日記#135
世界で1番優しいやつ
僕の隣にいつもいてくれる人
彼は世界に対して怖がりで
いつも何かに怯えていた
人と喋るのはちょっぴり苦手で
大人数での会話に目が回ってる
自分の感情に怖くなるくらい正直で
こころのまんまの顔をする
だけどそこにいるのは
いつもそのまんまのあいつで
上がったり下がったり
ジェットコースターみたいな僕が
すごいスピードで落ちて行く時
一緒に落ちるのではなく
ただ隣にいてくれる
僕のことをあいつは人間らしくて羨ましいというけれど
ただそこにいるだけで人を助けることができる
あいつのことが僕は羨ましい
本当の優しさってそうなのかもしれない
どんな言葉より隣にいることの安心感
それだけでいいんんだから
人と人とが求め合って傷つけ合う必要なんてないよな
そんなあいつが歌を歌った
新幹線が開通した日に
街が祭りのような熱気に包まれたその日に
7人のお客さんの前で
静かに挨拶をして
ギターを鳴らした
不思議な空間だった
「歌うということ」
これは一体どういうことなんだろう
普段届けられない思いを!
という押し付けがましさもなく
かといってわかる人にだけわかればいいと
突き放すことも決してしない
あいつの歌は隣にいた
いつも隣にいてくれる
あいつのまんま隣にいて
僕はそんな歌を初めて聴いた
余計なことは一つも歌わない
これがどんなにすごい事かわかるかな
もしかしたら7人のお客さんの中にも
感じた人はいたかもしれない
何も感じなかった人もいるかもしれない
でもそれでいいんだ
泣きたい夜にその大切さが
少しだけわかるんじゃないかな
音響の卓からあいつを見ていて
そんな事を思いながら
そのまんまの声が聞きたくなって
リバーブを外した
街はお祭り騒ぎで
あいつはその日一つ歳をとった
おめでとう
いつか俺にも誕生日プレゼントくれ
カサマツ
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