season3 9話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
9.『闇夜に響けライミング』
そうこうしている内に夕方になったので受付へ。
「お疲れ様ですヨーコさん! こちらまで歓声が聞こえてましたよ! オープニングアウトは大成功でしたね!」
受付さんにっこり。
「ジムテスト合格です! おめでとうございます!」
「ありがとうございます!」
「ヨーコさんには、当ジムリーダーと勝負する資格が与えられます。
ソウルフルビート……、ジムリーダー、ライムに挑みますか?」
「はい」
「それでは、バトルコートにご案内いたします」
ということでスタッフさんと一緒に外に出る。
すると、
「♪ YO、YO……! ♪」
リズミカルな話し声が。
「あ、始まってますね」
スタッフさん、さっさかご案内。ステージに一人の青年が上がってきながら、
「今日こそ負かすぜラップバトルで♪
YO 友! 倒すぜイッツあお向け♪
オレのラップ聞けよジムリーダー♪
オレはトップ店のバイトリーダー♪」
ズンズンチャッチャカ……、ズンズンチャッチャカ……。
ライム対抗!
「バイトじゃリーダー?♪ RHYMEじゃビギナー♪ 敗者は帰りな去っときな♪
アタイはライム♪ 優しさ皆無♪ じゃないかライクザ・ダイナマイツ♪」
(おお……!)
初めてのラップに感動するヨーコ。
「ワックでワナビなアンタには♪ ラップで学びなナンマイダ♪ HEY!」
ズンズンチャッチャカ……、ズンズンチャッチャカ……。
「ご武運を」
こっそり耳打ちして去る受付さん。
「どうも」
ステージに向き直るヨーコ。
「完敗、惨敗、両成敗 次こそリベンジ午後3時ー!」
去っていく青年。
音楽鳴り終わり、
「待ちな! まだノッてきなよ!」
白目向いて怒るライム。
「ハッ……、なんだい午後3時って! 自由なバイブスキメやがってさ!」
くるりと後ろ向き、
「あきらめはやめで悲しいね! 骨ある相手はいないかね! メーン!」
ヨーコ、意を決してステージへ!
客席から小さな歓声。
「……ん?」
ライム、振り向く。
「お次の相手は前座のアンタ? ジムとラップ、バトルはどっち?」
「ジムバトルです!」
手を挙げて元気よく答えるヨーコ。
「ラップなわきゃない違いないってね! HAHAHA!」
「なんだか、不思議なお話の仕方ですねえ」
ヨーコ、思わず質問。素直に答えてくれるライム。
「こいつはラップ! 音の響きが同じ言葉を繰り返しつむぐ魂の歌さ」
ライム、マイクを手に、
「ヤミラミ旅立ちたちまちかみなり♪
そんな毎日だいたいありがち♪
……ってな感じさ! 伝わったかい?」
「はい! なるほどです!」
「ま、アンタはポケモントレーナー! 昂るハートは勝負で出しな! アタイも本業はラッパーだけど、ゴーストポケモン使わせたら右に出る者はちょっといないよ」
気を引き締めるヨーコ。
「アタイはライム! a.k.a ソウルフルビート! 語りなバイブス! 霊・生命! 勝負するフィールド!!」
ノリノリでマイクを構え、ミミッキュとジュベッタを繰り出すライム!
「ダブルバトルはライム'sスタイル、かわるがわるでワンダフル!」
ヨーコはポンさん&ゴンさん! 客席から歓声が上がる。
「ライムも学生さんも! アゲアゲな勝負期待してるぜー!」
ポンさん、さっそくツタこんぼうをジュベッタにしかける! しかし仕留めきれず。
ミミッキュ、ポンさんを切り裂く、ジュベッタ、たたみかけて凍えるかぜ。ポンさん、効果抜群だが持ちこたえる。寒さですばやさを下げられる代わりに、特性まけんきで攻撃ぐーんと上がるポンさん。タイム先生の能力上昇計算の授業がよぎるヨーコ。
ゴンさん、ミミッキュにヘビーボンバー。しかし特性ばけのかわであまりダメージならず。
「効果バツグン超タイトだぜ! ライム! ライム! ライム!」
ライムコールでミミッキュたちの命中率が上がる。寒いのに冷や汗をかくヨーコ。
そうこうしている内に、ジュベッタふいうち。急所に当たって大ダメージのポンさん。
ミミッキュ、きりさくでゴンさんにダメージ。しかし無事。
「──今度こそお返しじゃ!」
ポンさん、ジュベッタにじごくづき! ゴンさん、ミミッキュにヘビーボンバー! 効果抜群でかたをつける! 客席大盛り上がり!
「すました顔して弱点ディグる! かなりSWAGじゃん!!」
それぞれ攻撃力と特攻上がる。でもポンさんふらふら。気遣うゴンさん。
「ありがとうふたりとも」
少し考えボールに戻し、久方ぶりに相棒ぴっかりさんがまんじゅうと共に登場!
「頼んだふたりとも!」
「ピカ!」「ドオー!」
ライム、ストリンダーとハカドック繰り出す!
「セットリストはいよいよラスト、ハウっていくよCLAP YOUR GHOST」
あちこちからハカドックが! いつの間にやらスピーカーの上でボチがノリノリ。
「アタイの歌は死者をも蘇らせる! DJ BOCHIもゴキゲンだね!」
「いつの間に!?」
と、ライム、ストリンダーをテラスタル!
「どんどろ轟け、ぴっかりさん!」
ヨーコもぴっかりさんをテラスタルするが、
「ゴーストテラスタル、サイコー! ライムマジ輝いてるよ!」
声援に圧されてしまう。パワーアップするストリンダー&ハカドック。攻撃できないままぴっかりさん&まんじゅうハイパーボイスをくらい、ゴーストダイブでたたみかけられぴっかりさん倒れる!
「ぴっかりさん!」
テラスタルが封じられたヨーコ!
「さすがのバイブスプチョヘンザ! ライム! ライム! ライム!」
命中率が上がる相手側。恐ろしさを感じると共にライムのすごさを実感するヨーコ。
「ゴンさん! またまた頼んだ!」
ゴンさん登場!
ハイパーボイスでくらうも持ちこたえるふたり!
「ライムの攻撃を持ちこたえてる! がんばれがんばれー!」
お陰ですばやさ上がる。と、ぴっかりさんよボールが動く。少し復活したらしい。
「速攻アンサー返しちゃえ! ライム! ライム! ライム!」
その間にも、ゴンさん、かみくだくでストリンダーをじわじわ削る。
「魂こめな、ストリンダー! そうすりゃお客はプチョヘンザ!」
ハイパーボイスをくらっても倒れないゴンさん! ついにかみくだくでとどめ! あとはハカドックだけ!
「ライムのポケモン撃破!?」
「うひょー! 興奮してきたよ!」
満を持してぴっかりさん登場! ボロボロながらに目には強い光。
「ピカピカ!」
「まさか瀕死から蘇るなんてね!」
ライムもびっくり。
「でもくらいなゴーストダイブ!」
「ぴっかりさん」
ぴっかりさん、うなずく。ハカドックの攻撃を受け、倒れる代わりにせいでんきでまひに。ぴっかりさん倒れる。かみくだくでゴンさんハカドックを捕まえる。
逃れようとするハカドックにパンチ! いっそう噛んでついに倒れるハカドック。ギリギリで勝利!
「はぁー……」
息をつくヨーコ。わっと大歓声! ライムサムズアップ。
「パンチラインは段違い! 負けてもアタイはSO FINE!」
またまた大歓声!!
「ゴンさん、ありがとう」
ボールに戻すと、ライムが誉めてくれた。
「HAHAHA! いいねぇ! アンタ達の魂ビンビン感じたよ!」
「いえ、相棒達をあんまし活躍させてやれんかったし。やっぱしまだまだです」
「いんや、アタイをうならせるとは充分気骨がある! ジムバッジ持っていきな!」
ジムバッジをくれる。
「アタイのライブ、特等席で聴ける権利もついでにどうだい?」
「ぜひ!」
回復させライブをみんなで聞く。ということでライブ終了後。
「ラップで興奮、いい気分だ! もひとつオマケにプレゼントだよ!」
シャドーボールのわざマシンをくれる。
「まだまだ聴かせたりないねぇ! 用事が終わったらまた来な! 今度はラップバトルでもいいさね!」
「ありがとうございます!」
「グッドな冒険、応援してるよ。バイバイ! ベイビー!」
手を振って見送ってくれて。
*
ジムで報告すると、
「やあやあ、ヨーコくん」
「ハッサク先生!」
ハッサクが来た。
「相棒達を鍛えるついでにこちらに立ち寄り、ジムリーダーとの勝負、陰ながら拝見しておりましたが……」
くわっ! となって、
「100点満点あっぱれ! ……でございます!!」
「え、あれで?」
「ええ! 先手でカビゴンを繰り出すやいなや! そこからせめぎあいの末怒涛の攻撃!」
拍手まじりに大興奮!
「ピンチに陥ったかと思えばそこからなお輝きを放つ、鍛え重ねられたポケモンの忍耐強さと技!」
うぼ泣きハッサク。ヨーコ、ポカーン。
「そのグラデーションが……!!」
ハッサク、はっ、と気がついて、
「ハッ……、申し訳ないです! 感情がだいばくはつしてしまいました」
軽く咳払い。
「コホン……、要するに腕を上げたようですね。あなたがバッジを全部そろえるのが待ち遠しいですよ。小生も四天王として楽しみに待っておりますのでね」
「ありがとうございます。ぴっかりさんとゴンさんのお陰で勝てたようなもんですけ、もっと頑張らんと」
「ええ。その調子で、勉学にも励むようにですよ」
「もちろんです!」
ハッサク去る。
*
お詫びとお礼にシャワーとサンドウィッチでねぎらうヨーコ。次はベイクタウン。
「ごめんね、ありがとう」
謝ると、みんな笑ってむしろ慰めてくれた。
*
一方すみのシーン。リップと色々話している(ヨーコのことを話している)。