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『長崎すひあすくわっど』4-14
高校生達が手を止め、ねめつけてくる。
「なんだお前ら」
「そいはこっちの台詞たい!」
コハクは言い返しながらも、冷静に相手を観察した。
この辺りではあまり見かけないブレザーの制服に、大きめのバックパック。どうやら修学旅行生らしい。それも全員、ぴしりと制服を着こなし、どこか余裕を感じさせる態度を取っている。
「お前、地元の人間だろ?」
リーダー格の男子が冷笑を浮かべながらねめつけた。
「こんな田舎のガチャなんか、壊されても文句言えないんじゃないの? そもそも調子悪い方が良くないんだしさ?」
「そーだよねー」
別の男子がわざとらしく笑いながら相槌を打つ。
「こんな安っぽいガチャ、オレらの街じゃ見たことねーよ」
「アンタら……」
コハクは低くうなり、身を屈めて臨戦態勢を取った。
高校生達は一瞬ひるんだが、リーダー格の男子は鼻で笑い、肩をすくめた。
「あれ? 暴力振るうわけ? さっすが田舎は違……」
「えーと、私立尊(とうとう)学園高校?」
リーダー格の言葉を遮るように、アコヤが冷静な声で言った。
自身のスマートフォンをいじりながら、視線だけを連中に向ける。