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<全米ヒットチャート:#21-30 Collection>#007 「やせがまん」2種とブーン&ブーン 「恋するデビー」と「夢の彼氏」
<「悲しくないさ」、そして「やせがまん」2種>
さて、今回も「蒸留AI」を使わずに書いていきます。
前置きなく、最高位21位曲の紹介から始めます!
最高位21位 7曲目 (298)
Dee Clark - Nobody But You (1958)
最高位21位の7曲目は、Dee Clarkの「Nobody But You」(#21-0007(298))で、1959年2月2日付で最高位21位を記録しています。アーカンソー州生まれ、シカゴ育ちのR&Bシンガー、Dee Clark。いちばんのヒットは「Raindrops」(邦題:悲しくないさ)で、1961年6月26日付で最高位2位まで上昇しています。
ちなみに、R&BポップシンガーのGene McDanielsがBurt BacharachとBob Hilliardのペンによる「Tower Of Strength」(邦題:恋のやせがまん)(1961年11月13日付で最高位5位)をヒットさせた際、そのシングルのB面はアメリカでは「The Secret」でしたが、日本ではこの「Raindrops」(邦題:涙のレインドロップス)だったようです。またまた、同じ楽曲で異なる邦題を紹介しました。
紛らわしいところですが、別曲でThe 4 Seasonsの「Big Girls Don't Cry」(邦題:恋はヤセがまん)(1962年11月17日付から5週連続No.1)の邦題が、「恋のやせがまん」ではなく、「恋はヤセがまん」であることを、念のため、付け加えます。
<「ブーン」その1>
Dee Clarkは、「Top Pop Singles」のThe Top 500 Artists Ranking From 1955-1989で403位ですが、次の最高位21位の8曲目のシンガーはそのランキングで言うと5位、The Top 50 Artists by Decadeの1955-1959ではElvis Presleyの1位に続く2位に位置する、シンガーでありソングライターであり俳優でもある、テナーボイスのクルーナー、Pat Booneです。
最高位21位 8曲目 (375)
Pat Boone - With The Wind And The Rain In Your Hair (1959)
最高位21位の8曲目は、Pat Booneの「With The Wind And The Rain In Your Hair」(#21-0008(375))(邦題:雨の降る夜)です。1959年2月9日付で最高位21位を記録した次の週に22位まで後退し、その次の週1959年2月23日付で再び21位に返り咲いています。ちなみに、最高位21位から下落後、返り咲き最高位21位は、歴代で6曲のみです。
この曲は、1930年にClara EdwardsとJack Lawrenceにより書かれ、Record Buying Guideのランキングによると、1940年にBing Crosby And His Orchestra(1940年5月4日付最高位7位)とKay Kyser And His Orchestra(1940年6月8日付最高位4位)がそれぞれヒットさせています。
Pat Booneは、Hot100以降では、「Moody River」(邦題:涙のムーディー・リバー)が1961年6月19日付で1週のみNo.1に輝いています。
Pat Boone - Ain't That A Shame (1955)
ちなみに、Hot100以前のNo.1ヒットには、Most Played in Juke Boxes(この段落以降、「JB」とします)で前の週までNo.1だったBill Haley And His Cometsの「Rock Around The Clock」を押し退けNo.1となった「Ain't That A Shame」(邦題:悪いのはあなた)(1955年9月17日付からJBで2週連続No.1)、「I Almost Lost My Mind」(邦題:気も狂うほど)(1956年7月28日付からJBで4週連続No.1)、「Don't Forbid Me」(邦題:温めてあげたくて)(1957年2月9日付のTop100でNo.1)、「Love Letters In The Sand」(邦題:砂に書いたラブレター)(1957年6月10日付からMost Played by Jockeys(以下「DJ」とします)で7週連続No.1)、DJでSam Cookeの「You Send Me」を退け「April Love」(邦題:四月の恋)(1957年12月16日付からDJで6週連続)の5曲があります(複数のチャートでNo.1の場合、早くNo.1になったチャートや長くNo.1に滞在したチャートを優先しました。邦題は、当初リリース時のものと異なる可能性があります)。
「Ain't That A Shame」ですが、オリジナルのFats Dominoの「Ain't That A Shame」は1955年8月27日付JBで最高位10位でした。この曲の他のカバー曲で、The 4 Seasonsの「Ain't That A Shame!」(邦題:悪いのはあなた)が、びっくりマーク付きですが、1963年5月18日付から2週連続最高位22位、Cheap Trickの「Ain't That A Shame」(ライブ盤「Cheap Trick at Budokan」(邦題:チープ・トリック at 武道館)から)が1979年9月29日付で最高位35位とヒットしています。
また、「I Almost Lost My Mind」は、邦題が「恋にフラフラ」(Bill Black's Combo)とされていることもあるようです。Ivory Joe Hunterがオリジナルで、Nat King Coleの「I Almost Lost My Mind」が1950年4月1日付にRecords Most Played By Disk Jockeysで最高位26位となっています。
<「ブーン」その2>
ところで、そんなPat Boone、現在、御年90歳ですが、まだお元気に活動しています(X:ThePartBoone)。映画「Reagan」(2024年)にも出演しています。
そんな彼の義理の父は、1950年2月11日付から4週連続Best Selling Pop SinglesでNo.1、Most-Played In Juke Boxesでは8週連続No.1(日付は未確認)となったヒット曲「Chattanoogie Shoe Shine Boy」を持つカントリー・シンガーのRed Foley。
Debby Boone - You Light Up My Life (1977)
そして、4人の娘の父としても知られていますが、そのうちの1人がDebby Boone。映画「You Light Up My Life」(邦題:マイ・ソング)の主題歌の「カバー」曲、Debby Booneの「You Light Up My Life」(邦題:恋するデビー)が1977年10月15日付から10週連続No.1というウルトラビッグヒットを記録しました。
どれだけウルトラビッグヒットだったかというと(年の終わりにかけてのヒットだったためYear-End Chartでは1978年に第3位)、1955年以降で1位在籍の記録は3曲がそれぞれ9週という記録を持っていました。1959年10月5日付でNo.1となったBobby Darinの「Mack The Knife」(邦題:匕首マッキー)(2位に退いた週が1週あるので9週連続ではない)、1960年2月22日付でNo.1となったPercy Faith And His Orchestraの「The Theme From "A Summer Place"」(邦題:夏の日の恋)(9週連続)、1968年9月28日付でNo.1となったThe Beatlesの「Hey Jude」(9週連続)の3曲です。 1981年11月21日付からOlivia Newton-Johnが「Physical」で10週連続No.1となった以降、1992年8月15日付からBoyz II Menが「End Of The Road (From "Boomerang")」で 13週連続No.1とするまで、「10週連続No.1」という記録は破られませんでした。
なぜ、Debby Booneの「You Light Up My Life」を「カバー」曲と言ったかと言うと、映画のテーマとしてレコーディングされたのは、ボーカルがKacey Cisykの、リリース当初はOriginal Castとクレジットされていた(Kacey Cisykはクレジットされていません)「You Light Up My Life」(邦題:マイ・ソングのテーマ)で、1977年11月26日付から2週連続最高位80位の曲だったからです。
Kacey Cisyk (as ‘Original Cast’) - You Light Up My Life (1977)
映画では主人公Laurie Robinson役を演ずるDidi Connが歌うシーンをKacey Cisykが吹き替え、その録音がシングルにも使われたとのことです。いろいろな事情で、アメリカではKacey CisykのボーカルバージョンはB面、この曲の作詞作曲を手がけ、映画では音楽を担当したJoe BrooksのインストゥルメンタルバージョンがA面でした(最高位80位を記録したのはB面のボーカルバージョン。日本版ではボーカルバージョンがA面)。
この曲は、シンガーソングライターのLeAnn Rimesの「You Light Up My Life」も1997年9月27日付から3週連続最高位34位にチャートインしています。
The Boones - He's A Rebel (1977)
Debby Booneの「You Light Up My Life」について補足すると、この曲のシングル(品番:WBS 8455)のB面は「Hasta Mañana」(邦題:落葉のメロディ)ですが、アメリカでの当初のシングル(品番:WBS 8446)ではB面曲はDebby Booneを含むBoone4姉妹からなるThe Boonesの「He's A Rebel」でした。
そのためか、Hot100上では、1977年9月3日付で初登場71位から当初の10週はB面曲が「He's A Rebel」、1977年11月12日付からはB面曲が「Hasta Mañana」の品番が掲載されています。1977年10月15日付でNo.1になってからも4週間は「He's A Rebel」がB面の盤の品番が掲載されていたようです。ちなみに、「Hasta Mañana」は、ABBA (Björn, Benny, Agnetha & Frida)の「Hasta Mañana」(邦題:落葉のメロディ)のカバーです。
Vikki Carr - He's A Rebel (1962)
「He's A Rebel」は、拙稿#004でWally Goldを紹介した際に出てきたGene Pitneyのペンによるもので、いわゆるオリジナルはVikki Carrの「He's A Rebel」(邦題:夢の彼氏)。同時期にレコーディングされたPhil SpectorプロデュースのThe Crystalsの「He's A Rebel」が1962年11月3日付から2週連続No.1(Philes Recordsの初のNo.1ヒット)になっています。
実は、このThe Crystalsの「He's A Rebel」、ボーカルは、「Christmas (Baby Please Come Home)」(初のNo.1となった2022年12月31日付から3シーズンで合計4週で最高位15位)でもお馴染み、当時The BlossomsにいたDarlene Loveで、The Crystalsが実際には歌っていなかったということも知られています。掘り下げはこの辺にしておきます(Gene PitneyやThe Crystals、Vikki Carrについては、別の機会で!)。
(Pat Booneの「With The Wind And The Rain In Your Hair」が最高位21位になった時期のNo.1ヒットは、次回、紹介します。
なお、今週(2025年2月1日付)も先週に引き続き4週連続でLady Gaga & Bruno Marsの「Die With A Smile」がNo.1です。)
<参考文献・インターネットサイト>
(拙稿#001の文末に記載したものに、以下の参考文献を追加します。)
文献:
・ Joel Whitburn's Billboard Pop Hits Singles & Albums 1940-1954
(Publisher: Record Research)
・ 「日本盤オールディーズ・シングル図鑑 : 1954~1964」(菅田泰治編著、シンコーミュージック・エンタテイメント、2011年)
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