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自己啓発本『道をひらく』(1968年出版)、松下幸之助!
#自己啓発 #松下幸之助
#道をひらく
この本は、総合大手家電メーカー「パナソニック」の創業者である松下幸之助が長年にわたり、自社出版の月刊誌「PHP」で綴ったものを編集したもの。ポイントとなるのは「PHP」の意味だ。「Peace and Happiness through Prosperity」つまり「経済的な成功による平和と幸福」と解釈できる。この本では「いかにして生活を豊かにするか?」と「幸福を得るにはどうする?」、それを中心にまとめられている。
*売上げ、歴代第9位510万部
自己啓発本では、デール・カーネギーがナンバーワン。『思考は習慣化する』、『人を動かす』、『道は開ける』、世界販売累計で1億部も売り上げた。第二位が『7つの習慣』4000万部と言われている。この『道をひらく』510万部だが日本人を対象としたものだった。そこからみると日本人の多くが読んだと思われる。
PHPそのものが、パナソニックの会社であるから、関係者の多くが読んだことに間違いない。だが、510万部となると話が違ってくる。松下幸之助は「経営の神様」と言われた男。人々はそこに注目し、彼の言葉に耳を傾けたのではないか。文章そのものが500文字程度で、平易な文体で綴られているので、読みやすかったはず。今回この本を、他の自己啓発本と比較して読み解こうと考えた。
*運をたぐりよせる「素直な心」
運は誰にでも同じように訪れると言われる。運の良い人は、それに気づき、自分のものにすることができる人だ。幸之助は「素直な心」にヒントがあるとした。物事をあるがままに受け入れ、視野を広げる。これがポイントだと言う。だが、ほとんどの人は、これがなかなかできない。
コヴィー『7つの習慣』、その第五の習慣で「傾聴を心がけよ!」とした。人の話を聞いてそれをとり入れるのだ。また自分が他人に理解されたければ、まず相手の理解に徹しよ!としている。養老先生の『バカの壁』でも、自分の考えに固まらず、「壁をつくるな!」とした。カーネギーの言葉にも、「非難は愚者でもできるが、理解は賢者にしかできない」そう述べている。
*成功の鍵、「志」を立てる!
「最後はこうなりたい」や「成功したら、このようになる!」、これをまず意識しろという。やり続けるという「志」だ。「金持ちになる」ではなく、「〇〇をやり続けることで〇〇を得る」という志。結果というものは行動が伴い導き出せるものだ。日々の行動こそが「志」と言えるはず。
カーネギーの言葉に「自分のしていることに楽しみを見いだすことができなければ、めったにする成功する事は無い」とし、さらに「自分のやっていることを面白がれ!」ともしている。コヴィー『7つの習慣』では、第二の習慣で「終わりを思い描くことから始めろ!」とした。ポイントは楽しむこと、面白く感じること、これができれば長く続けることができ、より成功に近づく。
*深い学びをえる「体験」!
より広範な知識を得ようとして、人は本を読んだり、講演会に行ったりする。だが、それはあくまでも机上の知識である。確かにそれも役立つことは多い。だがその知識、時間とともに薄れていく。自分が実際に経験した知恵は、生涯にわたり自分のものとなる。
養老先生『バカの壁』でも「自分のカラダをつかい身につけろ!」としている。自分の周りに壁をつくるのは「頭でっかち」になっているからだ。ニュースやSNSで得た情報、これらは本当の情報かはわからない。これを頼りにしたのでは到底成功には結びつかない。自分で体得したものを「拠り所」にするべきだ。
*ともに、よりよく生きる!
松下幸之助は、自身の体験から次のように語っている。「自分が人に与えたものは、必ず自分のもとに帰ってくる」と…。これは戦争を経験したことでわかったと思える。いくら自分が豊かになったからといって、社会がおかしくなれば、それは「砂上の楼閣」であり、すぐに崩れてしまう。
『7つの習慣』でも、その4の習慣で「win-winを考えよ!」とした。相手の得があり、自分の利益があるのだ。人生は競争ではなく、協力の場だということ。広くとらえれば国家と国家の関係も同じである。これなら争いにはならない。繁栄とは平和のうえに築かれる。
*まとめ
松下幸之助は、パナソニック自社製品を全国に届けるため、各地にパナショップ加盟店制度をつくり募集した。ここで加盟できたのは夫婦で仲良く商売やっていた人たち。これをポイントに置いたという。夫と妻も「win winの関係」なら大丈夫と言うわけだ。これは幸之助自身の体験によるものと思われる。自分が妻にそうとう助けられ事業に成功したのだ。
この教えを採り入れている企業がある。それはワークマン。いま絶好調の会社だが、販売はフランチャイズの仕組みで成り立っている。加盟すれば年収は1千万円になると言う。応募はひっきりなしのようだ。ここで採用されるのは「仲の良い夫婦」とされる。店舗のキリモリには、これが欠かせない。幸之助が実体験でえたものが現代にも通じていると言えるのではないだろうか。