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[Biz]『白馬岩岳マウンテンリゾート』 復活した理由は?

#ズクトチエ #和田寛
#白馬岩岳マウンテンリゾート
#リゾート復活

日本では、30年前から40年前にかけて一大スキー・スケボーのブームがあった。象徴とされるのが、角川映画『私はスキーに連れてって』(1987年)。冬ともなれば、若者たちがこぞって山へ行ったものだ。当時、スキーセットは10万円以上したが、この当時になると3万円以下のものまであり、安く手に入れることができた。また、スキー場ちかくにはリゾートマンションも建設され、ウィンタースポーツ好きな人が購入したようだ。ところが1993年の客数1860万人をピークにこれ以降、下降線をたどる。

2000年代前半には、800万人を下まわらり、2020年ともなるとピークの4分の1以下の430万人になってしまう。ほとんどのスキー場は経営が厳しくなり、リゾートマンションも大暴落していった。YouTubeなどでよく取りあげられている廃墟シリーズ、全国各地で廃業となったそうした施設の動画がアップされている。

*リゾート宿泊施設の現状!
2020年のコロナ禍において、宿泊施設は大打撃をくらったものの、ここに来てようやく回復の兆しが見える。ただし、国内旅行者はまだ低調で、これを引き上げているのは外国人旅行者だ。全体としてはコロナ禍前に戻ったと見ることができる。しかしまだ問題はおおい。

近年の物価高である。物の価格があればそれに応じて料金も上げざるを得ない。上がればやはり客足は遠ざかる。そこが経営者の悩みの種といえる。また人手不足も頭が痛い。コロナ禍での休業により、従業員を一時的にではあるが休んでもらった。現在はどの産業も人手不足である。以前の人員は揃っていないのだ。

*リゾート復活、成功事例?
通常スキー場の稼ぎどころは冬場に限られる。だが、巧みな戦略によって、冬以外の季節に客を呼び込んだ施設があった。それが『白馬岩岳マウンテンリゾート』。2023年から2024年の1年間で、36万9千人の集客を実現したと言う。

冬場だけの客数を見るとほとんど増えてはいない。春から秋のグリーンシーズンに22万2千人もの客を集めた。山の魅力を最大限に引き出す戦略があったのだ。2016年から取り組んだ事業だが、集客数を9倍に伸ばしたという。

*絶景を楽しむ仕掛け!
本格的に取り組みはじめたのは2017年から。山の斜面に、マウンテンバイクやカートでくだるレーンを整備。このアトラクションから次々にアイデアが生まれていった。2018年に始めたのが『展望テラス』。雪が少ないデメリットを逆手にとり、緑の景色を堪能する仕掛けをつくった。これがSNSでバズる。

2019年には『ウッドデッキ』と『アスレチック』。2020年には大型ブランコ『ヤッホー!スイング』。これらは今までにどこにもないアトラクションとして人気になったようだ。最近では透明度の高い湖畔に、サウナもつくったと言う。次々にできるアトラクションで旅行客を楽しませている。

*仕掛け人は、元官僚?
1976年東京生まれの東京育ち、和田寛(わだゆたか)がその人。東京大学法学部卒業後、農林水産省のキャリア官僚として8年間働いたと言う。その後、コンサルティング会社に入り、不動産・金融・流通などいくつもの企業の仕事に携わった。しかし仕事には満足できずにいたようだ。

たまたま白馬において求人があり、そこに応募して入ったという。ここからリゾート立直し事業にのめり込んでいく。人集め、金集めなど、コンサルで身に付けたスキルで仕事を進めていったようだ。基本としてあるのが、「白馬」そのものに魅力があったということ。だからこそ、それを掘り起こしたりすれば、集客はできると考えたと思われる。

*まとめ
共同代表となってる会社の名称は『ズクトチエ』。なにやら外国語とも思われるが、違うようだ。長野県の方言で「ズク」とは、「努力」や「根性」のことを言う。つまり「たゆまの努力と知恵」を出して仕事に当たることを表している。頭を使い次々にアイディアを出し、それを淡々と実行していくということだろう。

和田はこの他に、(株)岩岳リゾートの代表取締役社長と、(株)スノーピーク白馬の取締役でもある。家族を東京に残し、白馬に家を建てて1人暮らしているという。今後はさらに新たな仕掛けを作ってくれると思う。なにせ、最大のライバルは「東京ディズニーランド」と「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」だからだ。

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