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『長崎すひあすくわっど』4-5
制服も少し着崩しており、一見するとチャラい感じだが、人懐っこい顔付きが印象的だった。
「あのさ、今日の宿題のとこ教えてー」
「宿題って、数学の?」
ルリが聞き返すと、アオイはうなずきながらカバンを漁り始めた。
「そうそう、せーふのかず? のやつ、全然わかんなくて。お前らならすぐ解けるかなって思って」
乱雑に詰められたノートや教科書の間から、ようやくタブレットが出てきた。
「ほらこれ」
アオイはタブレットを起動し、宿題の画面を見せた。正負の数の表し方についての問題がいくつか記されている。
ハリルリはまたも顔を見合わせ、やる気満々の表情をした。それを見たコハクは、
「あー、これね。ちょっと失礼ー」
と再び詫びながら話に入った。
「そいならこっちの動画見た方がよかよ」
コハクはスマホを取り出し、動画アプリの画面を出してアオイに見せた。
「お、なんかノリよくて面白いっスねこれ」
最初は怪訝そうな顔をしていたアオイも、流れる動画にたちまち満面の笑みを浮かべる。
「やろー?」
「ちょっとやる気出たかもっス」
ニコニコ顔のコハクにアオイは自分のスマホでも検索しながらうなずいた。