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[ TV評 ]ブラタモリ#47 『高尾山』 際だつ(きわだつ)山!

#高尾山 #ブラタモリ
#薬王院 #パワースポット

ちょうど8年前の今日(2016年9月17日)放送されたブラタモリ。第47回は『高尾山』だった。副題は「ナンバーワンの山」としている。だが私としてはあえて「際立つ山」としてみた。日本ナンバーワンの山は何といっても富士山、どう考えてみても…。今回は、八王子市にある高尾山について学ぶこととする。

この「際立つ(きわだつ)」には、「秀でる・勝る・優る・ぬけ出る」があるが、狙いはもっと別の意味だ。「際」つまり境界線にあるということ。「際」にあったため、他にはない「優れた山」となったという考えである。今回それを「ブラタモリ」にそって考えてみる。


*高尾山の植生とは?
ちょうどこの山は、暖温帯林、つまり常緑広葉樹の北限に位置している。山の北側には清冽な小川が流れ、1年を通じて気温があがらないため、冷温帯林(落葉広葉樹)が生育し、どちらの林も見ることができるというわけだ。嬉しいのは、登山道によっては左右で違う植物を見ることができるということ。しかも手付かずの自然が太古から維持しているので、これも驚きといえる。

高尾山は標高599m、面積2600ヘクタール。つまり東京品川区より少し大きい広さ。1598種類の植物が生育しており、その分類の基準となる植物も70種におよぶ。樹齢700年ともいえる杉の巨木、ブラ、アカガシ、モミ、イヌブナの巨木も見ることができる。それほどに豊かな自然が残されていたのだ。京王線で新宿から最短43分の近さ。これだけのものが見れるというのは嬉しい限りといえよう。

*豊かな自然、その理由とは?
西暦744年、聖武天皇の勅命をうけた僧・行基よって開山された高尾山。代々にわたり森は守られてきた。戦国時代になると、この土地をおさめていた大名・北条氏がこの山を庇護する。小田原北条氏の北限に位置する高尾山。1300年の歴史のある高尾山薬王院には、北条照氏の書状が残されている。

その内容は、この高尾山を薬王院に寄進すると言うもの。また制札(守らせるルール)において、樹木の伐採を禁止する旨も書きのこしている。女人は富士山への登山が禁止されていたため、代わりとして高尾山に登っていた。そのため、浅間神社が高尾山にはある。

*登山客が年間300万人?
これは富士登山客の約30倍のようだ。それほどに人気のある理由はなんだろう。交通の便が非常に良いことが関わっている。1926年12月に大正天皇が崩御する。陵墓をどこにするかで決定されたのが、八王子市高尾だった。これにより、1931年(昭和6年)、京王御陵線が高尾まで延伸する。

高尾山を下り、住宅地にまで行くと、住宅のなかに巨大なコンクリート製の構造物があった。八王子市の学芸員が、タモリになんだと思うか?と聞くと「橋脚ですか!」とすぐに言い当てた。現在の京王線とは違うルートに線路があったという。さらに歩いていると、道路左側の畑の様子も少しおかしい。つまり、ここにも線路が敷設されていたのだ。

鉄道マニアのタモリ、だが高所恐怖症でもある。そのタモリ、このコンクリート製の橋脚をみて、スイスイと登っていった。二階家の屋根、それと同じ高さ。さすが「乗り鉄(のりてつ)」だ。好きは、恐怖心をおさえるのは何とも不思議だ。

*パワースポット、高尾山?
なんとこの高尾山、最強のパワースポットだと言う。これは「ブラタモリ」では触れていない情報。「八王子薬王院」そのものに開運力があるようだが、そのなかの「八王龍王社」はさらに特別なもののようだ。雷門浅草寺は、東京の「東の結界」であるが、龍王院の手水舎「婆迦羅龍王」は浅草寺の像と全く同じ造形。日々我々に生命の活力を与えてくれると言う。

西の結界が、この高尾山薬王院。災いや不浄を防いでくれるパワースポットと言える。都心からわずか1時間余りでいける高尾山。ロープウェーや2人乗リフトまで備えてある。体や身体に何らかの不調があれば、力をもらえるかもしれない。このパワーも「際立ち」のひとつと言えるだろう。

*まとめ
どの話も「際(きわ)」に関係していることがわかっていただけたと思う。植物の境界線があり、鉄道での「端っこ」。さらに結界という境界も「際」である。天皇の陵墓が、この土地のすぐ近くにあると言うのも無関係ではないようだ。この高尾山近辺、自然災害が少ないというのも、この「際」と関係しているのかもしれない。

都心近郊に住む人たちにとっては、優れた観光スポットと言えるだろう。「優れる」、イコール「際立ち」である。高尾山にはまるで関心がなかったが、学んだことですぐにでも行く気持ちになった。そしてご利益となる何らかをもらってこようとも思う。

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