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イケメンのり君

結局、黒いエレキギターを練習する事になった。

そのバンドサークルでは、最初にベンチャーズのパイプラインを練習させられる。

べんちゃあず、、、?

なんだそれ。
俺はもっとカッコいいのがやりたいんだよ!!!
できればドラムで!!!!

さすがに小学生の僕には、ベンチャーズは渋すぎた。

テケテケ、テケテケ。

なんだこれ?

ぜんんんんぜん楽しくないっ!!!!

ろくに練習もせずにただただダラダラとギターを抱えた。
ギターを抱えて弾くフリだけは上達していった。

毎回毎回、音を出すと恥ずかしい。
ギターを袋からだして、肩に掛け、シールドをアンプに繋ぐ。
「俺、アンプ要らないんだけどなあ」

アンプの電源を入れて、ボリュームを1とかに設定。
弾く気無し!!

そんな折、小学生のバンドサークルという存在は結構珍しく地元のテレビ取材を受ける事になった。

もちろん僕は弾くフリしかできない。

デカイカメラとかわいいお姉さんが取材にきて、サークル内は沸き立つ。

「では早速演奏してもらいましょう」

せっかくなら映りたい。
俺だってギター抱えるの上手いんだから!!!!!

いくぜ!
テケテケ、テケテケ。
みれ!
俺を!!
テケテケテケテケ。

だけど、カメラは僕ではなく。

イケメンのり君にしか向かなかった。

のり君はイケメン小学生。
そしてギターが弾ける。
頭も良いし、お父さんもイケメン。
だからテレビに映れるんだ。

メダロットなら俺の方が強いのに!!

ふざけんなっ!!!

もうやるか!
ギターなんて嫌いだ!!!
ベンチャーズも嫌いだ!!
音楽なんて嫌いだ!!!!

そうして僕は音楽を辞めた。

続く。

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