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Best of Fujii Kaze 2020-2024 Asia Tour Final

9月のチケット販売スタートのころは、まさに狂想曲の趣だった。自分のスケジュールと照らし合わせて、いつなら行けるかどこに行きたいか、そもそもチケットは手に入るのか。
幸運なことに、台北2公演を経て、昨日ツアーファイナルのソウル公演に参加することができた。いまの自分のなかにあるものを書いておきたい。

ソウルのひとつ前のマニラでは、最後にステージにひとり残ったところでの会場の熱い熱いリクエストに応えて、アンコール風(ふう)にピアノで「さよならベイベ」を少しやってくれたようだった。いつもアンコールはやらない風さん、ソウルではファイナルということで、さらにこんな言葉を伝えてくれた。

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This is the last show of this tour.
I try to be a better version of myself each and every day.
So let's try to do that together.
We can be the best version of ourselves one day.
See you there.
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ツアー初日までチームで念入りにプランを立て準備をして、チームのみなさんがそれぞれに心をくだいて積み上げてこられた時間。そしてツアーの間にも努力を重ね磨きをかけながらどんどん伸びていく風さんの経糸に、バンメンさんダンサーさんスタッフさんの横糸が、強く美しく織りかさなったような。そうやって織りあげられ差し出された織物の手触りに会場の隅々まで暖かく包まれている。風さんをはじめステージに立つみなさんが、いかにベストを尽くし、楽しみ、ツアーを大切に過ごされてきたか、その動きと表情から伝わってくるから。存分に堪能して優しく包みこんでもらった、そんなライブだった。

そして改めて、すべての楽曲がわたしにとってindispensable であり、トーチライトのように進む道を照らしてくれていたことに感謝をする。十分に愛でつくしてきたはずなのに、また新しい側面が光を放ち、そのgraceに心のなかが満ちてゆく。

ピアノの鍵盤の向こうに会場の灯りが映る。


もうひとつ、心に刻まれた隣の席の韓国のひとたちとの交流。
広い会場で席を探し当て着席したら、友達と席が少し離れたから、ほらあそこの赤い服にadidasのひとがいるでしょう、あの席とかわってもらえますか?と話しかけてきた若い女性。おかげで5つくらい右寄り、2列目から1列目の真正面の席に移動となり、こちらこそラッキーな申し出だったのに、お礼としてチョコレートを用意してきてくれたみたい。너묵거마워요。美味しくいただきますね。
そして新しい席で隣になった、おそらく母娘のお客さん。ライブ後、韓国でのライブ時の一般的な撮影ルールを聞いたら教えてくれて、少しおしゃべりも。ライブの感想を聞いたら、お母さんは너무멋있다〜(めっちゃかっこよかった〜)とのこと。娘さんは韓国語を褒めてくださった。うれしい。

風さんに導かれての29年ぶりのソウル訪問。直前には大統領のまさかの非常戒厳が出てヒヤッとした時もあったけれど、予定通り行われてでほんとうによかった。
文字通りバスにゆらり揺られ、文句を言いながらも毎日語学堂に通ったいまの風さんと同い年だった若いワタクシ、がんばったね、おかげで29年後のあなたがたのしんでいるわ、ありがとうね、と肩をたたいてあげなければ。

風さんは以前SNSのプロフィールにEnglidh learnerと書いてあった記憶がある。英語で歌うひとになりたいという自身のversion upのため積み重ねてきた日々、報われる日が近づいている。

さあ、来年。頼れるトーチライトと暖かな手織ストールを手にして、わたしはどんなバージョンアップをめざすのか?
Think well and take actions ✨
風さんが自身の手でつかみとり報われるそのときを、胸を張って見守れるようわたしも密かに何かと努めなければと決意する、還暦前の年の瀬である。

翌日は満月。



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