[テレビ番組評]世界一おいしいとされるお米! 6度も受賞した「米農家 関智晴」NHKプロフェッショナルより
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コメは20年前から友人の米農家から買っている。このため今年の米騒動でも何という事はなかった。地球規模での異常気象、災害も心配するが、食糧についても危惧するのだ。そもそも穀物というものは輸入で取引するものではない。生産量のわずか5%しかないのだ。国土防衛と言いながら、食糧を海外に頼るというのは違うのではないか?これは偽らざる本音である。
*世界一、おいしい米とは?
NHKプロフェッショナル仕事の流儀、あまり見ていない番組だったが、タイトルに惹かれ見てしまった。新潟県南魚沼の農家、関智晴がその人。米農家に生まれた智晴、親の仕事が大変なことを知って、農業が嫌いだったと言う。子供の頃からスノーボードにハマり、プロスノーボーダーとなった。だがこのスポーツではあまり稼げない。夏は親の仕事を手伝う。
この手伝いにより、たぶん徐々に農業に興味を持ったようだ。もともと虫好きの少年だったという。智晴の父は、自然農法を目指していたため、農薬・除草剤は使わない。父の田んぼには、ありとあらゆる生き物が多いのだ。そうしてつくった父の米は、どこの米よりもうまかった。多分この魅力に気づいたのだろう。
*危機的状況の「日本のコメ」!
人々のコメ離れが進んでいる。毎年毎年のこと、消費量が減り続けているのだ。パンや麺を好む人が多くなっている。また米農家の担い手は高齢化が進み、今後どうなるかが心配にもなる。今までの販売流通の仕組みがいびつで、収入が少なかったことが原因だったようだ。
近年、ウェブ販売や「道の駅」の整備などで、新たな売り方ができるようになったため、状況は少しずつ変わったようだ。この関智晴も「うまい米」品評会で6度も優勝しているため、独自ルートで販売販売しているようだ。価格は3倍以上ともいうが、人気は上々とされる。
このコメ農家の平均年齢は69歳とされる。だいたい農業をやめる年齢というのがこの年齢。農業という仕事は体力勝負のようだ。草刈りは年五回はしなくてはいけない。米生産量ナンバーワンの新潟においても、これは深刻な事態となっている。2010年から10年間でおよそ半分になり、その後さらに減り続けているのだ。
*関智晴、こだわりの農法とは?
農林水産省では、いかに省コスト化・省手間化と大規模農法をおこない、改善していくことをうたっている。だが智晴の農法はこれとは全く逆だ。手間をかける農法と言える。父から始まった自然農法。肥料つくりも有用菌を使い、自らおこなうのだ。
雑草に対しても、除草剤を使わない。草取り機を利用したり、手抜きも行うという。何から何まで手間をかけるのだ。人一倍うまい米を作る!この信念によって、それが行われている。いやはや脱帽と言うしかない。それと言うのも米作りに魅力を感じているのだろう。
また近くの米農家仲間を集め、良い米作りをしている農家の視察もするようだ。すでに50回も行っていると言う。少しでも米をうまくしたい!その意気込みが感じられる話だ。もともと嫌いだったはずの米農家。だがいまや自分の生きがいにもなったと思える。
*日々、新しいことにチャレンジ!
「日本一」を6度も受賞した関智晴。だが未だに満足していないようだ。番組では、今年の苗の植え付けを今まででイチバン遅くしたと言っていた。5月末まで苗を植え付ければ、8月の日照により稲は育つ。しかしあえて遅らせることで旨味となるアミノ酸を増やそうというのだ。
けっきょく6月末の苗植えとなった。さらに刈り取りも、少し早めたと言う。少々青みかかった稲穂だったが、この状態での刈り入れたのだ。当然のこと収穫量は減るが、あえて旨味を増す方法を選んだとされる。かなりの思い入れがあることに間違いない。
いま植え付けている田んぼは、東京ドーム4面の広さだと言う。大体19ha(ヘクタール)ほど。1haあたり、米の収穫量は5400kgのようだから、10万kgの米を作っている計算となる。かりに5kgが1万円で販売したら、2億円の売り上げのようだ。あくまで概算だが、これなら仕事としてのやり甲斐にもなると思えた。
*まとめ
父が始めた有用菌による自然農法。はじめ、周りの農家は失敗すると思ったようだ。当時、米の販売は農協を通じておこなうしかない。だとすれば、せっかくうまい米を作っても全く利益にはならなかった。それでも父はひたすらこの農法を進めていったと言う。
息子の智晴、この父の背中を見て、農業に戻ったと思える。父の作った米は、どこの米より美味しいのだ。そして「田んぼ」は生き物に満ち溢れている。これもひとつの「親子鷹」ということなのだろう。そんな親子の姿に、日本農業の復活の可能性をみた。