絵本探求講座 第2期、第3回講座を終えて
2022年11月13日(日)絵本探求講座 第2期(ミッキー絵本ゼミ)第3回講座の振り返りをします。
「ファンタジー絵本」を考える
ファンタジーのタイプ
訪問型…現実世界の人が非現実世界へ行き不思議な体験をする
来訪型…非現実世界の住人が現実世界へやってくる
ハイファンタジー…非現実世界を描いたもの
ファンタジー絵本のしくみ
ごっこ遊び
擬人化
ファンタジーの時間
ファンタジーの絵本表現方法
絵本の左右の見開きの使い分け
色の使い分け
枠
コマ割り
参照
『ベーシック絵本入門』「ファンタジー絵本」pp81~84、竹内美紀著
『怪物園』を読んで(考察)
タイプは、来訪型と訪問型のミックス(非現実世界の怪物達が現実世界へやってくる。外で遊べなくなり、退屈した子ども達は、非現実世界へ出かける)
子ども達は、段ボール箱をバスにして、ごっこ遊びが入り口となり、空想の旅に出かけます。バスは、気球になり、船になり、潜水艇に変わっていきます。
場面が地球のいろいろなところへ連れて行ってくれます。地上から空へ、海底へ…。現実には不可能なことが許されます。
子ども達が元気なのに外に出られない状況は、怪物達がコロナを連想させると思いました。
2つの異なる時間の流れを絵の細部で対照的に描き分けられています。空想の世界にいても、お母さんの「おーふーろー」の声でお風呂に入ります。お風呂場でも空想を続けます。
おどろおどろしい怪物達が出てくるページは暗く、子ども達の夢のある空想のページは明るく、色の使い分けがされています。
表紙は、ぞろぞろと怪物達が歩いている絵です。インパクトがあり、これからどうなるんだろうと不思議な世界へ引き込まれます。
見返しは全部黒ですが、目を凝らして見ると暗闇の中を怪獣達が行進しています。一層想像が膨らみ、読者はファンタジーの世界へ誘導されていきます。
緻密に描かれた絵は、何度読んでも新しい発見があり、空想の楽しさを伝えてくれます。
子ども達が、怪物達を怪物園へ送り届けた次のページは、パジャマに着替えて、暖かいベッドでぐっすり寝ている絵です。現実とファンタジーの世界を行き来した後、安堵の気持ちで絵本を閉じることが出来ました。
まとめ
ファンタジーは、子どもだけのものではないと思いました。新しい時代、誰も見たことのない異世界に登場人物とともに飛び込み、未知なる冒険ができるのが魅力。ドキドキやワクワクが味わえる、不思議な魔力を持っています。一緒に冒険しているかのような体験を楽しめ、普段忘れがちな隠れたリアリティを新鮮な視点から見つめる心を目覚めさせてくれます。また、ファンタジーの世界をリアルに表現するために、それぞれの作家が、独自の技法を凝らしています。それを読み解くのも楽しいと感じました。