「いっしょだよ」
GWもいよいよ終盤の週末です。
5月3日(火)”Sapporoえほんの森”企画、「写真・絵本作家小寺卓矢さんの魅力溢れる写真絵本のお話会」にオンラインで参加しました。
5周年を迎えられた札幌の「俊カフェ」から、めめさんの司会によりスタート。3冊の絵本を読んでいただき、制作秘話をお聞きすることができました。
オンライン会場に作者の升井純子さん、アリス館編集担当の山口さんが参加されていました。いい桜があって順調にいっていたけれど、クライマックスでほとんど咲かなかったそうです。病気だったようです。そこから桜探しに7年。10冊くらいは出せる写真を撮られていたことに驚きました。
升井さんは、「途中で心が折れたけれど、小寺さん、山口さんに支えられ一人ではできなかった」と。
山口さんは「読者にこういうことを届けたい、1本芯が通っている升井さんの思いがあった。根っこのあるものは必ず良くなる。小寺さんは悩みつつも写真の選択はほぼ決まっていた」と。
お話からお三方の深い信頼関係を感じ、何をするにも根っこは大切と思いました。
豊かな森を撮る時、何を被写体にするか?目線をどこに持っていくか?小寺さんは、森の一番底辺、林床を大切にされています。下ばかり見て、うつむいた写真家と自らおっしゃってました。「倒木更新を子供たちに伝えられるような絵本を作りたい」という小寺さんの思いを、面白いと思われたのが山口さん。「死んだ存在がいかに大切か、足の裏で感じる。死んだものが生きるものを支えている」小寺さんのこの言葉、胸に迫りました。「いっしょだよ」の中には、東日本大震災にあわれた方達のこと、イラク戦争で白血病を発症したアッバース君のこと、写真家・星野道夫さんのことも入っていることを知り、「いっしょだよ」の言葉の深さを感じました。「目に見えるもの、見えないもの…」亡き夫のことが浮かびました。「いっしょ」という言葉が何度も出てきて、絵本を閉じた後も余韻が残りました。
形、大きさ、長さ、色、様々なはっぱ。「はっぱもいろいろあるけれど、ひとくくりにするものではない」と小寺さんはおしゃいます。はっぱの役目は、光合成をして実を結ぶこと。はっぱは役目を終えると大地にもどって、次のいのちを養う側にまわっていきます。見返しは、青森県白神山地のブナの森の落葉でびっしり敷き詰められた写真です。多様ないのちを感じられる写真絵本です。写真に惹かれながら、はっぱからの気づきはたくさんあります。
豊かな森を歩いたような印象のお話会でした。