season3 20話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
20.『決戦~マジボス~ 後編』
深夜。グラウンドには誰もいない。歩いていくと、後ろから呼ぶ声が。
「ヨーコ」
振り向くと、ぽつりとフードの人物、カシオペアが。見覚えのある姿。
「え……」
「……来てくれたか」
まさか……、と思いつつうなずくヨーコ。
「……ええ」
ゆっくりとフードを外すカシオペア。目を見開き、悟るヨーコ。
「──あんたは……」
ボタンだった。
「フッ……。驚愕しただろう」
不敵な笑みを浮かべているボタン、今はカシオペア。
「わたしこそがマジボス……、そしてカシオペアの正体だ」
黙って聞くヨーコ。
「学校前でしたっぱを倒したあなたの強さを見て、スターダスト大作戦を思いついたのだ。
わたしの力さえあれば、LPなど湯水のごとく増やせる。報酬があれば、何よりスター団と因縁ができたあなたなら乗ってくると思ってな。補給班としてずっと動向を見張っていたぞ」
「……報酬目的っていうのは、心外じゃね」
あえて言うヨーコ。しかしそれには答えず、
「あとはわたしをうち負かせば、スター団は完璧に終わる。……そのために動いてもらった」
カシオペア、身構え、
「だが、同時にスター団を終わらせたくない気持ちもある! やすやすと負けるわけにはいかない!
──最後の勝負……、準備はできているか?」
「……できとる」
うなずくヨーコ。
「……感謝する」
うなずくカシオペア。
と、駆けつけてくる足音。
「すまない、待たせたな」
ネルケだった。
「クラ……、ネルケさん」
「タイム先生の反省文が……、いや準備に手間取ってな」
「もしかして、その声はネルケか?」
カシオペアから聞かれ、ネルケ、
「ボタ……、やはり──。いや、あんたが……、カシオペアだったのか」
「ああ、そうだ。ネルケにも一仕事頼もうか。これから起こることを、動画で撮影してもらうぞ。勝敗を全団員に通達するからな」
「あ、ああ、わかった……」
ただならぬ雰囲気に汗をかきつつもうなずくネルケ。
バトルコートで向かい合うふたり。ネルケ、スマホを取り出し動画撮影開始。
「……あらためて名乗っておこうか。 ──わたしこそが、スター団マジボス、カシオペア………ではなく、──ボタン!」
ボタン、ボールを出す!
「マジボスの力の前に、頭を垂れてひれ伏すがいい!」
ヨーコ、構える。
「──受けて立ちます!」
勝負開始! 最初はブラッキー対ゴンさん!
「勝負するなら手は抜かない! それがスター団の掟!」
つぶらなひとみ&サイコキネシスくらうも、ゴンさんのしかかり。
幸いそこまでダメージにならなかったが、あくのはどうをくらいひるむゴンさん。
つぶらなひとみをはらだいこでかき消し攻撃を最大まで上げる。あくのはどうをかわし、一気にかたをつける!
2匹目、ブースター対まんじゅう。フレアドライブくらう。かなりダメージ。ブースターも傷つく。じしんでたたみかけ勝利。
3匹目、シャワーズ対まんじゅう。オーロラビームくらい倒れる。代わりにヒナじろう。つぶらなひとみで攻撃さげられるが、お構い無くルミナコリジョン。特防がくっと下げる。再びのルミナコリジョン。ハイドロポンプかわしてルミナコリジョンVSハイドロポンプとのぶつかり合い。相討ちになりかけるも最後まで立つヒナじろう。
4匹目、リーフィア。竈ポンさん。つぶらなひとみで攻撃力さげられそのスキにリーフブレード&でんこうせっか。しかし動きをとらえてツタこんぼうで効果抜群! またまたつぶらなひとみ&シザークロスを仕掛けられるが、ツタこんぼうで急所当てとどめ。
5匹目、サンダース対ポンさん続投。かみなりくらうも効果は今ひとつ。ツタこんぼう振り下ろす! ミサイルばりで牽制されまたまたかみなりおとされるも、必死に動いて鬼のこどくツタこんぼう! 勝利。
「申し分ない強さだな。ボスたちがやられるわけだ」
最後、ぴっかりさん対ニンフィア。
「どんどろ轟け、ぴっかりさん!」
「星々のようにテラスタル! なりたい自分に変身しろ!」
お互いテラスタル!
つぶらなひとみで攻撃さげられる。アイアンテールで効果抜群だが倒れず。ムーンフォースをくらうも素早く肉薄し、かみなりパンチ! ニンフィア倒れ勝利!
「ありがとう、ぴっかりさん」
カシオペアことボタン、どこか安堵したように、
「──これで……、終わり」
ニンフィアを戻し、
「終わったよ、みんな……」
(回想)
総合コースの教室(ビワかピーニャ、メロコの教室?)。ピーニャのスマホロトムをボス達が囲んでいる。
『これで、終わりにしよ』
聞こえてくるのはカシオペアの声。
ピーニャ、呆然と、
「終わりって……。──スター団解散って、それさ、マジで言ってんの?」
『スター大作戦のせい。ちょっとやりすぎた……』
カシオペアの答えに、メロコうなずき、
「まあ、ド派手にやったからな。校庭にいじめっ子ども集めてさ」
ビワ振り向き、
「でも、わたしたち結局、ケンカも何もしてないよ?」
シュウメイもうなずく。
「こちらはいじめをやめねば、断固戦うと決意を述べたのみ。無血の勝利でありましたな」
オルティガ、愉快そうに、
「ああ。オレたちの格好にビビったのか、アイツらポケモン勝負もせずに泣きながら謝ってるだけだったもん」
『でも、あの後いじめっ子たち、みんな大騒ぎして逃げちゃって、問題が大きくなりすぎた。
──うちらもただじゃすまないよ』
「たしかに、マズいかもね」
うなずくピーニャ。
カシオペア、重々しく、
『……うちが、なんとかする』
「──おい、何、言ってんだ?」
動揺するメロコ。カシオペア、固い声で、
『スター団始めたのはうち。みんなを巻き込んだのもうち。
──だから、うちが、ケジメつける』
「……マジボス殿」
シュウメイ、何かを話そうとするが、カシオペア遮るように、
『いじめなくなったんだし、みんなは学校行って』
「テメーは、どうすんだ?」
噛みつくように聞くメロコ。静かに答えるカシオペア。
『うちは、学校、行けないんだ……』
「なんでよ? もう引きこもる必要、ないでしょ?」
ピーニャの問いに答えず続けるカシオペア。
『みんなには、ありがとうしか言えない。リアルで会ったことないのに、優しくしてくれて……』
「ちょっとマジボスちゃん! 言い方お別れっぽいよ!」
つかみかかる勢いのビワ。しかしカシオペアはそのまま、
『やること、あるから……』
「何を、おっしゃってるでござるか?」
シュウメイ、かすかに震える声で聞く。しかし黙るカシオペア。
「ちょっと! マジボスってば!!」
叫ぶオルティガ。それから口々にみんな呼びかけてくるが、カシオペア──ボタン、外でスマホロトムの通話を切る。
「……バイバイ、ありがと」
小声で礼をつぶやき、去っていくボタン。
空は曇天。星はかすかにしか見えていなかった。
(回想終わり)
※エンディングなしでこのシーンが流れるイメージ。
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