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宵の夢

桜吹雪に狂うこともせず
頼りない心と軽い肩抱き
ただ 春の生温かき風に
目を伏せ口噤み
遠き爛漫なる夢に佇む

嗚呼 過去よ
今に続く一本の線上にある
焦がれてやまない熱情と
畏怖することもなく
無謀に無邪気に疑わぬ
信義に満ちた無数の背後よ

わたしはその線上の切っ先に居る
そして、今後もわたしの生を
紡ぐのだ

来たる終わりの日には
顔上げ艶然と微笑み
かくも生きてやったのだと
叫ぶのだ


宵の夢
宵の夢