『末期ガン』緩和ケア(ホスピス)!自分や家族がなってしまったら…。
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学生時代の友人、Y氏の思い出。ある日のこと、1本の電話がかかってきた。相手はY氏本人からで、いま入院しているという話し。癌にかかり、3日後には手術だという。とりあえず明日見舞いに行くことを告げ、電話を切った。
見舞いに行ってから1ヵ月後、Y氏は退院。それから数ヶ月ちょうど花見の季節で、学生時代の仲間が6人集まるという。その中には退院したばかりのY氏の顔もあった。元来、酒好きで毎日浴びるほど飲んでいたY氏。その日も我慢できなくなったのだろう。周りが制止するにもかかわらず、飲んでしまう。
訃報を聞いたのは、その3ヶ月後の事だった。快気祝いの品ももらっていたので、元気なんだろうと思っていたのだが…。いま考えてみると、このY氏。どのようにその後過ごしていたか気になる。また本人は医師からなんと告げられていたか。今となっては知る術がない。自分が「もし末期ガンを患ったら?」が頭から離れなくなった。
ヒトはいつか必ず死ぬ!当たり前のことだ。しかし、誰もそれを普段は意識していない。でも、立ち止まって考えるべき、そんな思いがしていた。そんなとき、いつも通り書店に立ちよると、ある新書が目にとまる。『多死社会に備える』著者の長岡美代氏は、介護医療ジャーナリスト。20年以上、現場を見続けてきたという。この本をもとに、末期ガンになったときにどうすべきかを考えてみた。
*国の現状は…
日本の人口のなかで、一番多いのは団塊世代と言われている。先の大戦後、海外に行った若者たちが.日本に戻ってきて結婚。このとき生まれたのは、ベビーブーマー(団塊世代)という。
終戦が1945年だから、2025年になる。そのほとんどが75歳以上の高齢者になる。いつまでも元気な女性にたいし、男性はこの頃になると、ガンにかかる人が圧倒的に多くなるようだ。私も高齢者支援の活動をしているが、10人中8人から9人が癌サバイバーだ。
そうなると、当然のこと今の医療体制でこれらの人すべてに対応するのは難しいといえる。国も財政が逼迫し、医療費削減に向けうごいているようだ。とくに末期ガンの緩和ケアについては、簡単に施設に入ることは困難な状況といえる。地域差はあるというものの…。
*末期ガンなら自宅を選ぼう!
自分が末期ガンになっていると仮定しよう!担当医師はそれでもあくまで治療をするように話してくるはずだ。理由は治療することが仕事だから。しかし、体力がなくなり、副作用で苦しんでいるなら、緩和ケア医に相談すべきだ。
実のところ、この緩和ケア病院(病棟)は、決して死を待つところではない!病状を安定させ、一時的に体を休めるところでもあるのだ。ただ担当医が見放したときは、覚悟を決めるしかないようでもある。
意外にも思うが、治療を担当する医師と、緩和ケア医との連携は、そううまくできているとは限らない。これが現実のようだ。この辺りが大事なポイントと言える。また、末期がんの治療は寿命を先延ばし、つまり延命しているだけともいえる。そのことも頭に入れておこう。
自覚しなくてはいけないのが①「今」という時間を大事にすること ②「死」を受けいれ、覚悟を決めるということ。治療を中止し、自分のこれからの生活の質をあげることも考える。
*公的な支援を活用!
「末期がん」であるならば、介護保険を積極的に利用すべきだ。40歳以上なら利用が可能という。地域包括センターに連絡して、すぐに介護認定を取るといい。
「介護認定」は調査員が来てから、およそ40日かかる。ポイントは担当するケアマネジャーに、認定がおりる前に『暫定利用』を申し込むというもの。「先にサービスを利用したい!」と告げればできるという。末期であれば、いつ急変してもおかしくは無い。これは知っておくべきだろう。
*医療用麻薬について
進行性のガンの場合、その7割は痛みに悩むようだ。しかし麻薬を使いたくないとする人が多いという。これはどうも勘違いから来るようだ。医療用では「依存」の問題は生じない。
ガンでの痛みは、積極的にとるべきもの。これにより生活の質QOLがあがる。便秘や吐き気も、取る薬を処方してもらう。またオピオイド鎮痛薬には「のみ薬」だけでなく、「貼り薬」や即効性の頓服薬もある。
ポイントは、その管理にあるといえる。「のみ薬」あるなら①取る時間を守り ②その患者にあった分量を、きちんと摂ることだ。この辺りは、緩和ケア医の技量が求められるという。
まとめ
日本人の死因、一番多いのは「ガン」である。自分もふくめ、いつ誰がそうなってもおかしくは無い。なってしまってから、オロオロする前に、よく学んでおく事は必要だ。「死」を怖いととらえる人は多い。しかし、ほとんどの人がこの緩和ケアに接すると、満足して「死」を迎えるという。そのことも頭に入れておこう。