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絵本探求講座 第2期、第2回講座を終えて

秋の深まりを感じる今日この頃です。
10月9日(日)の絵本探求講座 第2期(ミッキー絵本ゼミ)第2回講座の振り返りをします。この日は、欠席した為、録画で振り返りました。

昔話の検討のポイント

⑴    昔話は残酷か

『昔話と昔話絵本の世界』
藤本朝巳 著 
日本エディタースクール
2005年9月

「登場者の中に自分と同じような醜さや嫌な面を見つけ出し、そこから人間の本質的な在り方を考え直す(中略)楽しく聞き、また心底恐ろしい思いで聞き、そこから人格が形成されていく(中略)人間の生きる自然の厳しさを正しく伝える意味で、また文学的な語りの法則に照らし、さらに心理学的な解釈を参考に考えた時、意味があり、子どもにとって必要な要素であり、書き換えたり、消してしまってはならない。

『昔話と昔話絵本の世界』藤本朝巳著より

※子どもの文学に必要なこと…救いがどこかにあること。光をもっておくこと。たとえば理不尽な親が登場するが、寄り添ってくれる大人の存在があるとか。

⑵    昔話の絵はどこまで描くべきか

『昔話絵本を考える』
松岡 享子 著
日本エディタースクール
2002年11月

「耳で聴くお話と絵本の違い
・視点の違い:聞き手は、物語を、大体において、主人公自身の目に映るように見ていくのに対し、絵本は、画家の目に映じたように物語を見る。
・視覚以外のイメージの後退:絵が前面に出てきてしまって、音や温度、手触りといった他の感覚に訴える事柄が話の中に出てきてもそれを自分でイメージにすることができなくなってしまった。
・時間的な物語、平面的な絵:お話は、刻々と動いていくものであるのに対し、絵は、どこか1点で止まっているもの。
どのようにすぐれた昔話絵本が作られようとも、絵抜きで、ことばだけで、子どもたちに昔話を語って聞かせることの大切さを、忘れてはならない。

『昔話絵本を考える』松岡享子著より

⑶    昔話絵本における絵と言葉の関係は

『昔話入門』
小澤俊夫 著
ぎょうせい
1997年10月1日

絵本の絵と文章は互いを拘束する力があります。(中略)子どもにとって絵本とは楽しみです。(中略)絵本は誰か(大人)に読んでもらって耳で聞きながら、読み手はもっぱら絵を見ていくという読み方(見方)が最もよく理解できる楽しい読み方です。そして昔話絵本は、語り(筋)を聞きながら、絵がそれを説明(見せる)することが大切です。

『昔話入門』小澤俊夫著より

・発端句・結句は、絶対条件ではない。
・『みるなのくら』…赤羽末吉さんの絵に迫力がある。小澤俊夫さん(昔話の第一人者)でさえ、文章を削っている。

⑷    昔話の聖数、昔話に出てくることの多い数字とは

「昔話は3という数字をたいへん好みます。(中略)「くり返し」は3回くり返されます。昔話として好まれる数としては、まず3が一位で、その次に多いのは、7・9・12というところでしょう。(中略)リュティは3とか7とかという一定の数が支配的であることは、昔話に固定性をあたえている、といっています。」

『昔話入門』小澤俊夫著より

⑸    昔話にはなぜ3度の繰り返しが多いのか
人間は1回でできるものでははい。
1回、2回と繰り返しがあり、揺れ戻しの中で、3度目で乗り越えていく。

⑹   昔話の主人公に末っ子が多いのはなぜか
私たちは生まれた時は全員末っ子だった。常に弱い存在だった。
全員が共感できるもの。民衆の願いが入っている。

まとめ

人々の口から口へと伝わってきた昔話の様々な法則を学ぶことにより、昔話の奥深さや面白さを知ることができました。祖先の生きる知恵が込められているので、なるべく形を壊さないで伝えていくことが大切だと感じました。

「科学絵本」とは?

『ベーシック絵本入門』P104~科学絵本・写真絵本(文:竹内美紀先生)より

『ベーシック絵本入門』
生田 美秋 著, 藤本 朝巳 著 , 石井 光恵 著
ミネルヴァ書房
2013年5月8日
  • 図鑑とは…

「図」は系図。「Whatこれ何?」に答える。『絵本図鑑シリーズ』(福音館書店)
「鑑」とよく見る、一つのものを詳しく見る。「Whyどうして、なぜ?」に答える。『科学のアルバム』シリーズ(あかね書房)

  • 科学絵本は…

物語が組み込まれている
子どもにわかりやすい絵
感動をめざす

「科学絵本の目的は大きく、子どもが本来持つ好奇心をくすぐり、もっと知りたい、自分でも調べてみたいという自主的な科学の心を育てることにある。すぐれた科学絵本の背景には、作者の専門知識に加えて、現実に対する厳しい目、優れた絵本構成力、そして子どもに対する温かいまなざしがある。(中略)単に知識を提供するのではなく、子どもに向けて語りかける物語でなくてはならない。

『ベーシック絵本入門』P107科学絵本・写真絵本(文:竹内美紀先生)より

『りんごだんだん』を読んで(考察)

『りんごだんだん』
小川 忠博
 作・写真
あすなろ書房
2020年02月14日

・新鮮なりんごをお皿に乗せておくと、どのように変わっていくか…、変わりいくりんごの姿を辿る346日の写真絵本です。
定点観測でりんごの命を表現していて、写真という表現の特性が生かされています。
・子どもが自然や身近なものを観察する際の着眼点を提示してくれる観察絵本です。
・どのページも見開きの右にりんごの写真、左にりんごの状態を表した短い言葉と経過した日にちが書かれており、とてもわかりやすいです。
図鑑とは違い、読者を引き付ける仕掛けがあります。
りんごの変化の様子を、言葉が端的に表現しています。「りんご つるつる」…「りんご しわしわ」…「りんご しなしな」…「りんご ぼろぼろ」…「りんご とうとう」…。
・文字も大小変化を付け、タイポグラフィが使われています。
・これまで、りんごの箱の中や冷蔵庫の奥に気づかないままで、しわしわの状態で見つけてしまった経験はあります。でもそれ以降は未知の領域怖いもの見たさでページをめくりたくなります。(ページ・ターナーの働き)
シンプルな構成ですが、りんごの変化に驚きがあります。
・表紙いっぱいの、真っ赤でみずみずしいりんごの写真に引き寄せられます。見るからにいい香りがしてきそうな表紙です。表紙をめくると真っ赤な見返しには、シンプルなりんごの絵が並んでいます。小さな子どもにとっても、身近な食材であり、好奇心をくすぐり、次のページをめくりたくなります。
・裏表紙は、軸を残して土だけになっています。命の営みをリアルに切り取っていて、衝撃的な展開に物語を感じます。

まとめ

“科学”と聞くと難しそうで、遠い世界のような感じがしますが、日常の身近なところにあり、科学の範囲は広くて懐が深いと感じました。生き物のこと、宇宙や星、天気、数や図形のこと、歴史や文化もその中に入ることがわかりました。
図書館で科学絵本を探す作業が、とてもおもしろかったです。ただ知識を得るだけでなくその中に感動があり、好奇心、探求心が刺激される。知る楽しさが増す絵本がたくさんあることがわかりました。子どもが対象の絵本ですが、大人も一緒に楽しめます。なぜ?の心を中途半端にせず、科学絵本で楽しみながら学べば、世界が広がると思いました。

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