2023年邦楽ベスト10枚
note書いてみようと思って何にしようかなと考えたんですけど2023年の良いなーと思った邦楽アルバムの紹介と軽く感想を今頃書きます。
ランキングとかじゃないので順番は気にしないでください。
音楽的なこと分からないんで変なこと書いてたら
変なこと書いてんなーと思ってください。
あと各アルバムの名前のとこに曲のリンク貼ってるので聴いてみてください。(お使いのサービスのリンクがないのもあるんでそれはすいません)
1.カネコアヤノ「タオルケットは穏やかな」
1枚目はカネコアヤノ。
彼女が作る音楽はとても好きなんですが今作で明らかにジャンルが変わったなと感じました。
これまではフォークロックとかだったと思うんですけど今作では全体的にオルタナというか。演奏もこれまで以上にハードでした。
それに加えて今まで手を出してきてなかった方面に音楽性が広がっていて面白かったです。特に最後の曲「もしも」には坂本慎太郎の影響を強く感じました。あのアルバムの締めをあの曲にしたのが凄い。
音楽性の変化は先代ドラムのBobに代わって新たに坂下光と照沼光星を迎えたことが分かりやすい要因だとは思うんですけど、それと別に前作「よすが」から今作までにカネコアヤノが心身共に強くなったような気がしていてこれも今作が今までと違うと思わせる要素じゃないかなーと感じてます。
アー写、めっちゃ尖ってていいですよね。
オススメの1曲
「わたしたちへ」と迷ったんですけどこちらの表題曲「タオルケットは穏やかな」で。
今を生きてる私たちに向けられた賛美歌という印象でした。
2.GEZAN 「あのち」
2枚目はGEZAN。
曲がシームレスに繋がっていくコンセプチュアルなアルバムです。
多分テーマは境界線をなくすことだと思いました。
曲の繋ぎ目や、言葉であったり、争いごとだったり、生死さえも。
音楽としてとてつもなく優れているのは勿論なんですけど言葉のメッセージ性が凄く強かったです。
特に「もう俺らは我慢できない」ではコロナ禍から続く鬱憤を爆発させるような印象がありコロナによって思い描いていたような大学生活を過ごせず最も自由な時期に自由を奪われた私には強く刺さりました。
コロナだけではなく戦争などに対してもここまで怒りをハッキリと言葉にしてくれるアーティストは今なかなかいないんじゃないでしょうか。
アルバムを通しては、私たちが生きている間に経験する強烈なものから些細なものまでその全てに対してお前は自分に正直に生きるべきだと言われたような気がしました。
喜びなどの正の感情だけでなく悲しみ、怒りなどの負の感情(もちろん正負だけには収まらない曖昧なもの)も大事にして生きる。
日常の1コマに目を配り、そこに現れる自分の感情の名前に正直に気付けるようになった時にはそこに生きているという実感が生まれるのかなと考えたりしました。分からないフリはダメだ。
正直このアルバムを聴いて感想を書くのは今の私には難しいんですけど聴いてるときに流した涙や興奮なども忘れてはいけない感情のような気がして無理矢理言葉にして残しました。こういう今はまだ何と表せば正しいか分からない感情を人に分かるように伝えらるようになりたいですね。
オススメの1曲
自分という人間がここに存在することに意味をくれる曲。
ただ闇雲に肯定するのではなく、納得できていない者を拾い上げてくれる。
複雑から正直になっていく心情と幻想的な情景描写をしながらマヒトの綴る願いが心に響き渡るエモーショナルな1曲。
3.君島大空「no public sounds」
3枚目は君島大空。
彼は23年に2枚のアルバム「映帶する煙」と「no public sounds」を出しています。
1月に出された彼の1st「映帶する煙」。
こちらは長い制作期間を設けて緻密に作り込まれた間違いない名盤です。こちらもぜひ聴いて頂きたいです。
そして今回ベストに選んだのが9月に出された2nd「no public sounds」です。こちらは1stに比べて明らかに制作期間を短くしており一瞬の高熱の中で作り上げられた作品です。
「no public sounds」という言葉がSoundCloudの消されてしまった曲を検索した際に出てくる言葉で居なくなってしまったものを取り戻そうじゃないですけど「それはここに居たんだよ」って教えてくれるアルバムかなと思います。
先日このアルバムに収録されている「嵐」のライブ映像を観たのですがこれを生で再現できている君島大空とバンドの技術の高さに驚きました。
何を持って演奏が上手いとかの音楽技術的な部分を私はよく分からないのですがそれでも凄いと思えるレベルでした。多分ものすごいと思います。
オススメの1曲
全曲良すぎるんですけど選ぶならこれかな。
どう足掻いてももう逢えない人を思い続ける曲という印象でした。
遠い記憶を風が優しく、でも奥まで響くようにノックするような1曲です。
MVも美しいので是非。
4.Summer Eye「大吉」
4枚目はSummer Eye。
シャムキャッツの夏目さんによるソロアルバムです。
小気味のよいリズムやシンセの音が耳の奥まで染み渡る踊れる曲が多い1枚です。
ジャンル分けは難しいです。ハウスとかテクノっぽさもあって基本踊れる曲ってイメージなんですけどバンドの音にまとめられてる印象もあるので。
「ねぇねぇちゃんと聞いて 私は真剣なのに なんで笑ってるの?」
この人の歌詞は可愛いんですけど的を得ているから耳に残るし心にも響くんだろうなと思います。
陽気っぽく聴こえる音や歌詞は哀愁みたいなものが混ざっていて、結構な悲しみを経験してる人の明るさが出ている気がします。
それが他の曲と一線を画しているのかなと。
Summer Eyeの曲はただのチルな曲ではない。
オススメの1曲
大吉を引いたときのように「あっ、何かいい事ありそう」と思える曲であり、自分だけじゃなくみんなも幸せになってくれよなという気分にもなる1曲。「なってくれ!」じゃなくて「なればいいね〜」みたいな。でも本気で願ってる。
そして最後の
「そんなことより あのコえっちだったナー」
みんなに幸あれ状態からこの歌詞で締めるのがなんともたまらないところ。
5.ひとひら「つくる」
5枚目はひとひら。
こちらもシームレスに曲が繋がるアルバムです。
歌唱の部分は少ないのですがその分そこにある言葉は秀逸でギターの轟音も楽しめるし、収録時間が34分と短いので繰り返し聴いてしまうシューゲイズアルバムです。
アルペジオに拘った曲が多い印象ですね。
タイトル通り人を「つくる」アルバムだと思っていて何も無いところから感情や体験で形を作って装飾を施してくような。でも作り上げていくうちに内側に入ってしまった大事なものを取り出そうとするような感じもします。
要は「つくってこわして」を繰り返しながら人は自分をつくって生きていくという印象を受けました。
印象的なアルペジオは「つくってこわして」を繰り返すことを表現してたりするのかな。
アー写も好きです。人間を作り上げていく過程を上手く表したアー写だと思います。
はやく生でひとひらを観てみたいですね...。
オススメの1曲
アルペジオや間奏のベースソロからの轟音のギターなどあらゆる面で1番好きな曲でした。
「赤色の向こう 匂いが消える また明日には笑えていれば良いよね」
好きな歌詞です。
このアルバムの中では最も悲しみや虚しさが現われている気がします。
6.くるり「感覚は道標」
6枚目はくるり。
くるりは何度かライブにも行かせて貰ってるんですが人気どころを数曲知っているだけでアルバムを通して1作聴いたことがなかったのでその完成度に驚きました。
この歳になってこのカッコ良さのアルバムを作れるの凄いですね。
個人としてはこのアルバムは良い意味で聴くときの心構えをしっかり整えなくていいというか激しい熱量が続く感じではないのでどんな心情のときでも心の横に黙って座ってくれているような安心感があります。
歳をとっていっても聴けるアルバムはこういう人たちの作るアルバムかなと思います。
というかこれは歳をとってからの方が沁みるアルバムなのかも。
オススメの1曲
「感覚は道標」の中のキラーチューンとなってる1曲です。
懐かしさと哀愁の中に青春の眩しさを感じます。
この眩しさをおじさん3人から感じられるのヤバいです。
7.Mr.Children「miss you」
7枚目はMr.Children。
こちらはミスチルには珍しくアルバム内にシングルカットが1曲もないアルバムです。
このアルバムを選んだ理由はミスチルが自分たちの「老い」と向き合っていた作品だと思ったからです。
23年は先程紹介した「くるり」や同時期を駆け抜けた「スピッツ」も新アルバムを出しておりどちらも「老い」を感じさせない素晴らしいアルバムでした。
しかしミスチルは自分たちの「老い」と正面から向き合い誰かのための音楽ではなく自分とはなんなのか、何のために生きているのかを自問自答するような哲学に近い印象を受けました。
孤独や虚無感を誰かに向かって叫んでる。それは誰か分からないし、もしかしたら自分に言い聞かせてるのかもしれないけれどそれよりは誰でもいいから気づいてくれと言っているような救いようのない情けなさを表してるように思えたりもします。
時代に取り残されたスターの「もがき」と捉えることも出来るんですけど
スターの肩書きを外した1人の人間が全員に届く言葉ではなく今の自分が伝えられる範囲にいる人に届く言葉が、姿勢が、その正直さがとても良かったです。
オススメの1曲
「真っ直ぐな想いだって 捻じ曲がって伝わっていった」
これは桜井さんが実際に経験したことなんでしょう。スターとして歩いてきた人の疲れとか安らぎを求める心が見える気がします。
こういう題材の曲でパーカッションの音が結構聞こえるの面白いなと思いました。
8.Mega Shinnosuke「ロックはか"わ"い"い"」
8枚目はMega Shinnosuke。
彼は自分の好きな音楽を曲に落とし込むのが上手なんだろうと思います。
そんな彼の3rdアルバムは、ロックを軸にHIP-HOP、ボカロ、シティポップなどなど。かなり1曲に色々混ぜこまれて作られてるなーって感じです。
音楽の要素は詰め込まれてるんですけど曲には隙間が多いところも面白いなと思います。
彼が作る曲ってめちゃPOPなんですけど歌詞は結構暗いのが良いんですよね。
彼自身も自分は明るい人間に見える暗い人間だと言っていたのでそういうとこが歌詞に出てるんだなと思います。
↓好きなMVです↓
今作ではアルバムにRemix版が収録されてますがシングルカットされた「一生このまま」は銀杏BOYZをリスペクトした1曲となっており
そちらも大変オススメです。
オススメの1曲
「酒を飲んでも神には成れない」という歌詞とっても好きです。
アルバムの中で1番好きなんですけどなんで好きなんだろう。
明確な理由が分からないんですけど、でもとにかくこの曲は好きだったんです。
たまにこういう曲ありますよね。
9.家主「石のような自由」
9枚目は家主。
今、日本で1番気持ちの良いロックをやっているバンドだと思っている家主の3rdアルバムです。
もうさすがというべき曲たちが並んでいるんですけど1st、2ndと比べると音自体が凄く綺麗になった気がしました。澄んだ音と言いますか、ノイズとかが少なくなったのかな。
今作ではひとりでいる人に目を向けて作られた曲が特に田中ヤコブ(Gt.Vo.)作詞の曲に多かった印象ですね。自分に自信が持てないだとか何かにずっと耐えて生きている人の心に支えて、それを肯定してくれるアルバムだと思います。
ジャケットになっている他人や将来など何にも縛られずそこにある石からはただそこにいることの価値を感じました。
こんな良いアルバムを出した家主はこれからどこまでいってしまうのだろう
オススメの1曲
この曲、ひいてはアルバムを締める「クズばかりが報われる世の中でも僕は君を信じてるよ!今日はひとりでいようね」という歌詞の優しさと祈りに胸がいっぱいになりました。
10.cero「e o」
10枚目はceroです。
追える範囲で23年のアルバムを聴いたなかでもこの盤は外せないかな。
と言っても私は今作が出るまでceroを聴いていなかったのであまり語ることが出来ないのですが。
私がコロナ禍を経て良いなと思うアルバムは見通しが立たなかった世界への不安や燻り、それでも進む世界を生きる人間たちへの肯定、無くなってしまったものへの証明などを表したものが多かった印象なのですがceroだけ視点が違って彼らが音像で作った中には人が居なかったのが面白いと思いました。(完全に感覚なので的外れだったらすみません)
傍観者的な立ち位置で都市を描いているのに描かれたのは人がいない都市風景だけという妙な静けさを孕んだ空間が好奇心を引き立てたように感じます。
このアルバムはいつも生活の傍にいるのにそこに居ない。視点が存在する次元が違うものだと感じました。箱の中に街があってその箱を外から見てるのが「e o」ってイメージです。
都市によく似合うアルバムだと思います。
オススメの1曲
「リンクのきれた言葉たち」という言葉が印象に残ります。
ライブでの再現度と世界観も素晴らしいです。
ちなみに「Tableaux」はフランス語で「絵画」という意味らしいです。
言葉にするのが難しいあまりにも幻想的な空間すぎる。
もっと紹介したい作品はあるけれど最初はこんなもので。
23年はコロナ禍で気付かぬうちに失ってしまった落し物を拾って返してくれるような作品を23年のベストに多く選んだ印象があります。
気付かせてくれてありがとう。
あと何人か言ってる方を見かけましたが
23年は世界的に見ても白黒とかモノクロのジャケットがめっちゃ多かったですよね。
そんな気がするだけなのか、似たような意識があったのか。
なんだったんですかねあれは。
自分でも何を書いてるんだろうと思うnoteでした。
まだまだ私がこの感情を忘れないためのメモ書きのような文章なのでこれから頑張ります。
あとこういうの書くならもっと早く出します。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
気になった曲があればぜひ聴いてみてください。
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