少年はドラムが叩きたかった
僕が初めて楽器をやりたい!と思ったのは小学生の頃。
音楽の授業で器楽演奏会みたいなのがあって、そこで大抵の奴はリコーダーだの鍵盤ハーモニカだのタンブリンだのをピヨピヨトントン演奏するつまらない時間だった。
だけど、唯一、たった一人だけが演奏できる楽器があった。
それがドラム。
だけどドラムはリズムの要で、しっかりリズムをキープできる武士のみが演奏できる。
オーディションを受け、数少ない同級生を蹴落として、厳しい練習とプレッシャーに勝つ者のみが演奏できるのだ。
めっちゃええやん。
僕はカッコいいからドラムをやってみたくなった。
だけど、ドラムどころか音楽自体が苦手だったので、全く叩ける気がしなかった。
下のでっかい太鼓はどうやって鳴らすんだろう??
なにも知らない少年はただただ好奇心で果敢にもオーディションに挑んだのだ。
えらいぞ。
ドラムのオーディションは
「とりあえず叩いてみて」というざっくりした内容だった。
たたきゃあ音が出るんだから、イケるだろう!!
と思い、オーディションに参戦したものの
「え?」
いつもは普通に遊んで、話して、なんならコイツにならある程度のことなら勝てるよなーって思ってた奴が僕の前でドラムを叩き始めた。
「え?手と足がバラバラに動いてる??」
そんな話し聞いてない。
ソイツはいわゆる8ビートをたたけたのだった。
僕はスティックすら持ったことないのに!
手と足を自在に操り、音の衝撃でソイツはどんどん上空へ浮かんでいくような感覚。
一方の僕は膝から崩れ落ちそうなショックを受け、スティックを持つ事もなくオーディションを辞退した。
負けた。
敗北と衝撃。
音楽なんて嫌いだ!!!!
結局、いやいやリコーダーを練習した。
本番では8ビートくんのドラムに乗せて、おとなしく『君をのせて』を皆んなでピヨピヨトントン演奏したのでした。
続く。
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