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『長崎すひあすくわっど』4-8

「そりゃあ、運の悪か」

 コハクはうなずき、ハリルリに振り向いた。

「うち手伝うわ、よかねふたりとも」

 ハリもルリも快くうなずいてくれた。

「はい! もちろんです!」
「わ、私も加わります!」

 コハクも笑って、

「そいじゃ二手に別れ……」

 と、今まで黙っていたアコヤが突然口を開いた。

「わたしはこいつと行くから、ハリとルリはその子と探せ」
「は!? 何でいきなり……」

 当然コハクは渋ったが、

「ありがとうございます! ハリルリ、ついてきて」

 とハリもルリもキョウコに連れられて行ってしまった。



「『ネコが好む場所として、日当たりのいい場所、柔らかくて暖かい場所、自分のテリトリー、高い所、狭い所が挙げられる』、と……」

 自身のスマートフォン──淡いブルーのカラーリングだ──でネコが潜んでいそうな場所を検索したアコヤが、サイトの文章を読み上げる。
 それを聞きながら、コハクは口をとがらせた。

「まさかアンタから誘いくるとは思わんかったわ」

 アコヤは顔を上げ、コハクを軽く睨んだ。

「こっちだって嫌だったよ」
「じゃあなして」
「聞きたいことがあったからだ」
「さっきのやつ? なんて言おうとしたとね?」

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