2. 家族で二月の勝者を読む
Google先生は、明日札幌出張となれば美味しいみそラーメン店の記事を薦めてくるし、英語勉強したいなと思った刹那に英語塾の広告を見せてきます。
今回も、第一次家族会議をくぐり抜け、中学受験というものを意識し始めた瞬間に、Google先生はぬるりと「二月の勝者」の購読を薦めてきました。それは読み終わるまで何故これを読み始めたのか気づかせないくらいに繊細なやり方で。
数年前までスピリッツを定期購読していた私は「二月の勝者」という中学受験漫画が連載していることは知っていました。しかし特に中学受験に興味のなかった私は、すっかりと読み飛ばしていました。面白そうかも、という引っ掛かりさえも微塵も感じていませんでした。
それがいざ読み始めたら全く止まらない。
「中学受験は父親の経済力と母親の狂気」
という有名なキャッチフレーズによる中学受験の闇の暴露から始まり、塾業界の闇、中学受験が親子関係に与える致命的な問題点、友人関係に入り込む成績ヒエラルキーなどの実態を矢継ぎ早にストーリーに乗せてきます。登場する親にも子供にも時には叔母さんにもすっかり感情移入してしまいます。
また、名前は変えているものの、各学校の偏差値帯や受験生からの扱われ方が自然と頭に入ってきました。
いや、こりゃ面白い。
早速私は妻に単行本を渡しました。
「なにこれ?」
「いいから読んでみなよ」
「中学受験がやばいって話?私に受験を諦めさせようとする魂胆?」
中学受験反対派の私から単行本を渡され、警戒していたうちの妻ちゃんですが、読み始めたらすぐに全巻自分で購入し、数日で読破してしまいました。普段漫画なんてほとんど読まないくせに。
妻は内容について多くを語りませんでしたが、更に受験への熱が滾ったのは傍目から明らかでした。
ふと気づくと息子もあっという間に読破していました。
なんだお前まで滾り始めたのか。
この漫画は、親子関係の悪化、異常な勉強量、塾産業の裏側、等マイナスな情報も多いですが、それ以上に射幸心のようなものを煽る効果があるようで、こりゃ実質的にはスポ根漫画だな、と思いました。努力、友情、親の愛、そして真剣勝負が中学受験の情報の渦の中に効果的に散りばめられていて、興奮させる要素が満載。
勉強だってスポーツのように熱くなれるんだ、というメッセージが伝わります。
島津くんやまるみちゃんは応援したい気持ちが溢れ出くるし、親にはすっかり感情移入してしまう。
特に、島津くんのお父さんには..........笑ってしまったけれど、結構いるんだろうなあこういう人......
3年後、もしかして自分もあんな風になるのだろうか........