『おいしさ』がヒト進化のスイッチ? NHK BSヒューマニエンス
#科学 #ヒューマニエンス
#美味しさ #織田裕二
科学が好きなのに、文系の方へ進んでしまった。だが、それはそれで今は納得している。いまでもよく読んでいるのは科学の雑誌。テレビもなるべく科学系のものは全て観るようにしている。今回、学んだのは「おいしさ」という切り口。これが人類にどう影響したかである。
*科学と妄想の関係?
さまざまな科学者が日々研究しているわけだが、未だ世界の普遍的心理や法則を解き明かすことはできない。これはこの先100年経ったとしても同じと言える。そこで分からないとされる部分は、自分の中で、こうではないか!そう思うしかないのだ。これがいわば「妄想」。このヒューマニエンスという番組も、そんな作りとなっている。
MC織田裕二とゲスト文化人が、研究者との間で意見を交えるが、そのほとんどはいわば妄想と言えるもの、そこが面白い。俳優としての織田裕二の顔とは、また別の顔が見れるのもこの番組の良いところと言える。私自身も、この番組にそって妄想しようと思う。
*ヒトの進化は、美味しさ!
野生動物は、ほぼ決まったものしか食べないとされる。未知の味には恐怖を感じるようだ。それだけでなく、変わったものを食べることで、体型が変わってしまうことが危険と言える。「弱肉強食」の言葉通り、いつに危険が及ぶとも限らない。わずかな体重の増加は、死を招くこととなる。
一方、ヒトはと言うと、何でも貪欲に食べる。様々な味にトライしてより旨いとされるものを探すようだ。これにはある程度のリスクがあると言っていい。場合によってはやはり命を落とすことにもなる。見た目グロテスクなものまで平然と食べられるというのは、ヒト同士の情報交換、このお陰でもあるという。
ヒトが進化した理由を、番組では「死んだ動物の骨髄を食べたこと」にあるとした。このことと同時に始まったとされる火の使用、この影響もおおきい。ヒトが胃腸で消化する前に、火で煮炊きすることにより消化しやすくする。このことで栄養より多く摂取できるようになった。
*ヒトの脳、味覚は鈍感!
味覚受容体をつくるTAS1R( タスワンアール)遺伝子。これにより「甘み」と「旨み」をより感じるようになったと言う。このTAS1R遺伝子がヒトではわずか3個しかない。両生類のウーパールーパーでは7個もあるのだ。他の動物と比べても、ヒトのTAS1R遺伝子は少ないと言える。
だが、ヒトは「苦味」や「酸味」もあじわう。ヒトの進化の歴史の中で獲得した味とも言えるようだ。発酵食品に酸味と旨みを感じることができるのはヒトだけ。さらに「ワサビ」や生姜なども味わうことができる。様々なものを食べ尽くすのはヒトの特徴とも言える。
一方、脂質をおおく含む食材摂取は、脳機能を狂わせてしまうと言う。現代人、肥満に悩む人がおおい。その理由はやはり過食。人の脳にある視床下部、ここにある満腹中枢の働きが脂質により抑えつけられたために起きるのだ。何でも食べることが、病気の引き金となった。
*農耕が栄養バランスを変えた!
おおよそ1万年前に始まったとされる農耕。これより人類は、豊富な穀物が得られた。このことでヒトの遺伝子にも変化が現れたと言う。それが唾液アミラーゼ遺伝子である。デンプンを酵素により糖に変える働きがあり、とくに日本人はその数が多いようだ。
日本人はやたらと麺類やパンが好き。昼食にチャーハンと同時にラーメンを頼むヒトも多い。B級グルメと言われているもの、これらすべてデンプン食である。ほとんどの日本人は、このことにより肥満となってしまう。さらに遺伝的にインスリンの分泌も少ない。日本人には常に糖尿病のリスクがあると言うことだ。
これを防ぐには「オメガ3」のDH AやEPAをより多く摂ると良いという。昔は、家畜も放牧し草を食べさせていたが、いまは輸入トウモロコシが主になっている。草食であれば「オメガ3」は豊富に含まれていたはず。市販されている肉のオメガ3含有量は、4分の1から5分の1まで減ってしまった。ここに問題がある。
この「オメガ3」の中でもDH Aは神経細胞の数に関係するという。マウスを使った実験によると、DH Aを多く与えた母親から生まれたマウスは、そうでない母親から生まれたマウスに比べ、神経細胞が20%も多いという結果だった。これは、子どもの脳にとって重大な事実である。
*まとめ
結論として言えるのは、「肉食」をなるべく控え、「オメガ3」の多く含まれる食材をより多く摂取することが良いようだ。現代人、あまりにグルメにいきすぎた感は否めない。もっと「自然食品」について考えた方がいいだろう。
また世界を見渡せば、多くの人が飢餓に直面している。日本でも母子家庭の貧困はかなり問題になっているのだ。さらに、肉食は環境破壊にもつながる。「足るを知る」、この老子の言葉を思い出そう。何事にも満足することが、精神的豊かさにつながり、幸福に生きていけるということを…。