に「失敗」を恐れます。
それは、「失敗」=「機能不全」だからです。
機能不全になった物は捨てられるのが落ちなので、機能不全にならないように、また、さらなる機能を追加しようと今日も頑張っています。しかし、「モノ」で判断されている以上は、どんなに頑張っても「モノ」なので、それは人間疎外の何物でもないのです。
お金でぶいぶい言わしている社長は、取り巻き連中を「モノ」として接していますし、その取り巻き連中も社長を「お金」という「モノ」として接していて、「機能」でつながった人間関係はお互いにおいて、「モノ」と「モノ」の関係になります。
「機能」にフォーカスしている限り幸せになれないといったのは、こういった構造的な問題があります。じゃぁ、どうやって欲求を満たせばいいのか?
その答えが「上手だから」ではなく「人」として関係性を結んでいく、という事です。ここで「幸せな音楽ライフ」に必要なものが見えてきますマズローの欲求5段階説は「社会」がベースにあることをお伝えしました。社会とは、つまりコミュニティーであり、一緒に音楽をする仲間がベースにあって、そこから広がる人間関係そのものです。
第一に「上達」を考えるのではなく
・誰と音楽をするのか
・その音楽を誰に聴いてもらうのか
・どんな人たちと音楽を語り合うのか
音楽活動をどのような「人と人で繋がれる人間関係」をデザインするか?
これが幸せな音楽ライフを築く鍵になります。ここさえちゃんと踏まえれば、現時点でサックスが上手くても下手でもそんな事は関係なく、マズローの欲求5段階説の4段階目の承認欲求まで満たされます。だって「上手さ=機能」で人を判断しないわけですから。
人間として繋がれているコミュニティーメンバーからは、自分自身そのものとして受け入れられて、コミュニティー内での振る舞い(人間性)によって承認されます。なので、人間として他者に対して想いやりがあるかとか、
相手の立場にたって考えることができるかとか、嘘をつかないとか、その様なそもそもの「人間力」が問われます。そして、どんな音楽がしたいかという自己実現の欲求を求める手段としての「上達」が必要になってきます。
これが「上達」に対する正しいマインドセットだと思います。音楽という文脈で構築する人間関係を大切な人で紡いでいけば、必ず幸せな音楽ライフになります。
良き人間関係を築けたら誰でもいいのか?
しかし、一緒に演奏する仲間に至っては、もうひとつ大事な条件があります。それが「共通の理念と目的を持つ」ということ。
人と人としての関係が維持できていても、目指すべき未来が異なればそれもまた上手くいきません。どんなに仲が良くてもコンクールで1位を目指して活動したいのか、それともただ楽しく音楽をやりたいのか、という目的の違いって大きいですよね。練習頻度や求める完成レベル、情熱の違い。そして、シビヤですが目的に応じた演奏技術のレベルも必要になります。
どんなに「共通の目的や理念」が同じでも、プロが本気で目指す音楽の完成度にアマチュアがついていけない、というのと同じです。このオンラインサロンの設計は、今回の文脈でいうと具体的な目的がなく「人と人で繋がる」理念だけで集まるコミュニティーです。
逆に、何かをするコミュニティーではない、というところがこのサロンの存在をわかりにくくしている様にも思います。ただ、人数が増えてくればオンラインサロンの下部組織として、複数グループがプロジェクトベースでチームが組まれて、活動するのは素敵だなと思います。
完成度の高い演奏を目指すチームがあってもいいし、楽しく演奏するチーム。形態もビックバンドや吹奏楽、アンサンブルと様々な形態があってサロンメンバーが選んで参加できると楽しいですね。オンラインサロンが掲げる「分かち合う音楽」という理念を共通のベースにした上で、目的別のプロジェクトが複数存在し、その目的に応じてサロンメンバーがつながっていくってのが理想です。
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Online Music Salon(note版)
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