雨を聴く
小牧幸助さま、宜しくお願い致します
いっそう勢い増した雨は
鬱屈した心をかき消すように
視界をぼかし全てを薄墨色に
染め上げる
かの道標たる街灯に
その白きぼやけた光に
ロダンバックの一輪の白薔薇重ねた夜
炎ではなく水のようにと、
全てを洗い流せ、
かの方に習え
感傷より自己凝視なのだと
分かった心算でいた夜
そうか
付け焼刃は消滅するのだ
知った心算
かくありたしと願った夜
全ては虚無と焦燥と
曖昧模糊たる混迷に
耐え切れず
その芯は他者に委ねられ
作られたマガイモノだったのだ
雨の夜
もっと降れ
全てを洗い流すように降るがいい
ガラス越しのわたしは
ただ雨を聴く
雨の答に耳澄ます