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ドラマ批評 6年前の『ブラックペアン』シリーズ1。このドラマの見どころを振り返る!

#ドラマ批評 #ドラマレビュー
#ブラックペアン #二宮和也
#医療ドラマ

『ブラックペアン』が放送されたのが、2018年の4月から6月にかけて。TBSの日曜劇場で9時台におこなわれた。このころ世間では何があったかというと、あの森友学園の問題だ。安倍首相からの口利きで、財務省が公文書を改竄。森友学園にたいし国有地を格安売却したというもの。このころはまだ揉めている最中だった。

*ブラックペアンの概要!
二宮和也主演の医療ドラマ。視聴率は全話平均14.3%だったようだ。キャストには、味のある俳優を揃えた。二宮の上司にあたる佐伯教授を演じたのが、内野聖陽。外科学会の理事長選挙で、この佐伯と争っていたのが、西崎啓介役の市川猿之助。その弟子の外科医が、高階権太役の小泉孝太郎。そして新人研修医の世良雅志役が、竹内涼真だった。

原作は、2007年講談社から発売された長編医療小説「ブラックぺアン1988」。作者は、医師で医学博士(千葉大)でもある海堂尊。代表作には『チームバチスタの栄光』がある。このバチスタで、海堂は小説家デビュー。累計1750万部を販売する大ヒット作となった。

*あらすじ(ネタバレあり)
心臓外科医の佐伯教授。世界的に注目を浴びた人物だった。ふつう心臓の僧帽弁の手術では、一度心臓を止めておこなうのが一般的。ところが佐伯はこれを止めずにおこなう。自らこれを「佐伯式」と呼んだ。佐伯の勤める大学病院では、この手術ができるのは佐伯教授ただ一人と見られていた。

しかし実際にはもう一人いたのだ。論文を書かないため、いまだにヒラの外科医、渡海征司郎。ただし、オモテたって執刀することは無い。仲間の外科医が失敗し、困っているときに駆けつける。そして「1000万円出すなら代わってやる!」と告げるのだ。そうして、ちゃっかり、いつも金を手にする。一方で、ふだんは病院内の仮眠場で生活している。この渡海の下についた研修医はそのほとんどが辞めていったという。そんななかまた一人の新人がついた。それが世良雅志「竹内涼真」。どうにかこうにか止めずに踏ん張るというストーリー。

[第一話あらすじ]
佐伯教授のところに、新任の高階という外科医が入る。アメリカから人工僧帽弁とその挿入器具、スナイプを携えて…。高階は、佐伯と外科学会理事長の座を競う西崎啓介(市川猿之助)の弟子だった。高階がいうには「このスナイプさえあれば、どんな外科医であっても、僧帽弁手術ができる!」と。しかし、もう一つの狙いは、このスナイプが広まること、そして論文が注目をあびることで、佐伯の人気が落ちることを西崎は期待していた。なぜなら、それで外科学会の理事長選に勝てるからだ。しかし…失敗続きとなる。

[最終話あらすじ]ネタバレあり
理事長選挙のさなか、むかし佐伯の執刀した手術内容が明らかになる。実はこの患者の手術中に、病院の近くで大事件が起こり、多くのケガ人が運ばれてきていたのだ。佐伯はこの手術を最後までやろうとしたが時間がない。とりあえず鉗子をつけて止血しておいた。後で取り出すつもりだったようだ。しかし、このあと佐伯は海外への派遣を命じられる。たまたま渡海の父一郎は、佐伯の残していったレントゲンを写真を見ていたのだが、それを同僚に見られてしまう。渡海の父一郎は、佐伯の罪を自分が被ることで佐伯を救ったのだ。病院を辞めた渡海の父。ほどなく急死してしまう。なにも知らない渡海、佐伯の罪を父が被ったことに、かなりの憤りを感じていた。しかし、これが真相だった。それほどに、父と佐伯は仲が良かったのだ。今回、この患者の再手術を、渡海と高階の2人でおこない患者の命をすくおうとしたが、佐伯に止められ、佐伯は新たにカーボン製鉗子(ブラックぺアン)を患者の体内に残すカタチて手術を終了する。
佐伯教授は、理事長に選出され、病院改革に力を尽くしていく。一方、渡海は大学を去り、新たな病院で働き始める。

*このドラマの見どころ!
❶どの手術についても、その細部に至るまで見せるところ。そこには臨場感があり、ドキドキさせる。また手術中に起きるアクシデントも、さらに緊迫感を増すという仕掛けになって、見ている私たちをドラマへ引き込んでいく。今までの日本の医療ドラマ、ここまではやっていなかった。この辺りでようやく海外ドラマと同じレベルにまでなったな!と感じさせる。

❷二宮和也が演じる渡海征司郎。このキャラがいい。どこか陰を引きずっていて寡黙。誰とも心を打ち解けるというところがない。しかし、手術の腕は超一流だった。どんな手術も一瞬で問題をみぬく。だから「俺は、担当した患者一人も殺していない!」と言いきっている。また周りのスタッフにたいし、どんなミスも許さない。失敗した時はケアなどなく、すべて突きはなす。だから渡海の下についた研修医のほとんどが辞めていった。

❸エリート医師で、アメリカ留学もした高階を演じたのが、小泉孝太郎。二宮との対決が見どころとなっている。渡海は、頭でっかちで腕のない高階に冷淡だった。一方、高階は「論文を書かない医師は、たんなる腕の良い職人」と切り捨てる。この両者の競り合いも、見せ場の一つといえる。

❹二宮和也の演技力も見所だ。アメリカ映画『硫黄島からの手紙』で今やハリウッド俳優になった二宮。その演技力は抜群と言っていい。医療現場では常に緊張を強いられる。しかし、危機的とも言える状況に直面しても、どこかリラックスした余裕を漂わせている。超一流とは、そんな医師だと納得させる演技力だった。

❺竹内涼真に任されたのが、新人研修医の世良。常に患者思いの世良だが、医師としての自分の力なさにいつも呆然とする。渡海と世羅の対比があって、医療の奥深さを感じさせてくれた。だがこの世良も、渡海の指導で少しずつだが力をつけていく。

まとめ
話の筋書き自体に、新しさを感じられない。しかし、手術現場のリアリティーには驚かされた。やはり原作を書いた海堂尊が、本物の外科医だったことが大きかったようだ。また、最新の医療機器にも驚かされた。実際に自分や家族が手術を受けた気にもなるというもの。この辺りはさすがと感じられた。この7月から新たにシーズン 2が始まる。主演はまた二宮和也。しかし今回、別のキャラとして出てくるようだ。こちらも楽しみということだろう。
(※なお見逃した人はネットフリックスにて現在配信しているので、観たらどうだろうか?)

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