一芸一能と器用貧乏
「一芸一能」→技芸や技能など何か一つの才能が優れていること、それによって大成すること。
この四字熟語の対義語としてこんな言葉が紹介されている。
「器用貧乏」→器用に何でもできるが、どれも中途半端になって結局は大成
できないこと
「器用貧乏」なんて言葉は自分が生まれて高校生になる頃まではあまり聞くことがなかった単語だ。
様々な世の中の変化によって、個の力、なんてものがいろんな形で重要視されたり、いろんな人たちに対してそれを強化することが義務である、というような風潮を感じるようになってから、よく聞くようになった。
その当時、「器用貧乏」なんて言葉は、一芸一能になろうと奮闘する者が自分の保身のために
「本当はこれを極めたいんだけれども、自分はある程度までしか行かないってわかってるんだよね~、その代わりにいろんなことはそつなくこなせるんだ~」
というための単語だと正直なところ思っていた。
今になってもそう思うところがあるが、最近少し変化した。
実際に自称器用貧乏さんに対しては上記のような印象だし、実際に触れてみても、自称どまりだと思うことが多い。
しかし、実際には数多くの客観的器用貧乏さんは実在しているのだ。
ある程度の水準のモノをたくさん持っていて、実際にそれを要領よく上手く使いこなす能力を有する人。
こういう客観的器用貧乏さんは、一芸一能さんの報道などを目にする機会が増える昨今の状況のせいか(元々か…)
ないものねだりの感覚で「器用貧乏」という枠に自身を当てはめて、一芸一能さんに対し、妬みに近い羨望のまなざしを持っている方が多い印象である。
これは自称器用貧乏さんが増える原因でもあると思うが……
まあまあそれは置いておいて、自分は思う。
あんたらだって「器用貧乏」という能力があるんだよ。
十分な一芸一能さんの要件を達成しているじゃねーかよこの野郎!と。
話は少しそれるが、
日本代表が世界相手に戦い、日本国民を奮い立たせるようなドラマを生んで、歴史的快挙や大会優勝という結果を残す、そういう喜ばしい出来事が立て続けに起こっている。
言い訳じみたことにもなるが、
自分はそういう代表戦をリアルタイムで見ると応援している側の形勢が悪くなる、という変なジンクスが自分の中である。
本当に勝ってほしいからこそ絶対に見ないようにしている(笑)
ニュースでは実際にリアルタイムでの観戦を通じて、1つの共通の喜びや緊張、興奮などをを分かちあう瞬間がたくさん報道された。
まるで世間全体が一丸となり一体となっているをまじまじと見せつけるかのような、少し誇張されているような報道だった。
また、試合がテレビで中継されているとき、隣人の方の漏れ聞こえてくる雄たけびで試合展開が分かる、という奇妙な体験もできた。
こういう報道や日常は本当に喜ばしいことだと思う。
だけど、一部の報道で「世界を相手に日本を代表してこんなに立派に戦っている侍たちは本当にすごい。」というコメントが飛び交うたびに違和感を感じる。
インタビュー受けてるあんただって自分という人間を代表して生きているじゃん。すでに立派に戦っているじゃん。かっこいいじゃん。と
もちろん代表選手たちは日々努力を欠かさずに結果を残し続けて、代表選手という切符を手にした猛者たちであることに変わりはない。
だが、普段生きているだけでも、十分な努力だと思うんだ。
素晴らしい一能じゃないか、
それを競争だの、向上心だのと本来の意味とは違う形で使用して煽るような風潮に飲み込まれるな。
と思ってしまう。
自身も良くこのような自称器用貧乏現象になるときがあった。
いつもこの現象にぶち当たり、自分の負の部分に苛まれてきた。
ただ、インタビューで感じた些細な違和感から、
そういう時は心の中で
生活している人みんなはそもそも平等に生活するという一芸一能を持っていて、その上に客観的器用貧乏があるんだよ。
と言い聞かしていくようになった。
尊敬がや憧れを抱くことができる人、夢を追いかけ続けられる人。
総じて常に上を向いて結果を残せる人。
そういう人は間違いなくいる。素晴らしいことだと思う。
かといってそれを正解のようにして自分を自分で下げるようなことだけはあってはならないことだと思う。
自分と向き合わないといけないとかそういう事でもない。
ただ言いたいのは、本当にみんなすでに生きるという一芸持っているんだから自分という代表に胸を張ってくれよ、と言いたいのです。
って話でした。
当たり前なことを話してるよねーってここまで書いて思いますが、なんかそう思わざるを得ないことが日常茶飯事のような気がして少し悲しくなっています。
それでもこれからもたすくなりという代表として奮闘していこうと思いまーす(笑)
ここまで読んでくださった方がいたら感謝感激です。
それではまたどこかで。
またねっ。
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