娘を育てて癒される自分に気付く②
私の母は、ずっと兼業主婦だった。働く以外にも、世話焼きなので、家にはほとんどいなかった。
夕方になり、電話が鳴る。母だ。
「今から帰るからご飯5合炊いて、洗濯取り込んどいて、あー、お風呂も(洗って)沸かして」
私は兄と手分けして、家事を片付ける。毎日の事だが、だいたいこれで、ケンカになる。母が居ない。やらなければならない家事。毎日泣いていた。たぶん、一生分の涙を小学生、中学生の間に流したんだろうな。と思うくらい泣いていた。「ママー。ママー。」と、泣いては兄にからかわれて、また泣く。今、思い返すと、本当に良く泣く子だった。当時は、秒で泣けた。女優さん並みの特技だった。
夜寝る時間になっても、母は自治会などの会合やら、なんやら、で居ない日があった。晩ご飯を作るとすぐに出かけてしまう。寂しくなって、部屋でまた静かに泣いた。「事故して帰って来ないのかも」と思うと、玄関の鍵の音がするまで、不安で眠れなかった。
小学校の高学年と言われる年齢になっても、私はあまり精神的に落ち着いてなかったと思う。
母がたまに家に居て、座って居るのをみると、その膝に乗り抱きついていた。母は優しく大きくそだった私の背中をさすってくれた。働き者の母の手。母の手のぬくもり。数少ない思い出だけれど、大きくなった私をしっかり受け止めてくれていた。[普段は寂しかったけど、きちんと愛してくれている。]母のその気持ちが理解できていたので、逸れた道には行かずにすんだのだと思う。
今、娘は小学校高学年と言われる年齢。
私は娘が「抱っこして!」と言ってくると、その大きく重くなった身体を抱きしめる。自分が働きに出ていた時も、出来るだけ抱っこをしていたけど。これからも娘の要望がある間は抱っこしてあげたいと思う。
それは、過去、私が娘に寂しい思いをさせた償いであると共に、私の中にいる寂しがりの小さな私を癒しているのだと気づいた。
今を大事にしたい。
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