第13回 稲田堤の散歩
こんにちは、vibrance建築と街担当のタツです。
先日、京王線から南武線に乗り換えようと稲田堤の駅で降りた時、異様なオーラを放つ建物があったので散歩がてらにみてきた建物について話したいと思います。
稲田堤の乗り換えは駅が近接しているだけで直接接続しているわけでないの京王線の駅を出てから少し歩かないといけないのです。その駅を出る時に、ふと目線を上げて外を眺めると異様なピンク色のドーム見たいな建物を発見、これは誰かの設計の建築物だなと目星をつけてそちらの方向に歩いていきました。
こういうときはスマホでチェックするのですが、実はArchiMapというアプリが優れものです。いろんな有名建築や面白い建築がスマホの地図上にマッピング(地図地図って変な日本語ですね)されていて、今いる場所で簡単に建築物が探せ、こういう時もその建築物の情報を簡単に見ることができます。
今回の異様なオーラの正体は石山修武氏の設計した「星の子愛児園」(2003)でした。
裏道でそちらの方に歩いて行くとその異形の幼稚園が少しずつ姿を現してきます。
公営の駐輪場から建物脇の裏側が見えますが、ここはポンピドーセンターちょっとだけ意識して遊んでますよね。多分園庭を屋上にあげていて、そこから避難用の滑り台が設置されている部分なんだろうと思います。必要な設備ですが邪魔くさくなるものを遊びで処理していてらしい感じです。
付設してある木造部分の外壁部では防火用の吹付をそのまま仕上げとしています。ピンクは素材色として選んでいるか吹付材に混ぜ物して色作っているのか、乱暴で面白い仕上げです。(耐光性のものを使っているようで劣化はなかったです、まぁ仕上げ直しをしてもそうねの春物ではないでしょうから上手いやり方ですよね。もちろん暴力的な印象は受けるんですが)
表になる側の大きな開口部は代表作の幻庵を想起させます。手前のごちゃごちゃした部分は増築部分なのでしょう、新築当初の写真を見ると特徴的なより大きな開口部が石山さんらしいデザインであることがわかります。探してみてみてくださいね。
増築部分も石山さんらしい荒々しい手作りなディテールで満載です。
石山さんは露悪趣味な昭和のおじさんって感じの人です。さぁ、セルフビルドだ!とか、さぁレンガ焼くところから始めようか!とか普通に言い出す困ったおじさんで、実際そうさせてしまう異形の建築家です。でもそういうことすら実は理性的に知的作業の一部として認知してる(ここが露悪的と思ってしまうところですが)のは卑怯だなとも思いますけど。
身体性を知的に捉えながら、その結果を再度身体性そのもので再現しようとしてる建築家です。身体の中で自己籠絡してしまう人はよくみますが、それを普遍化して再現してる人は建築界の中ではそうそういるものではないです。吉阪さんからの系譜なんでしょうかね。
なんとはなしに歩いていて石山さんの作品に出会えるのかと少し嬉しくなった夕暮れの話でした。書を捨てて(代わりにスマホを持って)、街に出よ!
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