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『長崎すひあすくわっど』4-15
「あんた達の評判相当悪いな。SNSじゃ罵詈雑言の嵐だよ。東京でも有名なエリート校の癖に、生徒は性格最悪だってな」
「だからどうした?」
リーダー格はなおもふんぞり返りながら、平静を装っている。
しかし、アコヤの堂々とした態度に顔がわずかに引きつっているのを、コハクは見逃さなかった。
アコヤは不敵な笑みを浮かべ、続けた。
「いや? いくら都会のエリートでも、瓊之浦家に勝てるかな、って思ってな」
「たまのうらぁ?」
他のメンバーがわざと大声で聞き返すが、リーダー格は目を見開き、ごくりと生唾を飲んだ。
「え、そこってまさか……」
「なんだよ、お前知ってんの?」
ひとりが聞き返すと、リーダー格はアワアワと手を動かしながら、
「知ってるも何も、長崎の超名家だぞ! 逆らったらヤバいって噂があるくらい!」
「ほー、性格終わってる割にはそういう話は知ってるんだな?」
アコヤは片方の眉を上げた。
本当にこげん仕草するヤツおったとね……、とコハクは変なところに感心した。アコヤが続ける。
「で? 知ってるなら、次に私が何するかもわかるよな?」
その言葉にリーダー格は表情をさらに硬くした。